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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 「かんぽの宿」だけでない 郵政資産売却疑惑

2009年2月12日 参議院・総務委員会

2月12日の参院総務委員会で、大阪府内の郵政施設の資産売却で、大手ゼネコンや大銀行の利 益がからみ合う不自然な実態があることを示し、全容解明を求めました。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 先日に続きまして、郵政の資産売却問題について聞きたいと思います。
 日本郵政グループによる土地、建物など不動産の売却は、かんぽの宿に始まったものではありません。公社時代の平成十六年七月から平成二十年十二月までに六百三十四の物件が売却されております、これ一覧表ですけれども。調べてみますと、そのうち、郵政民営化法の成立、つまり平成十七年十月十四日から民営化がスタートした平成十九年十月一日までのわずか二年間の間に五百五十三物件、八七%が売却されたということになっております。なぜ、こんなに慌てて売ったんですか。

参考人・寺崎由起(日本郵政株式会社執行役) お答え申し上げます。
 日本郵政公社のときには、施設の老朽化、利用頻度、採算性等により施設の廃止を進めてまいりました。具体的には、社宅につきましては、経過年数、老朽度、立地条件、資産価値、敷地面積を勘案して廃止するか否かを検討してまいりました。郵便貯金周知宣伝施設、かんぽの宿等につきましては、採算性の見込みのない施設を段階的に廃止することとして廃止をしてまいりました。
 そうした廃止した施設につきまして、経営の健全化の観点から早急に売却ということで進めてきた次第でございます。

山下よしき 民営化に向かって一気に廃止されていっているんですね。老朽化というだけじゃないんですよ。自然にこの二年間に老朽化が固まって起こったわけじゃないんです。民営化に向かってそういう処理をしてきたということなんですよね。
 それから、もう一つ聞きますけれども、先日の答弁で、売却物件ごとに売却方法を検討して売却したという回答でしたけれども、これ調べますと一括売却、バルク売却が多いんですね。六百三十四物件中四百三十一物件、六八%がバルク売りになっております。どうしてこんな売り方をしたんですか。

参考人・寺崎由起 日本郵政公社では、不用となった不動産の売却は、一般的には個別売却したと承知しております。しかし、地域や地形等の事情から個別では売却困難な不動産が多数存在するため、売れ残りをなくすため、市場性の高い不動産と一緒にして、ある程度の物件を一括して売却したものでございます。

山下よしき 一般的に個別と言いましたけれども、逆なんですね。これはバルクが六八%ですから、逆になっている。
 そういう下でどんなことが起こっているか。一括売却の一つ、これは平成十八年度、日本郵政公社百七十八件一括売却、平成十九年二月、一般競争入札というリストをいただきましたけれども、この百七十八物件の中に、購入者の評価した額がわずか一万円となっていた例の鳥取岩井簡易保険保養センター、それから指宿簡易保険保養センターも入っております。
 私は、この百七十八物件の一つ、大阪府枚方市にある枚方レクセンターの跡地に昨日行ってまいりました。(資料提示)これがその現場の写真なんですけれども、皆さんのお手元にも同じ写真を資料配付しておりますけれども、非常に広い広大な敷地でありまして、二万平米あります。そこにテニスコートが六面ありまして、野球場が一面ありまして、二十五メートルプールが一つありまして、レストハウスや駐車場がありました。近隣の住民の方に聞きますと、郵政の職員の方がしょっちゅう来てテニスをされていた、それから野球もよくされていた、それからテニスコートは近隣の住民の方にも安く開放されていたということでした。要するに、よく利用されていた施設だったんですね。ところがこの枚方レクセンターが、郵政民営化法が成立して一年ぐらいたったときに廃止になったと住民の方々はおっしゃっておりました。
 ここは非常に立地もいいんです。ここは、この手前に京阪電車の牧野駅というのがすぐそばにありまして、牧野駅から徒歩三分でここに来れます。信号に引っかからなければ一分で来れると思います。小降りの雨だったら傘も要らなく来れると思います。非常に近い、駅近場の場所なんですね。
 それから、これは隣接するマンションの十三階から撮った写真なんですけれども、ちょっと向こうの方に見えるグリーンベルトは淀川の堤防です。その向こうに河川敷のゴルフ場があります。その川の向こうにうっすら見えているのは北摂の山々です。非常にロケーションすばらしいですね。これはもうマンション業者がのどから手が出るほど手に入れたい土地だなと私、行って思いました。
 この物件、手に入れたのはどこですか。

