あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
トップページ ご意見・ご要望をお寄せくださいサイト内検索
論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 

2007年12月13日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに音先生に、国際放送の命令放送について伺いたいと思います。
 先生は、グローバル化の中で国際放送の要請が高まっているということを先ほどお述べになって、その在り方としては、政府にとって都合の良いことのみならず悪いことも発信すること、あるいは国民にとって少し恥ずかしいと思われることも発信すること、これによってアジアの中で民主主義が発展することに資するような発信の仕方が重要ではないかということをお述べになって、非常に共感をしたんですけれども。
 そこで、この命令放送の命令という言葉の意味なんですが、私は、国際放送をやってくださいと、つまり日本のいろいろな国民の生活だとか社会の状況だとかをアジアや世界に発信する、その放送を世界に向かってやってくださいという命令ということであって、こういう内容を放送せよという命令ではないと。そうなると放送内容に対する権力の介入ということになりますので、国際的に放送してくださいということの要請ないし命令は分かるんですが、内容に踏み込むことは間違いだというふうに思うんですが、先生の見解を伺いたいと思います。

参考人・音好宏(上智大学文学部新聞学科教授) 
君) 私も先生のおっしゃるとおりだと思います。
 昨年の六月の政府・与党合意の後でこの国際放送のことが議論になったのですけれども、やはりその延長線上で非常に個別具体的なことに関して命令放送ということが出されたことでこれだけこの問題が議論になったんだというふうに私は認識をしております。
 正に先生御指摘のとおり、日本からどんどん発信をしなさいということの意味で国際放送は進んでいたんだと思うんですね。日本のことが広く世界に知れるということは、それは私はいいことだというふうに思っております。繰り返しになりますけれども、それはありのままの日本を伝えることがすごくいいことなんだというふうに思っております。

山下よしき 続いて音先生にお伺いしたいんですけれども、NHKの経営委員会の在り方についてですが、国民の代表であるべきだと、非常に大事な位置付けだと思うんですが、そのためには、常に公開をされることと、それから選任をどのようにしてするのか、これが大事だということで、いずれも見えにくいという御指摘だったと思うんですが。
 私も、昨日の委員会でも少し取り上げたんですが、現在のNHKの経営委員会の構成を見ますと、地域枠というのがありながら、もうほとんど大企業、財界の御代表が特定の地域からずっと継続して選ばれているというような問題がありまして、これは少し国民の代表というにはどうなのかという意見を持っているんですが、先生の選任の在り方についての問題意識、またどういう改革が必要かという問題意識をお聞かせください。

音好 諸外国を見てみますと、この辺りのところは相当いろんな形で議論をされているところがあるかと思います、例えばイギリスですとか。それから、研究者の中では、ここの部分は公募制にすべきだというような議論をされる方もいらっしゃいます。これがいいというふうなことはここでは特に申し上げませんけれども、少なくともこの件に関してもっとしっかり議論をまずしてはどうかなと、そこから始めるのが大事ではないのかなというふうに思います。

