１０月１１日、大先輩である故・東中光雄元衆院議員の「お別れの会」が大阪市内で行われ、５００名の方が参加してくださいました。赤松広隆衆院副議長、逢沢一郎衆院議運委員長、森喜朗元首相もご出席いただきました。
　以下は、私が行った東中さんへのお別れの言葉です。
　

　「東中光雄さんへのお別れの言葉」


　東中光雄さん。日本共産党国会議員団の大先輩として、また地元大阪の党の大先輩として、本当にお世話になりました。

　東中さんの３１年間の国会活動は、数々の堂々たる論戦によって貫かれています。
　沖縄の無条件全面返還と日米安保条約の廃棄をもとめた論戦を出発点に、自衛隊海外派兵など日米軍事同盟の危険な実態を追及し、憲法９条の平和原則を守る論戦。
　国鉄分割民営化反対など労働者の権利を守るとともに、公害規制をはじめ大企業本位の政治から国民本位の政治への転換を迫る論戦。
　ロッキード事件の真相究明をはじめとする金権腐敗政治の一掃や、「政治改革」の名による小選挙区制導入を許さないなど民主主義を守る論戦。
　いずれも国政の根幹をなす問題に、ズドンズドンと鉈を打ち込むような骨太い論戦でした。
　また、東中さんは、国会運営の要である議院運営委員会の理事会メンバーを２７年間連続して務め、議会制民主主義の筋を通す国会運営を貫くことで、党派を超えて信頼を得るなど、国会の重鎮としての役割を果たしてこられました。

　東中さんは、自らの国会活動の原点・信念を、１９９４年、永年在職議員の表彰への「謝辞」で次のように述べておられます。
　「顧みますと、わが国は、私が小学校に入った１９３１年、中国への侵略を開始し、１５年戦争に突入しました。私は、日本帝国主義の侵略戦争強化、拡大のなかで成長し、４５年６月、零戦特攻隊員となりました。それだけに、戦後、太平洋戦争は一体何であったのかを真剣に追及してまいりました。
　太平洋戦争は侵略戦争であります。この歴史的事実を確認することが戦後政治の原点です。日本国憲法は、この侵略戦争への反省のうえにあります。憲法の平和的民主的原則の擁護こそ私のいっかんした政治的信念であります」。
　まさに、言葉通り「平和と民主主義ひとすじ」の３１年間でした。

　こうした東中さんの原点を、私は２０年余り前に知りました。特攻隊員として零戦の前に立つ東中青年の写真と、東中さんからの新成人へのメッセージが「赤旗」に掲載されたのです。民青同盟の若い仲間たちと写真をみて「あっ」と叫んだあと、メッセージを読んで無言になったことを思い出します。零戦特攻隊員から日本共産党代議士へ、という東中さんの生き方にこたえて、私たちも「歴史に学び歴史をひらく」人間になろうとの思いを強くしたのでした。
　その後、候補者活動や国会活動をつうじて、東中さんからたくさんのことを教わりました。国会論戦では厳しく気迫あふれる追及をされる東中さんでしたが、私たちには大変気さくで、安心して相談できる、あたたかい先輩でもありました。

　いま、日本が「海外で戦争する国」になるのか、「憲法を守り生かす国」になるのか、歴史的岐路にあります。同時に、国民多数の願いと逆行する安倍政権の暴走に、真正面から対決し、抜本的対案を示し、国民と共同する日本共産党に、新たな注目と期待が広がる「自共対決」の時代でもあります。
　東中さんのご遺志を受け継ぎ、論戦でも、民主連合政府めざす強く大きな党づくりでも、全力を尽くすことをお誓いして、お別れの言葉とします。

　日本共産党書記局長・参議院議員　山下芳生