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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 

2008年2月5日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今回の地方交付税法改正案は、国税五税の減額補正に伴う地方交付税の減額分二千九百九十二億円について、国の一般会計からの加算によって補てんするものでありますけれども、問題はその財源であります。
 改正案では、平成二十二年度から二十四年度までの各年度の地方交付税額に国の一般会計から加算することになっていたいわゆる平成十九年度法定加算六千二百五十一億円の一部を充当するということになっております。しかし、この六千二百五十一億円は、元々地方の財源ではないのでしょうか。

増田寛也総務大臣 これは、後年度大幅な財源不足が見込まれるということで、私どもでそこで加算をしようと思っていたものでございますので、これは地方として持っているものと、こういうことでございます。

山下よしき 地方として使えるものだったということであります。
 交付税総額の確保は大事なことです。これは地方財政計画を策定した国が責任を持って行うべきであると思います。それなのに、言わば後で、平成二十二年度から地方に配分する交付税の先食いという形で今回補てんがされようとしている。このやり方を決めたのは増田総務大臣自身であります。
 昨年の十二月十八日に交わされた増田総務大臣と額賀財務大臣との覚書、今日持ってまいりましたけれども、ここにこういうやり方でいこうということが書いてあって、合意がされているわけですね。
 大臣に伺いますけれども、この平成十九年度法定加算額六千二百五十一億円から今回二千九百九十二億円の不足分を補てんするこの覚書を交わすに当たって、地方の了承は得られましたか。

増田総務大臣 この今回の措置ということについては、国の予算のいろいろな折衝をしていく中で、地方団体の感触などもいろいろ伺いながらやっぱり我々常に予算というのを組み立てていっておりますので、そういういろいろな地方団体の感触等も踏まえながら行ってきております。
 もちろん、地方団体で一番細かな細部のところまで全部了承を取るということよりも、大きな方向としていかに一般財源総額あるいは交付税総額を確保するのかといったような点でいろいろ地方団体と感触を伺いながら進めていくということでございまして、今お話ございましたような点についてはいろいろと、これまでのやり方も含めて地方団体の方でもいろいろ御意見があると思いますけれども、ちょうどその覚書を取り交わした翌日に、決まった内容については全国知事会の方で私の方も直接出て説明をしてございますが、それまでの間、公共団体等の、私自身も公共団体におりましたので、どういうことまでがいろいろやりくりとして可能かということを十分考えながら実施をしてきたということでございます。

山下よしき 結局、感触は得たかもしれませんけれども具体的な了承は取られていない。細かいところまではとおっしゃられましたけれども、三年間で六千二百五十一億円地方に行く分を、そのうち二千九百九十二億円先食いするわけですから、これは決して細かい話では私はないと思います。地方の自由と自立と大臣よくおっしゃいますけれども、それを保障する地方の財源を地方の了承も得ないで国が勝手に先食いするやり方は、私は地方自治の原則に反するものだと思います。
 続きまして、そのことを指摘した上で、私も、地方の財政が今具体的にどうなっているのか。
 先ほど末松委員から篠山市のお話が出されましたけれども、別に相談したわけではないんですが、私も一月の二十四日、篠山市に行ってまいりました。第二の篠山もうでになったわけですけれども、ここの篠山市は、先ほどお話にあったように、非常に自然環境恵まれた地域です。丹波の黒豆で全国的にも有名な土地柄ですし、ヤマノイモなどという特産物は大変粘りのあるおいしい芋でございます。ここが、平成の合併第一号の自治体として全国の合併のモデルケースとされました。総務省も全国に紹介して、多くの自治体が視察に訪れて、最大年間三百数十団体が篠山市を見に行っております。
 篠山市は、合併特例債の限度額使い切って、二〇〇六年度までの合併特例債を活用した事業費は総額約二百二十七億円になっているということですが、お話にあったとおり、今その償還時期のピークを迎えて市の財政は大変厳しくなっております。
 資料の三を御覧いただきたいと思います。
 これは、篠山市の市長の諮問機関としてつくられております篠山再生市民会議による見通しであります。篠山市の見通しでありますけれども、二〇一一年度、平成二十三年度には財政再建団体に転落する可能性があるということを、去年の五月に財政見通しをやってみるとそういう結果になるということになって、大変大きな衝撃が走りました。
 総務省が推進してきた市町村合併のモデルケースの自治体がこういう事態に追い込まれている現状を大臣はどのようにお考えでしょうか。