山下よしき 次に、放送と国民の政治意識の関係について伺いたいと思います。
 二〇〇五年の総選挙にかかわって、ある調査では、テレビを見る時間が長い人ほど自民党の投票率が高いという結果が、相関関係が現れたと。二〇〇五年ですから、このときは小泉さんの郵政解散の総選挙でしたから、まあ何といいましょうか、小泉劇場型政治選挙の最高潮という特殊な選挙だったのかもしれませんが、私はテレビの影響の大きさ、放送の在り方はどうあるべきかを非常に考えさせられました、その結果を見て。同時に、これは特殊な、一回の選挙だけではないんじゃないかというふうに思っております。
 現在、特に衆議院の選挙制度は小選挙区制になっておりまして、私はこの制度は民意を正確に議席に反映させるという選挙制度の一番大事なかなめをゆがめる制度だと思っております。要するに、小選挙区では一人しか通りませんから、少数意見が切り捨てられるのではなくて多数意見が議席から切り捨てられるという根本的な欠陥を持っているからであります。二大政党制に無理やり国民の意識を押し込んでいく作用がこの制度によって果たされ進められているんではないかというふうに感じております。
 そのときに、放送が、先ほど上澤参考人はAかBかではなくてCもあるというふうに、これは選挙ではないですけれども、報道の在り方として留意する必要があるというのをお述べになりましたが、そのときに、選挙制度が無理やりAかBかということを迫るような制度に今なっているときに、放送までAかBか、あるいはAとBの対決というような図式で放送されますと、仮にAとBが大連立しようとしているにもかかわらず、AとBの対決などということになりますと、これは私は選挙報道の公正性という観点のみならず、この国の民主主義の豊かな、懐の深い発展をも妨げることになるのではないかというふうに思っております。AかBかではなくて、AとBもあるし、Cもあるし、Dもあるし、Eもあるし、Fもあるというふうにすべきではないかと思うんですが、まず上澤参考人、続いて音先生の御意見を伺いたいと思います。

参考人・上澤孝二(北海道文化放送株式会社代表取締役社長) 私が答えられる範囲は、どのような政治制度、選挙制度の下でも一貫して私どもメディアの報道は公平な、報道対象者の公平な扱いを旨として、日々留意してやっております。そのように申し上げます。

音好 今の先生の御指摘、非常に難しい問題だと思います。
 つまり、マスメディアの社会的影響力というのをどういうふうに測定をするのかという、これはマスコミ研究者がずっと悩んでいるところでございます。そのことがありながらということで、二つ例を申し上げます。
 一つは、私の大学の隣の研究室で社会心理学を専門にされている先生が調査研究をしたものなんですけれども、日本では新聞に関しては宅配制度が割と発達しているものですから、一軒で二紙取っている家庭って非常に少のうございます。一紙取っているわけですね。新聞の方は、そのことでいいますと、どちらかというと与党寄りですとか、どちらかというと野党寄りですとかっていろんなことが言われる新聞があるわけですけれども、その私の隣の先生の調査によりますと、一方で、一紙だけ取っていて比較的与党寄りの新聞を読んでいる人だとすると、その新聞だけずっと読んでいるとやはり自分の考え方というのがそちらにずっと寄っていく傾向があるというんですね。ところが、もう片方で、テレビを見ている、その調査では具体的にはニュースステーションですとかニュース23というふうなものを挙げているんですけれども、そうすると、両方見て読むと少しバランスが出てくるというお話なんですね。
 ということは何を意味しているのかというと、先ほどリテラシーのお話がございましたけれども、オーディエンスの側がメディアメッセージどういうふうに受け取っていくのかって実はすごく大事であろうと。複数読み比べみたいなことをすることが大事であろう。もう片方で考えると、これは今日の一番最初に私御紹介させていただきましたマスメディアの集中ということと議論が重なるところなんですが、一方で活字メディアというものが、これは制度的な規制がなく出版されているわけですけど、そうすると、もう片方で、放送に関しては放送法というものに基づいて政治的公平性ということが規定されているわけですね。とすると、その二つがあることにすごく意味があるのではないのかという議論なんですね。とすると、そこでの資本関係がつながるということについての非常に批判的な意見が特にアメリカなど、又はヨーロッパなどで出されるのはこういうような考え方からでございます。
 放送はどこからチャンネルをひねっても、つまり与党側の議員が話をされているときからチャンネルを開いても野党側のところから開いても全然違う方がしゃべっているところからチャンネルひねって接触をしても、どこから出てくるかも分からないからこそ放送に関しては政治的公平性ということが制度で決められている。もう片方で、活字メディアの方はだれでも自由にアクセスをしていいですよというふうになっている。その両方があるということの持っている意味というのがすごく大事なのではないのかなというふうに思います。
 その意味でいうと、先生の御指摘も片方で非常によく分かるんですが、もう片方で、放送に関しては政治的公平ということが制度でうたわれていることの持っている意味というのはやっぱりすごく大事なんだろうというふうに認識をしております。

