あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき



【議事録&動画】 「桜」首相の責任も重大 参院本会議 19年度決算で山下氏 安倍氏喚問 決断迫る

2020年12月01日


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 日本共産党の山下芳生副委員長は30日の参院本会議で、2019年度決算について質問に立ち、安倍晋三首相(当時)主催「桜を見る会」への税金投入問題や同会「前夜祭」をめぐる疑惑、新型コロナウイルス感染症対策などをただしました。

 山下氏は、安倍氏側が「桜を見る会」に招待した多数の後援会員を「前夜祭」にも招き、その費用としてホテル側に数百万円を補てんしていたとの報道が事実なら、公職選挙法と政治資金規正法への違反は明白だと指摘。首相が1年間もウソをついていたのは「国会と国民を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判しました。また、官房長官として安倍氏と同じ答弁を繰り返した菅義偉首相の責任は重大だとして、安倍氏の証人喚問実現を自民党総裁として決断するよう迫りました。

 菅首相は、自身の答弁は安倍氏に確認して「誠実に行ってきた」と強弁。「国会の運営は国会で決めることだ」として証人喚問要求を事実上拒否しました。

 山下氏は、コロナ対策でひっ迫する医療機関への3兆円の支援金が実際には2割弱しか届いていない実態を示し、「医療関係者に感謝するというなら、減収補てんに踏み切るべきだ」と要求しました。菅首相は、田村憲久厚生労働相に「速やかに届けるよう厳しく指示している」と説明しつつも、減収補てんには応じませんでした。

 山下氏は、菅首相による日本学術会議推薦の会員候補6氏の任命拒否について「強権をもって異論を排除する政治に未来はない」と批判。菅首相は「適切に判断を行った」と繰り返し、広がる抗議の声に背を向けました。




【動画】









【議事録】



 私は、日本共産党を代表し、2019年度決算について菅総理に質問します。

 同決算は、内閣総理大臣が主催する政府の公的行事として、「桜を見る会」に予算の3倍もの税金が投入された決算です。当時の安倍総理は、桜を見る会に多数の地元後援会員を招待した上、その前夜、都内のホテルで、安倍晋三後援会主催で後援会員らを招いた「前夜祭」を開催していましたが、安倍氏側が数百万円の費用を補填していたことが判明したと報道されました。これが事実なら、公職選挙法違反、政治資金規正法違反は明白です。

 しかも、重大なのは、国会で1年にわたって総理がウソをついていたことです。国会と国民を愚弄(ぐろう)するものであり、絶対にあいまいにすますわけにはいきません。

 この問題では、官房長官として、ホテル側に確認もしないで安倍総理と同じ答弁を繰り返した菅総理の責任も重い。総理、その自覚はありますか。

 総理は、捜査中なので答弁は控えると言います。しかし、国会で真相を明らかにするとどうして捜査の障害になるのか。国政調査権と司法の捜査が真相解明を進める上で車の両輪となることは、ロッキード疑獄など数かずの歴史的経験があります。捜査中なのでという逃げ口上は、到底通用するものではありません。

 国会をウソの舞台としたままにすることは、民主主義の国では許されません。国会のあり方が問われています。党派を超えて真相解明に力をつくし、国会の矜持(きょうじ)を示そうではありませんか。

 そのためには、安倍前総理の証人喚問は不可欠です。総理、国会のことは国会がお決めになると逃げないで、自民党総裁として決断すべきではありませんか、答弁を求めます。

 2019年度決算は、消費税が10%に増税され、医療切捨てが進められた年の決算です。総理は、そのことが新型コロナウイルスの感染拡大と結びつき、いま、国民の暮らしと命を危機にさらしていることを認識していますか。

 新型コロナの感染爆発は何としても止めなければなりません。以下4点提案し、総理の認識をうかがいます。

 第1は、無症状の感染者を把握、保護するためのPCR検査の抜本的な拡充です。

 コロナの一番厄介なところは、無症状の感染者が感染を広げてしまうことにあります。ところが、政府は無症状の感染者を把握し保護するという検査戦略を持っていません。その結果、感染経路不明者が5割から6割に達し、対応不能となっています。

 7月、わが党の志位委員長は、1つ、新宿区歌舞伎町など感染拡大の震源地となっていると考えられる地域に対し、大規模で網羅的な検査を行い、感染拡大を抑止すること、2つ、医療機関、介護施設など集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入りする業者への定期的な検査を行い、集団感染を防ぐことを当時の安倍総理に申し入れました。

 政府も11月、新宿区歌舞伎町で大規模、地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したと認めました。ならば、総理、全国の感染急増地域に対し、大規模、地域集中的なPCR検査を積極的に行うべきではありませんか。

 また、政府は、8月以降、医療機関、高齢者施設等の入所者、職員に対する一斉、 定期的な検査を自治体に要請する通知を何度も出しています。しかし、費用が心配で二の足を踏む自治体も少なくありません。