参考人・寺崎由起 当物件は、平成十八年度のバルク売却の中の一件として売却したものでございまして、コスモスイニシア外六社のグループが落札して取得しております。その後、登記につきましては長谷工コーポレーションの方へ登記されていると聞いております。

山下よしき はっきり言ってください。七社が共同購入しましたね。この七社のうち、この物件を購入したのはどこですか。

参考人・寺崎由起 私どもが契約いたしましたのは、七社のグループと契約いたしました。その後、所有権が長谷工コーポレーションに移転しておると聞いております。

山下よしき それ、ごまかしちゃ駄目ですよ。日本郵政公社から直接長谷工に所有権が移転しております。この物件を購入したのは長谷工ですよ。郵政の資料でも購入者は長谷工コーポレーションと載っていますよ。間違いありませんね。

参考人・寺崎由起 不動産の売却の契約をいたしましたのは、コスモスイニシア外六社でございます。所有権の移転は、おっしゃるとおりの日本郵政公社から長谷工コーポレーションの方に移転しております。

山下よしき 私が説明いたしますと、その六社の中の一社が長谷工コーポレーションなんですよ。その七社で共同購入しているんですね。結局、長谷工はここを手に入れているんですね。
 資料二枚目を御覧になっていただいたら分かるんですけれども、長谷工コーポレーションは、ここにやっぱり案の定、マンションを建設する計画を持っております。
 元々この枚方市には開発条例というのがありまして、その開発条例によりますとこの地域は第一種住居地域となっておりまして、周辺環境の調和の基準というのがありまして、地上六階以下かつ十八メートル以下にしなければならないことになっているんですが、次の諸条件が整備される場合はそれを上回ることができるとありまして、共同住宅、マンションを建築しようとする場合は、道路幅員が六・八メートル以上の道路が開発区域全周の八分の一以上接道していればこの高さ制限を超えることができると。この物件は、それクリアしているんです、元々。元々クリアしているところであります。ですから、ここに長谷工は資料にあるように地上十五階と十階の二棟、計四百八十二戸のマンションを建設する計画を持っております。
 これだけ優良な土地ですから、さぞ競争も激しかっただろうと私推察いたしますが、入札参加者はどれだけありましたか。

参考人・寺崎由起 二社でございます。二グループでございます。

山下よしき どうしてそんなに少ないのですか。

参考人・寺崎由起 当売却につきましては、インターネットに入札公告をいたしまして、公正に競争入札を行いました。その結果でございます。

山下よしき それは違うと思いますね。単体だったら入札しやすいでしょう、もっと。しかし、全国に散らばる百七十八もの物件を一括購入できる者などそういないと思いますよ、これは。だから、百七十八以外の物件は六社とかいろいろ入札者があるんですね、資料いただきましたけど。だけど、この百七十八にまとめたから、バルクにしたから二社、二グループしかなかったんだと私は思います。
 この一括売却方式にするというふうに決めたのは一体だれか。この百七十八物件をバルクにしたのは一体だれですか。

参考人・寺崎由起 公社時点で、その年度に不動産を売却する際に、その事務を円滑に行うために専門業者と不動産の媒介に関連する業務委託を締結しておりました。その専門業者の方へ、行政法規等調査及び関連資料の作成、提示した物件の効果的な売却方法案の作成、売却に関する入札関連事務を委託しておりまして、どのように売ったら効果的な売却方法になるかということをいろいろ検討した結果、グルーピングをしてバルク売却という案を出していただきました。この売却方法につきまして、公社内で資産処分検討委員会を開催いたしまして、その適否を審議して、バルク売却という方式を取った次第でございます。

山下よしき 業務委託をしたのはどこですか。

参考人・寺崎由起 中央三井信託銀行でございます。

山下よしき 要するに、中央三井信託銀行が平成十八年度、郵政公社から売却検討依頼というものを受けるわけですね。そのときには二百七十一の物件が委託されております。その二百七十一の物件を中央三井信託銀行が市場調査などして、単体で一般競争入札を行い売却する物件はどれにするか、あるいは単体でなくまとめて一括売却、バルク売却にする物件はどれとどれにするか判断をして提案しているんですね。
 中央三井信託銀行と長谷工コーポレーションの関係を調べてみました。有価証券報告書によりますと、中央三井信託銀行は長谷工コーポレーションの優先株の三五%を所有しております。長谷工が利益を増やせば中央三井信託は受け取る配当が増えるという関係にあります。さらに、中央三井信託銀行は長谷工コーポレーションに対し八十五億円の長期貸付けを行っております。両者はそういう関係にあるんですね。その両者が国民共有の財産ともいうべき郵政の不動産を、しかも飛び切り優良な物件をわずか二グループしか入札できないようなバルクにして売却、購入したということになります。不透明だと感じませんか。

