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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

関西電力が「大きな津波が生じる可能性は低い」と広報 片山総務相「生業資金の給与」について検討を約束

2011年3月30日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が3月30日の参院総務委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。原発の安全対策について質問します。
 福島第一原発の深刻な事故が発生した後で、関西電力は、福井県内の十一の原発について新聞の折り込みチラシを入れました。配付しております資料がそれなんですけれども、「関西電力の地域交流誌 越前若狭のふれあい 特別号」というものであります。このチラシが4、5日前に新聞に折り込まれました。
 この裏面を見ていただきますと、「若狭湾周辺で大きな津波が生じる可能性は低く、」と、こう書いてあるわけですが、原子力安全・保安院に聞きますけれども、中越沖地震で柏崎刈羽原発が事故を起こしたときも想定外の地震だったと、それから今回の東北地方太平洋沖地震による福島第一原発の事故も想定外の津波だったと保安院も言ってきたわけですが、保安院として、この新たに配られたチラシに書かれているように、若狭湾周辺で大きな津波が生じる可能性は低いと確認していますか。こういうふうに言い切っていいんですか。

○中西宏典経済産業省官房審議官 今お手元の方に配付をいただきましたこの資料につきましてでございますけれども、この内容の部分につきまして、これは関西電力さんが配布されたものでございまして、原子力安全・保安院としてはこの中身については承知してございません。

○山下よしき 承知していないということで、関電が勝手に書いた、配ったということなんですが、それでいいのかということなんですね。
 昨日の参議院予算委員会で海江田経済産業大臣は、福島第一原発の想定していた津波はわずか3.1メートルで、今回の津波は約4.5倍の14メートルであったことを明らかにしました。また、それを受けて菅首相は、認識が結果として間違っていたということは否定しようがないと、予測が低過ぎて相当問題だというふうに答弁をしているわけです。今、国会で経産相あるいは首相がこういう議論をしているときに、関電が大きな津波は来ないというようなことを今原発の周辺の住民に折り込みチラシで配るなんていうのは、私は極めてこれは不適切だと思いますが、そう思いませんか。

○中西経産省官房審議官 先生の今御指摘を踏まえまして、我々といたしましても関西電力の方から確認をしたいと思ってございます。

○山下よしき 確認して、指導していただきたいと思います。
 片山総務大臣は緊急災害対策本部の副本部長ですので、これは全体にかかわる問題なので確認しておきたいんですけれども、私は、福島原発の深刻な事故が今継続しているときに、今度こそ安全神話から決別して安全最優先の原子力行政に転換しなければならないときに、電力会社が新たな安全神話を振りまくような行為をこれは断じて許してはならないと思っておりますが、政府としてこれきちっと対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○片山善博総務大臣 今次の原発事故に鑑みますと、それぞれ原子力発電所を持っておられる電力会社は、やはりあらゆる可能性を想定した上で、被害が生じないように、災害が起きないような対応を検討されるべきだと私は思います。

○山下よしき 次に、復興の在り方について質問をしたいと思います。
 今回の災害では、住宅の再建をどうするかという課題とともに、職を、仕事を失った人が大変多いと、これをどうするかという課題もあります。当面のその点での対策として、私、二つ提案したいと思うんです。
 一つは、失業対策として自治体が被災者を雇用して、例えば瓦れきの後片付けなどに従事していただいて、その賃金で生活再建できるようにすること。それから二つ目に、自治体機能の回復をするためにも、ほかの自治体からの応援とともに、地元の人を自治体の臨時職員として採用することが大事ではないかと思います。恐らく、応援される他地域からの職員の方は、ずっと2年、3年はいないと思います。ローテーションで、数か月で入れ替わったりという応援体制にならざるを得ないと思います。そうすると、やはり2年、3年、場合によってはもっと長い、長期の地域の復興に当たる自治体の職員は、応援の方の力を得ながら、できるだけ地元で腰を据えて一緒に頑張れる人が必要ではないかと。
 そういう意味では、地元の人を臨時職員として採用して、それを国が財政的に支援するということが非常に有用ではないかと思うんですが、この2点、大臣、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 非常に重要な視点だと思います。地元の被災された方をできるだけ雇用につなげるということは、これは大切なことだと思います。
 その際に、自治体が行っている仕事の分野、例えば避難をしておられる皆さんの生活の支援でありますとか、必要な物資の搬送でありますとか、そういう自治体が行っていることの場合には、自治体が臨時とか非常勤とかで採用されるということは私は大いにやっていただきたいと思います。
 瓦れきの処理などになりますと、これは恐らく民間の事業者に依頼をするということになります。その際には、是非、地元ないし近隣の業者の方に依頼をするように努めていただきたいし、その請け負った業者の皆さんは地元の皆さんを雇用するという、こういう、役所だけではなくて民間の事業者の雇用も含めた、総合的な地元の皆さんの、直接、間接に被災をされた皆さんの雇用の拡大を復旧復興のプロセスにおいて拡大されるように是非お願いしたいと、私も本部の一員として今も考えているところであります。