 総理、医療機関、高齢者施設等で検査を行った費用は全額国庫で負担すると明言すべきではありませんか。

 第2は、感染者と接触した人を追跡するトレーサーを確保し、保健所の体制を抜本的に強めることです。

 総理は、保健所を応援するための人材を1200人確保すると言いましたが、とても 足りません。米国のニューヨーク市では、民間の協力も得て検査・追跡部隊を立ち上げ、検査、追跡、隔離、援助を一体的に実施しています。4000人のスタッフが活動し、陽性者の追跡率は90%に上っています。

 総理、政府の責任で十分な数のトレーサーを確保すべきではありませんか。

 第3は、医療崩壊を起こさないために、医療機関に対する減収補填、宿泊療養施設の確保を行うことです。

 総理は、医療機関への支援のために3兆円の予算を投入したと言います。しかし、 医療現場に届いたのは、11月16日時点でわずか5634億円、2割弱です。

そうした下で、4分の1の医療機関では夏のボーナスがカットされました。少なくない医療機関で冬のボーナスもカットされようとしています。

 総理、医療関係者に感謝すると言うのなら、医療機関に対する減収補填に今こそ踏み切るべきではありませんか。

 第4に、GoToトラベル事業を抜本的に見直すことです。

 総理は、のべ4000万人以上の方がたが利用して、感染者は約180名と言いますが、 180名とはいったいどういう人ですか。利用者から感染した人は含まれていますか。4000万人の利用者の中に、無症状の感染者がどれくらいいて、どれくらいの人に感染を拡大したか、把握していますか。こうしたことを抜きにGoToトラベルが感染拡大の主要な原因ではないなどとは言えないのではありませんか。

 専門家の意見に耳を傾け、GoToトラベル事業は抜本的に見直すべきです。あわせて、苦境に追い込まれた中小事業者に対し、持続化給付金の第2弾を実施し、地域や業界の状況に合わせた直接支援を行うべきです。総理の認識を伺います。

 このままでは年が越せないとの声が広がっています。

 総理、雇用調整助成金のコロナ特例、生活に困窮している人のための貸付金など、 12月末で期限が切れる直接支援策は来年まで延長し、充実させるべきではありませんか。

 また、ひとり親世帯に対する臨時特別給付金、食費を削って学費や下宿代を払っている学生への緊急給付金も、年内に再支給することが必要ではありませんか。さらに、消費税を5%に減税することもちゅうちょなく行うべきです。

 総理、三次補正では間に合いません。7兆円の予備費を活用し、今、暮らしと雇用、営業を支えるべきではありませんか。答弁を求めます。

 最後に、日本学術会議への人事介入について質問します。

 菅総理による6人の任命拒否に対し、900を超える学術団体から抗議や憂慮、任命を求める声明が出されています。総理は、わが党の田村智子議員から、なぜこれほどの規模で抗議や憂慮の声が広がったと思うかと問われ、私の立場では答えるべきでないと思うと答弁しました。

 自らの行為が招いた結果に責任を負わないのなら、総理の資格はありません。総理、そう思いませんか。

 いま、科学と政治の関係が問われています。

 日本学術会議が政府からの高度な独立性を保障されているのは、戦前の科学者が戦争遂行のための軍事研究に総動員されたという痛苦の教訓があるからです。科学者までも支配下に置こうとし、強権をもって異論を排除する政治には、決して未来はありません。

 この問題は、任命拒否された6人の科学者だけの問題ではありません。学術会議だけの問題でもありません。国民全体の問題です。

 日本共産党は、戦前の時代から自由と民主主義のためにたたかってきた党の存在意義にかけて、この暴挙を許さない先頭に立って奮闘することを表明し、質問を終わります。


菅首相の答弁



 山下芳生議員にお答えをします。

 安倍前総理の関係団体の行事に関する答弁などについてお尋ねがありました。

 この行事に関する私のこれまでの答弁については、安倍前総理が国会において答弁された内容につき、必要があれば安倍前総理に確認し、誠実に行ってきたところです。

 また、国会の運営については国会においてお決めいただくことと認識しており、お答えは差し控えます。

 消費税増税と新型コロナ感染症への対応についてお尋ねがありました。

 消費税については、社会保障のために必要な財源であり、新型コロナウイルスの影響に対しては納税猶予の特例を行ったところです。

 また、現場を支える医療機関、介護施設等については、これまでも支援を進めてきたところですが、現在検討中の経済対策においても支援をしっかりと進め、国民の命と暮らしを守ってまいります。

 新型コロナウイルス感染症にかかる大規模、地域集中的な検査についてお尋ねがありました。

 政府としては、従来から、感染拡大地域において、感染防止を図るための特定の地域における大規模、集中的な検査や、医療機関や介護施設等において、働く方がたや、入院、入所者に対する一定、定期的な検査を実質的に国の負担で実施するようにしてきたところです。

 また、今般、感染拡大地域で積極的な検査が実施されるよう、都道府県等に対し、検査実施にかかる優先順位として、高齢者施設や医療機関などの重症化リスクの高い方が多数いる場所、接待をともなう飲食店など、不特定多数との接触があり、感染があった場合に拡大される場所については、特に優先して検査を実施することを強く要請したところです。