山下よしき 続いて川端参考人とまた音先生に伺いたいと思いますけれども、「あるある」のあの番組の影響の大きさというのを私も感じておりまして、私のよく知る弁護士の方がちょっとメタボを気にされている方で、あの「あるある」の番組を見てから毎日納豆を食べ続けていたと。弁護士の方でもそういうことがあるのかなと、それほどテレビの影響というのは大きいなというふうに感じたわけです。
 ただ、放送局と制作会社の責任はこれは直接的に非常に重大ですが、同時に、なぜこうした番組作りがなされて放映までされてしまったのか。先ほど末松先生からもお話がありましたけれども、その背景に構造的な問題があるとすれば、これは他の民放にもそういう過ちを犯すおそれがないとは言えないんじゃないかと思います。
 私が感じるのは、一つは、先ほどの末松先生のお話にもあった過大な視聴率の競争ですね。それからもう一つは、広告料を背景としたスポンサーの意向の番組内容への影響というものがあるのではないかとちょっと感じているんですが、その辺り、直接検証された川端先生、音先生の方から御意見承りたいと思います。

参考人・川端和治(放送倫理・番組向上機構放送倫理検証委員会委員長) 放送倫理検証委員会では、具体的な問題が起こったときに、一体それがどうしてそういう問題が起こったかということを調査し見解を発表する、勧告を行うということを役割としております。また、いろんな事例が重なって、これは一般的に放送番組の制作の上で倫理的な基準の逸脱があるというふうに考えた場合にも見解を発表することになるだろうと思います。そういう見解はまだ発表しておりませんけど、そういうことになるだろうと思います。もし仮に視聴率競争あるいはスポンサーの意向というものが放送番組に倫理に反するような影響を与えるという事例があれば、それはそのようなものとして取り上げて意見を述べるということになりますが、今御指摘のありましたその二つの点、それ自体について意見を述べるような役割は我々は持っていないというふうに認識しております。

音好 「あるある」の事件に関して調査をしましたので「あるある」の件に関して申し上げますと、今日も報告書を持ってきたんです、こういうような報告書を最終的に作りました。随分ヒアリングをしたのですが、その調査をやっている最中も、それからその後も、視聴率至上主義がこういう問題を引き起こしたのだというような御意見をなさる方、随分いらっしゃいました。実はこの報告書の中ではそういうような書き方はしておりません。
 つまり、こういうふうに考えていただければよろしいかと思います。当該ディレクターが捏造をして、そのビデオテープを放送局に納めたわけですね。で、納豆を食べるとやせるというそのデータが出されるわけですけれども。じゃ、その当該ディレクターになったつもりで考えていただければと思うんですけれども、視聴率を二%上げるために納豆のデータを改ざんしたのかと。つまり、データを改ざんすれば視聴率は上がるというふうに考えたのかというと、そんなことはございません。そうではなくて、締切りに何とか間に合わせたい、追い詰められた中で変えたんだということなのだというふうに私は認識をしております。
 つまり、視聴率至上主義が問題であるというふうなのは、今世間でいろんなところで言われておりますけれども、もう少し丁寧に見てみると、実はそのときの制作構造がどうなっているのかですとかというような辺りのところをより考えていく必要があるであろうと。もし視聴率至上主義が問題なのであれば、ある全国紙で記事の捏造ということがございましたけれども、じゃそういうことは起こらないはずなんですね。つまり、視聴率至上主義がテレビの悪である、テレビを悪くしているんだというふうなのは非常にステレオタイプなのではないのかなというのが私の認識でございます。
 確かに、視聴率の問題、視聴率に非常に目先が行ってしまうことが放送現場を非常につらいことにしていることももちろん間違いないことではございますが、その辺りは、ただもう少し丁寧に見た方がいいのであろうというふうに私は認識をしております。
 もうちょっとだけ付け加えさせていただくと、正にその制作構造の問題というのは確かにございまして、それに関しては、先ほどの関西テレビに関して申し上げると、上澤さんも少し御紹介してくださいましたけれども、関西テレビは、番組を外に発注をしている制作会社との契約関係を変えるという努力を今されていらっしゃいます。正にそれはこの報告書で求めたことでございます。
 というような形の改善というものを日本の放送界全体が変えることによって制作現場は随分変わっていくでしょうし、それからよりチェック機能というものが働く仕掛けになるのではないのかなというふうに思っております。

