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《講演》3つの憲法条文が生きた力を発揮する(大要)

2009年02月07日

 大阪憲法会議・憲法改悪反対共同センターが1月25日に開いた「新春学習と交流のつどい」で、日本共産党の山下よしき参院議員(大阪憲法会議副幹事長)が「9条、25条、28条を結び合わせて壮大な国民運動を」と題して記念講演しました。その大要を紹介します


photo 07年の参院選で国会に戻していただいて以降、特に昨年は、憲法をめぐって大変大きな前進が記された年でした。

 参院選前に国民投票法が強行され、憲法改訂案を審議する憲法審査会の設置が決まりました。本当なら政府・与党は、参院選直後の臨時国会で憲法審査会を設置して動かしたかったのです。しかしそれ以後、3回の臨時国会、今回を含めて2回の通常国会と、5回の国会で憲法審査会を動かせていません。

 背景には、改憲に「反対」という人が、「賛成」を上回るという国民世論の大きな変化があります。その土台には全国で7千以上の「九条の会」が草の根で広がり、大阪でも憲法会議の皆さんが各地域や団体で頑張っておられることがあります。

■9条――「世界は変わった」米の一国覇権主義の崩壊


 その中でいま、憲法の3つの条文が生きた力を発揮しています。1つは、9条です。

 アメリカのオバマ新大統領は就任演説で、「世界はすでに変革しており、われわれもそれに合わせて変わらなければならない」と語りました。彼は「世界の変革」について具体的には触れていませんが、客観的には、アメリカの一国覇権主義が破たんに直面していることがあります。

 最大の現れは、イラク戦争に示された先制攻撃戦略の破たん。さらに、アメリカを震源地とした世界金融危機は、経済的な覇権主義の破たんをも物語っています。

 同時に、昨年12月にブラジルで開かれた中南米カリブ海諸国首脳会議が、新しい「中南米カリブ海諸国機構」の創設を合意するなど、アメリカ一国覇権主義に代わる新しい世界秩序への大きな流れが前進しています。

 昨年は、日中平和友好条約締結30周年にちなむ日中青少年友好交流年。私は年末、その閉幕式に出席する日本側の超党派国会議員の一人として、北京を訪問しました。訪中前に私は、元中国大使の中江要介さんの著書『日中外交の証言』を読みました。

 中江さんによれば、友好条約締結の前年に当時の福田赳夫首相が発表した「福田ドクトリン」は、日本は経済大国になっても軍事大国にはならない、東南アジアとの関係はモノとカネだけでなく、心と心の結びつきが大事であり、体制や主義主張にかかわらず、平和共存の東南アジアをつくるというものです。その考えに基づいて平和友好条約が締結されたとしています。

 私が中国の方にそのことを紹介すると、「その通りだ」と納得してくれました。「歴史を鏡とする」が中国の大事な考えです。ならば、30年前に自国の首相や政府が主張していた立場がいかに重要か、改憲の動きが周辺諸国との平和友好関係をいかに傷つけているか、考えねばなりません。9条は「理想論」どころか、現実の国際関係を前進的に開く力を発揮してきました。世界も日本とアジアの関係も、9条がいよいよ羅針盤となる時代になっています。

■25条――生存権をめぐるたたかいの画期的前進


 2つ目は25条、生存権保障です。昨年の秋以降、景気悪化を理由にした「派遣切り」「期間工切り」などの非正規切りをトヨタはじめ大企業が競い合っています。

 私もお正月に東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に行きましたが、1700人ものボランティアが集まるなど、温かい連帯が広がりました。

 画期的だったのは、その場から弁護士さんが支援して、生活保護申請を東京都千代田区にファクスで送ったことです。1月9日に申請した236件すべてが認められ、生活保護費1カ月分の支給が始まりました。