参考人・寺崎由起 当コンサルティングの契約におきましては、公正な手続で評価をして中央三井信託銀行に決めてございます。契約に当たっては守秘義務等も課しておりますので、最も適切な売却方法の提案をいただいたと承知しております。

山下よしき 百七十八物件の郵政公社による鑑定評価額の合計は百十四億六千七百万円となっております。これは公社が売却する前に鑑定した額ですね。売却額は百十五億円なんですよ。例の減損評価で非常に安く評価された額に落札価格がほとんど張り付いております。しかも、百七十八物件の中でけた違いに鑑定評価額が大きいのがこの枚方レクセンターなんですね。二十二億二千万円。これ一つで百七十八物件全体の鑑定評価額の二割になります。超目玉物件なんですね。
 さらに、長谷工コーポレーションは百七十八物件のうちこの枚方レクセンターしか購入しておりません。ほかの六社は百七十八を何十も買ったりしているんですけど、長谷工はここ一つしか買っていない。つまり、長谷工のねらいは初めから枚方レクセンターのみで、ほかの物件は眼中になかったということになります。それがバルクされることによってほとんど競争なしに長谷工は手に入れることができたということなんですよ。これ不透明だと思いませんか。

参考人・寺崎由起 バルク売却におきましては、公正に公告を行いましてやったことでございまして、そういった点で公正な競争が行われたと考えてございます。

山下よしき もう一つ、長谷工コーポレーションはこの物件を入手してすぐ別の会社に転売したようであります。資料二枚目の図面も見ていただきたいんですけれども、これは長谷工の住民説明会の資料ですけれども、その建設概要というところに、事業主、栄泉不動産株式会社とありますね。ここにすぐ転売されたんじゃないかと。
 念のために、今朝、法務局に行って登記簿のコピーを取ってもらいました。それによりますと、平成十九年三月二十二日に日本郵政公社が長谷工コーポレーションにこの物件を売っていることになります。その直後、同年三月三十日に長谷工は栄泉不動産に物件を売却しております。わずか八日後に転売されているんですね。
 西川社長に伺いますけれども、この栄泉不動産という会社、御存じですか。

参考人・西川善文(日本郵政株式会社社長) 私の記憶があるいは不確かかもしれませんが、栄泉不動産はたしか住友生命の関係会社であったというふうに理解をしております。

山下よしき おっしゃるとおりで、栄泉不動産は大阪市中央区にあるマンション販売会社でして、住友生命保険が一〇〇%出資して昭和二十八年に設立をされております。西川社長御出身の住友系のしにせの不動産会社であります。
 実は、この栄泉不動産は二〇〇五年、平成十七年にアメリカの投資会社モルガン・スタンレー・グループの傘下に入っております。発行済株式の九五%をモルガン・スタンレーが保有する形になりました。要するに、栄泉不動産が枚方レクセンターの跡地を手に入れたときは既に外資の傘下にあったということになるわけですね。
 鳩山総務大臣に伺いますけれども、こういう構図で国民共有の財産ともいうべき郵政の資産が処理されているということをどうお感じになりますか。

鳩山邦夫総務大臣 この案件について、私、知識は何も有しておりませんが、今の御質問のようなことであるとするならば、国民の財産が何かいいように処理をされている、そういう疑いを強く持ったとしてもおかしくないと、そう思います。

山下よしき 今見てきたように、国民の財産が、私は食い物だと思いますけれども、そういうふうにされているのはかんぽの宿だけではないということが明らかとなりました。
 郵政民営化の流れの中で、公社時代から国民の貴重な財産が日米の金融資本あるいはゼネコンのえじきになってきた。これ、民営化しなければこうした事態は起こっていないんです。民営化に向けて、まだ使っていた社宅も廃止するというふうにずっとなっているんですね、資料いただくと。ですから、ここに民営化の一つの本質があると私は思います。
 全容を解明して、民営化の根本的な見直しが必要となっているということだけ申し上げて、質問を終わります。

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