 医療機関等で検査を受ける際の費用についてお尋ねがありました。

 行政検査の国、地方の負担割合については、法律の規定によりそれぞれ2分の1となっておりますが、この地方負担分については、地方創生臨時交付金の算定対象となっており、すでに配付された交付金に追加し別途交付されることにより、検査費用については実質的に国が負担することとなっております。

 こうした点を踏まえ、今般、感染拡大地域の高齢者施設等の入所者、従事者に対する集中的な検査について、国の負担により早急に実施するよう都道府県には要請するとともに、私自身、様ざまな機会を通じて、国の負担で検査を行えることを明言しているところであります。

 感染の接触追跡を行う保健所の人材の確保と養成についてお尋ねがありました。

 地域における新型コロナウイルス感染症対策の拠点として、ご指摘の追跡調査の実施も含め、保健所は極めて重要な役割をになってていただいていると認識しております。

 このため、まず、自治体において保健所への人的、物的支援を行うための全庁的な体制を整備していただくとともに、都道府県内での人材確保が困難となる場合に備え、国が保健所支援のための広域調整を行う仕組みを整備してきました。

 その上で、都道府県での広域調整では不十分な場合に備え、国において、感染拡大地域の保健所等に派遣する専門職について、先週にはそれまでの倍となる1200名を確保し、都道府県からの要請により、派遣することとしております。引き続き関係団体等に働きかけ、さらなる人材確保につとめてまいります。

 医療機関への減収補填についてお尋ねがありました。

 医療機関については、患者数の減少による収入の減少などが見られることから、医療現場で新型コロナウイルスに立ち向かってくださった医療従事者の方がたへの慰労金を含め、これまで約3兆円の支援を実施してきました。

 現在、実際に医療機関に届いている金額は0・6兆円であり、これは医療機関からの申請の約5割となっています。厚生労働大臣には、すみやかに医療機関にお届けするよう厳しく指示をしています。

 先日は、私の方から、全国の知事に直接早期執行を要請しており、まずは引き続き、一刻も早く医療機関にお届けできるよう政府としてしっかり対応してまいります。

 あわせて、引き続き、国民の皆様に必要な地域医療が確保できるよう、感染状況や地域の医療実態等を踏まえ、必要な取組や支援を検討してまいります。

 GoToトラベル事業にかかる感染者についてお尋ねがありました。

 事業の実施にあたっては、旅行や従業員の感染が判明した場合は、ホテル、旅館などから観光庁に報告されることになっております。このような仕組みによって、GoToトラベルの利用者で、症状の有無にかかわらず新型コロナウイルスの陽性が判明した方の人数を把握しております。

 なお、11月20日の分科会の提言においては、GoToトラベル事業が感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは現在のところ存在しないとされております。

 GoToトラベルの見直し等についてお尋ねがありました。

 GoToトラベルについては、専門家の分科会の提言を受け、感染拡大地域への到着分の一時停止に加え、さらに、出発分についても利用を控えるよう呼びかけることにしたところです。

 持続化給付金については、緊急事態宣言を得て厳しい状況にある事業者の事業の継続のための特例的な措置でしたが、中小企業については資金繰りや感染対策、設備投資などを幅広く支援しているところです。

 さらに、現在、経済対策の検討も進めており、雇用を守り、事業が継続できるように必要な措置を検討してまいります。

 雇用調整助成金などの支援策の今後の取扱いについてお尋ねがありました。

 雇用調整助成金の特例措置の取り扱いについては、12月末までとしていたところ、現下の情勢を踏まえ、来年2月末まで現在の特例を延長することにしました。

 緊急小口資金などの特例貸付けについては、貸付実績や経済の動向などを踏まえ、今後の対応を検討してまいります。

 ひとり親家庭に対しては、その実情を把握しつつ、緊急的な支援が必要な場合には状況に応じて迅速な対応をしていきたいと考えています。

 学生支援緊急給付金については、新型コロナウイルス感染症や学生の修学の状況などを注視しつつ、必要な対応を検討してまいります。

 消費税減税についてお尋ねがありました。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が減少した中小事業者も含め、消費税等の納税猶予を特例的に行っておりますが、消費税については社会保障のために必要な財源と考えております。

 新型コロナウイルス感染症対策予備費についてお尋ねがありました。

 コロナ予備費については、これまで、医療機関の支援、ワクチンの確保、雇用調整助成金や持続化給付金の追加など、その都度必要な経費、合計4・2兆円を使用してきています。

 今後も、感染状況や経済状況を踏まえ、緊急に予算の手当てが必要になった場合には、コロナ予備費も活用し、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期してまいります。

 日本学術会議の会員の任命についてお尋ねがありました。

 ご指摘の委員会質疑でも申し上げましたとおり、今回の任命について様ざまなご意見 があることは承知しておりますが、任命権者として、内閣総理大臣として、その責任をしっかり果たすため、日本学術会議法にそって、学術会議に求められる役割等も踏まえ、適切に判断を行ったものであり、こうしたことはこれまでも説明してきたとおりであります。


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