 これまで生活保護に対してバッシングがありました。しかしそれは違う。憲法25条にある最低限度の人間らしい生活を保障するのが生活保護。もうかっている大企業が首切りをして、仕事も住まいも生きることも危なくなっている人たちに、生活保護を適用するのは当たり前だという、世論の変化があります。

 どうすればワーキングプアをなくせるのか。やはり生活保護を活用して、住まいも、食べることも心配ないようにしてこそ、自分に合ったまともな仕事を見つけることができる。
 大阪で派遣切りに遭った28歳の青年は、弁護士の協力で生活保護を受給してアパートを借り、パソコン講習を受けて、正社員になるために一生懸命です。

 こうした動きを社会全体に広げていける条件を、「年越し派遣村」や私たちのたたかいで切り開いてきました。

 07年10月、被災者生活再建支援法が抜本改正されました。私は14年前の阪神淡路大震災のときから、国会で同法の制定にかかわってきたので、非常に感慨深いものがありました。

 当初は地震で壊れた家の復旧は、私有財産制の国では自己責任が原則だという壁が立ちはだかっていました。住宅は財産であると同時に、人間として生きる上で必要不可欠な基盤でもある。それを財産の面しか見ないのは間違いだという論戦を、私も国会でやりました。

 国会論戦の積み重ねや世論と運動で法改正が実現し、全壊世帯に300万円の費用が支給されるようになりました。ここにも、住まいの保障は憲法25条に基づく要請だという土台があったことを、強調したいと思います。

■28条――労働者の基本的権利が大きく発揮


 3つ目は28条が保障する、労働者の基本的な権利です。団結権・団体交渉権・団体行動権の労働三権が、大きな力を発揮することが示された年末年始ではなかったでしょうか。

photo 「派遣切り」が嵐のように吹き荒れた直後、日本共産党は志位和夫委員長を先頭にトヨタやいすゞ、キヤノンなどに直接要請しました。ばく大な内部留保を抱えている企業が、なぜ突然解雇する必要があるのか。全企業がいっせいに「非正規切り」をしたら、失業者が増えて消費が落ち込み、景気の底が抜けるのではないかとただしました。私も先日の参院予算委員会で、ダイハツ期間社員の首切り問題を取り上げて追及しました。

 同時に、個々の労働者の雇用を守るたたかいは、労働者自身が労働組合をつくって企業と交渉することなしには前進しません。政党がなり代わって企業と交渉することはできないからです。

 いま、非正規労働者の人たちが立ち上がって労働組合をつくっています。昨年末から1月中旬現在で、いすゞやマツダ、大分キヤノンなど28組織45の職場・企業で非正規の労働組合が結成されました。

 労働三権は憲法に保障された権利。それに基づいて労働組合をつくれば、最初は組合員が1けたしかいなくても、相手はどんな巨大企業であっても、団体交渉せざるを得ません。企業が直接雇用している期間社員がつくった労働組合との団体交渉は、拒否できないのです。

■垣根を越えて語り合えば憲法の値打ちが伝わる


 各地の青年会議所が国会議員を招いて「憲法タウンミーティング」を開いていますが、私は昨年8月に兵庫、9月に奈良の青年会議所のミーティングに行きました。

 青年会議所は独自の憲法改定案を出すなど改憲派の団体ですが、参加者の間で一番大きな反応があったのは、世界の流れが変わっていることについてでした。ソ連崩壊後、世界が新たな発展を始め、アメリカの一国覇権主義が包囲されてきたという見方は、どんな立場の人も否定できないのです。

 ことし1月には、若者の投票率を上げるために活動している学生団体「ivote(アイボート)」の「居酒屋トーク」にも参加しました。そこでも世界の流れについて話すと、学生たちは目を丸くして聞いてくれます。

 垣根を越えて語り合えば、憲法の値打ちが分かりやすく伝わる時代になっています。憲法の値打ちを大いに語り広げ、現場の暮らしの中に憲法を生かすたたかいを意気高く進めようではありませんか。

「大阪民主新報」2009年2月8日付より

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