増田総務大臣 実は、市長さんが昨年の秋、十一月だったですか、十月か十一月ですけれども、私のところにも来られて、いろいろお話をしていかれました。大変財政状況厳しいと。数字で見ますと、まだ普通会計ベースでは収支黒字でございますし、それから起債許可移行基準も下回っておりますので、数字としてはそういう財政再建団体云々という話にはなっておりませんけれども、ただいろいろ事業も実施をしておられるわけでございますので、そういう財政運営に大変今苦労しているというお話をしていかれた。それから、それにしても新たな行財政改革に取り組んで、そして市民の皆さん方にもそうした知恵をいろいろ出していただくという、そういう力強いお話もしておられました。
 ですから、私としては、そういう厳しいいろいろな事態に直面しているんだろうと思うんですけれども、そういう取組に大いに市長さんにエールを送って、そして真摯にお話を聞きながら、そうした篠山市の対応に対して私どもでき得る限りのことはしていきたいと、このように思っているところでございます。

山下よしき この合併を推進する際のいわゆるあめというふうに言われておりましたのが合併特例債でありまして、御存じのように、合併特例債は、事業費の五%の自主財源があれば事業に着手することができるような仕組みであります。残り九五%は地方債の発行で後年度負担として賄うと、その後年度負担のうち七〇%は交付税で措置されるということになっております。しかし、三〇%は後々自治体の負担になるわけですが。
 資料四を御覧になっていただけますでしょうか。これは、篠山再生市民会議の議長でもあられます関西学院大学の長峯先生らの論文に載っていた篠山市の合併特例債の元利償還スケジュールのグラフであります。
 平成十一年の四月に合併してから、先ほど申しました合併特例債の当初の負担五%がこういうふうな負担でかぶさってくるわけですが、その後、後年度負担が非常に大きく膨らみます。この白いところは交付税で措置される七割の分ですが、それもずっとこれから十九年、二十年とピークを迎える。そして、黒いところが残り三割の自治体負担であります。これが今大変大きくのしかかってきて、市の財政を圧迫しているわけであります。
 先ほど大臣からもお話が出ましたけれども、篠山市の市長さんは、去年の十月二十二日に増田総務大臣に要望書を提出されております。それが資料一であります。この要望書には、要望書の趣旨、真ん中辺りに、合併後の五年間で市民生活にとって必要不可欠な諸施策を合併特例債などの起債によって完成することができました。下から三行目、本市では景気の回復は遅々として進まず、税収は低迷し、とりわけ平成十六年度からの国の三位一体改革による地方交付税の総額抑制等により、平成十五年度と比較して平成十九年度では約十四億円、当市試算の元利償還額への充当される交付税を除く交付税の減額となっており、行財政改革等による経費節減、事務の効率化や事業の先送りなどの歳出削減に努めているものの著しい収支不足を来しており、今後もこのような状況が続けば財政再建団体に陥ることが懸念されます。その次に、こういった状況を回復するために、地方交付税制度の見直しにより三位一体改革以前の平成十五年度の地方交付税総額の確保を強く要望いたすところでございますと、これが一番の要望の核心であります。
 先ほど大臣は、できるだけエールを送りたいとおっしゃいましたが、この核心部分に対してどう御回答されたんでしょうか。