山下よしき 最後に上澤参考人にお伺いします。
 地方独自の番組を作る、これは非常に地域の文化や生活の向上にとって大事なことだと思っておりますが、いろいろ御苦労がおありだと思いますし、またやりがいもあると思います。そして、視聴者の反応もいろいろあるんだと思いますが、その辺り、御苦労ややりがいなどをお聞かせいただければと思います。

上澤 冒頭のお話の中で、北海道の各民放局、これはNHKさんもそうですが、地域密着型の番組作りに精を出しているというお話も申し上げました。もう少し具体的に申し上げたいと思いますが、各社とも、午前中、それから午後は三時台から夕方にかけて約三時間ぐらいの情報番組、生活情報番組、それから夕刊の時間帯の、これは中央のニュースと地元のニュース、いわゆるニュース番組ですね。つまり、朝から夕方まで地域から発信するニュースや情報番組を作って競っています。
 それで、この中で、これは私どもの社ではありませんが、札幌の放送局で、全国でもトップ級のそういう地域の番組を作って、視聴率の話をすれば相当高いですね、支持者を得て頑張っているところがありまして、私どももその優れた放送局に追い付くべく日々努力しているところです。
 参考までに、全く手前みそですが、私どものテレビ局の自主制作番組の有様の一端をお伝えしますと、朝四時五十分から番組をスタートさせます。今、札幌の朝四時五十分は真っ暗です。だれが見ているかという時間帯ですが、これは、例えば何年に一遍かの地震や災害時に放送局に人間がいなくては対応できないではないかという、突発時への人的備えといいますか、そういうたくらみもありまして、やるなら朝四時過ぎからやれと、そういうことであります。それが終わりますと、これはもう十四年続いている番組ですが、午前中に主婦向けの長時間番組を組んでいまして、午後になりますと、これは札幌駅の構内に常設したスタジオから今度はヤング向けの一時間ぐらいの番組を展開しています。それで夕方のニュース番組につなぐと。ほぼ終日にわたって地域の情報発信を心掛けておるところであります。
 他社の取組にお互いに切磋琢磨して、展開している番組それぞれが、これは地域にとっては非常に活性化に役立つといいますか、日本ハムが勝てば一斉に取り組みますし、コンサドーレがJ1に昇格すれば一斉に取り上げますし、本当に手前みそですが、テレビ各社のそういう地域とつながった放送事業の働きは、これは大いに地域の元気、活性化につながっていると、こんなふうに自負をしております。
 以上でございます。

山下よしき どうもお三方、ありがとうございました。
 終わります。

ページ最上部へ   トップページへ    
 

 ■山下芳生国会事務所  〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館1123号室 TEL:03-6550-1123 FAX:03-6551-1123

 日本共産党国会議員団近畿ブロック事務所〒537-0025 大阪市東成区中道1-10-10ホクシンピース森ノ宮102 TEL:06-6975-9111 FAX:06-6975-9115

本サイトへのリンクや、文書・写真などの複製・転載などにつきましては、事前にご連絡をくださるようお願い致します。
Copyright since 2003, Japanese Communist Party. All right reserved.