○山下よしき もう一つ、片山総務大臣はこの間の質疑の中で、生活手段のみならず、生産手段、例えば養殖漁業の施設、水産加工場、田畑などが全部なくなってしまった、生業を根こそぎ奪われたということを今回の災害の新しい特徴の一つに挙げておられました。これ、非常に大事な観点だと私も思います。
 実は、災害救助法23条に生業に必要な資金の給与という項目があります。この条項を今こそ活用すべきではないか。もう現にある法律であって、政府の決断で生業資金の給与はすぐにでもできると思いますので、これ是非検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 災害救助法のこの規定は私もちょっと詳しくは存じておりませんが、私が知事をやっておりましたときに大きな地震がありましたので、実はこの規定もそのときにどういう活用ができるかよく点検をしまして、記憶が必ずしも定かでないんですが、この規定、法律自体が昭和22年にできておりまして、我が国がまだまだ高度成長する前の時代の社会に対応したこれは法律であります。この書きぶりからいって、非常に個人商店とか小さな事業者の皆さんの当座の支援という、恐らくそういうことを念頭に置いた規定だろうと思うんです。その後、例えば今回の養殖漁業なんかでもかなり大規模になっているものにこれが適用できるかどうかというのは、これよく検討してみなきゃいけないと思います。
 それからもう一つは、それぞれの縦割りの産業行政の中で、農業は農業、漁業は漁業、林業は林業という形でかなり、手厚いと言えるかどうか分かりませんけれども、事業支援といいますか事業再生に向けての支援措置はこれ金融が中心になりますけどありまして、専らそちらの方で対応してきた結果、ここが開店休業といいますか、適用されない状況になっているんではないかと当時思いました。
 今回、改めて私も現場を見まして、生業がもう壊滅的な被害を受けているときにどういう方法がちゃんと用意されているのか、されていないのかということは点検してみなきゃいけませんので、これは、早速に私が本部長代理をしております生活支援本部でこの問題を取り上げて、共有の、共通の課題として点検してみたいと思います。

○山下よしき 是非点検して、どういう手法を取れば実現できるか考えていただきたいんですが。
 三陸の漁師町、宮城県気仙沼市で漁船のエンジンの修理を営んでおられたSさん、41歳の方が、津波で工場が倒壊しちゃったんですけれども、その倒壊した工場を見ながら、何年か後にはここで工場を建て直し同じ看板を掲げたいと、こう語っておられます。ただ、震災の翌日、12日の日にその工場を見たときは余りにも変わり果てた工場に、もう終わったと、再建を諦めたと一瞬思ったそうですが、しかもお客さんである漁師の被害も大きくて、誰を相手に商売すればいいのかと途方に暮れたというんですね。しかし、数日後、思い直して、生き残った子供を育てるためにもここで踏ん張ろうという決心をされた。
 私は、やっぱりこの被災地のこういう営業をされていた方々の決心を後押しすることが政治の役割だと思います。手法はいろいろあります。例えば被災者生活再建支援法に住宅再建支援金がありますけれども、この住宅再建支援金とともに工場、店舗再建支援金を加えることも一つの手法でありましょう。いずれにしても、個人の生業支援を何らかの形で検討するということが非常に大事だと思いますので、政治が後押しすること、繰り返しになるかもしれませんが、もう一度大臣の決意を伺いたいと思います。

○片山総務大臣 先ほど申しましたように、これ昭和22年にできて、その後、縦割りの産業行政の中でかなり手厚い仕組みができております。大体それは、商工金融にしても、それから農林漁業の一次産業の金融などにしても、それぞれの縦割りの中できちっと借りられてかつ利子補給などの制度もそちらの方で用意されておりまして、恐らくそちらの方で大体対応してきているんだと思います。
 こちらは、さっき言いましたように、非常にそういう業界行政の中に組み込まれないような業種があるのかどうかということが、これが点検のポイントだろうと思いますので、そういう観点中心にこれを少し厚生労働省や他の経済官庁と一緒に検討してみたいと思います。

○山下よしき その検討の観点として、私、この災害救助法23条を申し上げたのは、給与と、もう一つ貸与ってあるんですね。給与ができるというのが大事だと思っております。要するに、貸してもらう、金融対策だけでは本当に返せるのかと。周りの状況を見たら、再開したとしてもうまいこといくのかと非常に不安です。だから、阪神・淡路のときも我々はこれ、給与すべきだと言ったんですが、できませんでした。そこで災害援護資金、350万円ですけれども、この貸付けが相当広がりました。これは助かった面もありますけれども、いまだに、もう16年たっていますけれども、4分の1は返すことができずにいます。
 だから、金融だけではなくて、貸与だけではなくて給与、これをやっぱり思い切って検討することが、今回新しい特徴として生業が根こそぎ奪われたという方々を後押しするためには非常に大事な視点ではないかと。この給与の検討、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 これは非常に難しい問題だと思います、率直に申し上げまして。小さな、本当に小さな個人で何らかのささやかな事業を営んでいるケースもあれば、手広く大きな工場なり設備なりを構えてやっておられる事業所、さらには企業ということになりますね。そういうところが被災したら、じゃ、これでやるのかとなりますと、どこで線引きをするのかとか、非常に難しい問題だろうと思います。
 従来、これは従来のことを言いますと、この種の産業部門の被災については、金融を中心にして、それに対して利子補給なり信用保証なりを、それくっつけて後押しをするということが基本でありまして、今のような制度的な枠組みの中でこの23条の1項7号の給与又は貸与と書かれている中の給与について、検討しますけれども、これについては非常に難しい問題があるということは、やはりあらかじめ御認識をいただかなければいけないと思います。

○山下よしき 戦後未曽有の大災害ですから、これまでの枠にとらわれずに、これもう大胆にやはり検討して、必要ならば実行していただきたいということを申し上げて、終わります。



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