増田総務大臣 市長さん、今委員の方からお話がございました、ちょっと失念をしておりましたが、十月ですね、先ほど十一月と言ったかもしれませんが十月に私のところに確かに来られて、いろいろ状況を、実情をお話しされたと。そして、交付税の関係についてもお話をしていかれました。
 この昨年の十月、その時期は、ずっと前年から、あるいはここ数年間ずっと交付税が減額をされてきたと、こういう傾向でございましたので、私は、何とかしてこういった篠山市の抱えておりますような状況、これは他の地域でもいろいろございますので、そうした状況にこたえ得るのが私の大変重要な仕事だろうということで、最善を尽くしますと、特に交付税を含めた必要な一般財源総額は是非確保に向けて努力したいと、それで、そのためにも逆にまた市長さんなどからも応援をいただきたいと、こういったことをお話を申し上げたところでございます。
 昨年の暮れの地方財政措置、御案内のとおりでございますが、そこでそれまでの傾向は切り替えられたというふうに思っておりまして、地方再生対策費等、これは来年度の関係になりますが、そういった形で二十年度地方財政対策を取ったところでございまして、篠山市長さん始めいろいろな団体からいろいろ御要望ございましたんですけれども、今委員、その核心のところというふうにお話がございましたが、やっぱりそこの核心は、地方の歳出の中で一般会計総額、特に交付税を含めた一般会計総額をどう確保するかということでございましたので、そうした御要望にはそれなりに対応できたというふうに考えておるところでございます。

山下よしき もう少し篠山市の財政、具体的に見たいと思うんですが、資料二を御覧になっていただけますでしょうか。
 上の表は、篠山市の交付税総額が@であります。これは交付税総額は増えているんですね。しかし、その中身を見ますと、Aの元利償還額への交付税措置分がずっと増えているわけであります。この中身は合併特例債だけではありません。一般廃棄物、下水道、臨時財政対策債などの措置分が入っておりますけれども、しかし中心は合併特例債の償還に充てる措置分であります。ですから、交付税額はまあまあ微増になっておりますけれども、この元利償還額の分が二十九億円から、二〇〇三年度、二〇〇七年度四十七億円へと増えまして、交付税全体に対する比率は三四・八%から五四・三%、交付税の半分以上は元利償還に消えるということになっております。
 その結果、下の表を見ていただきますと、交付税の中でこの元利償還を除くいわゆる一般財源として使える額は、二〇〇三年度五十四億円あったのが二〇〇七年度三十九億八千万円で、比較しますと十四億八千万円減っております。二〇〇三年度を一〇〇とした場合、七三%に減っているわけですね。この十四億八千万円というのが、先ほど市長の要望書にあった約十四億円減っている分だという数字に該当いたします。
 ですから、交付税の総額は減ってはないんですが、これは償還に充てるものが増えているんであって、一般財源として使えるものは非常に減っていると。何で減ったかといいますと、これは三位一体改革による交付税の削減であります。特例債を、合併を推進するに当たって総務省はどんどん奨励いたしました。ところが、平成十六年からの三位一体改革によって交付税がその後、約五兆一千億円も減らされた。このことが今の篠山市の財政計画に大変大きな見込み違いを生じさせているというふうになっていると思います。結局、合併特例債の元利償還の時期になったときに交付税が大幅に削減されるということになったわけですね。
 ですから、政府の方針に沿って、特例債を活用して積極的に合併をして町づくりに取り組んできた自治体がまさに今、その後はしごを外された格好になっていると言えると思います。こういう、篠山市の財政見通しが政府の政策変更によって翻弄されてきたということを私は現地に行って非常に実感をいたしました。
 先ほど、末松委員のお話の中で、片山元鳥取県知事が、だます方もだまされる方も悪いという御発言があったというふうに紹介されましたけれども、しかし私は、自治体として、合併のときに、その時点で後に三位一体改革によって交付税が削減されるだろうということを予想することは極めて困難ではなかったかというふうに思います。私はやっぱりだました方が悪いというふうに思うわけです。
 ここに大きな問題があるんじゃないかと。政府の政策変更によって地方の財政計画が翻弄されている、このことを総務大臣、どうお考えでしょうか。

増田総務大臣 地方財政をやはりどうとらえて、それに対してどういう財政措置を講ずるかというのはその時々で大変重要なことでございますし、それからあと、今お話にもございましたとおり、やはり三位一体改革による交付税の削減、これの中で、特に削減のスピードですね、その点については自治体にとって大変つらいものがございましたし、そういうことを踏まえて恐らく、これも異例だと思うんですが、私が総務大臣になったり、そういう傾向を少しでも地域に合ったような形で直せというのが私に与えられた役割ではないかというふうに思います。
 ですから、政府としても、いろいろそのときそのときのことで最善の政策を尽くしてきたんだろうと思いますが、今こうした自治体の財政状況を踏まえて交付税の総額を確保したりというようなことをきちんと責任を持ってやはり今やって国会の方に御提案をしているということではないかなと。
 それで、特に合併をした市町村に対しましては、例の合併算定替えですとか合併補正、それから合併特例債、それから十九年度の補正の中にも例の合併市町村の補助金なども計上いたしまして、それで財政支援措置というものも講じております。
 もちろん、こうした篠山市等の状況をいろいろとお聞きした上で、財政的に措置しなければいけないということでいろいろ折衝して計上したものでございますので、今後ともこうした合併した市町村の新しい町づくり、決してはしごを外すとか、何かそういったところをそのままにするということではなくて、少し交付税等の削減が急激過ぎたのであればそこを正して、きちんとそこを措置するように努力したりと、修正を加えながら特に地方の財政状況に対応していくと。総務省としてはそのために全力を挙げていかなければならないわけでございますし、今回のこの案もそういう考え方で提案をしているものでございまして、是非この点については御理解をいただきたい。
 市町村の方にもその旨、特に篠山市長さんの方にも十分にそういったことについて御説明を申し上げているところでございますが、是非その点については御理解をいただきたいというふうに思います。

山下よしき 篠山市の場合、本来、三位一体改革による交付税の削減がなければ、合併特例債を使った十一の大きな事業、私はこれ全部無駄だとは思いません。現地行ってみたら、図書館だって非常に大事な役割を果たしたりしております。喜ばれております。住民の暮らしを支える大事な施設がたくさんあります。
 これを特例債を使って、後どうなっても知りませんというようなむちゃな計画を立てているはずがないんです。後で後年度負担はあっても、ちゃんと計画的にそれは返していけるという見通しを持って篠山市は十一の事業に乗り出したんです。しかし、三位一体改革で交付税が削減されたことによってその見通しが狂っちゃった。もしそれがなかったら、財政再建団体に陥るような心配はなかったと副市長さんはおっしゃっておりました。国の政策変更による翻弄だということが本質だと私は思います。
 そして、これは篠山市だけの問題ではありません。平成の合併で地方自治体は平成十一年、三千二百三十二自治体から平成二十年度末、千七百八十五自治体に減ります。件数は六百五件、関係市町村数は二千五十二に上るんですね。
 資料の五をちょっと一枚物でお配りしてありますけれども、この資料の五を見ていただきますと、篠山のような事態がこれから合併した市町村に全部のしかかってくるというのがよく分かります。合併特例債、それから合併推進債、これは後年度の交付税措置額が五〇%ですけれども、合わせますと一兆四千三百八十九億円あります。そのうちもう既に償還して交付税措置されている額は六百二十三億円しかない。これからどんどんどんどん合併特例債で行った事業の償還が各自治体にのしかかってくるわけですね。篠山の苦労が全国で三分の一の自治体に覆いかぶさってくるというわけですから、今、篠山市は大リストラ計画を立てております。職員数の大幅削減です。五百六十人のうち、もう既に早期退職で六十人今年度末に辞めるということになっております。幹部が中心ですよ。それから給与を一律二〇%、去年入った職員まで削られようとしている。五十歳以上は昇給なし。そして次は市民サービスの切捨てです。
 私は、こんな市民に苦痛を与えていることを高みの見物を政府がすることは絶対に許されない。だって政府の政策でこうなってきたんですからね。そもそも地方交付税というのは標準的なサービスを地方税収によって賄えない団体に交付する財源でありまして、これがなかったら全国あまねく必要なサービスを行うことができない。それがどんどんどんどん三位一体で削られてきて、特に合併した自治体ではこういう苦しみが今襲いかかろうとしている。市長さんを先頭に頑張っておられます。市民の力と知恵を集めて乗り切ろうとしておりますから、是非要望を、地方の財政を先食いするときには平気でやるけれども要望に冷たいというんでは総務省が泣きますので、しっかりとこの要望を受け止めていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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