ダイキン工業 “200人雇い止め、一方で200人雇用”の不合理
2010年10月03日
200人を雇い止め、一方で新たに200人を雇用――空調機器世界トップの座をねらうダイキン工業(本社大阪市)でそんな不合理で理不尽なことが起こっています。
ダイキン工業堺製作所は、2008年3月に偽装請負から直接雇用した「有期間社員」のうち203人を今年8月末で雇い止めにしました。しかし、記録的な猛暑でエアコンが飛ぶように売れ、ダイキンは大忙し。残業時間延長や土曜出勤も行われています。とても200人もの労働者を雇い止めにしなければならないような状況ではありません。現に、ダイキン工業堺製作所は、新たに200人以上の「有期間社員」を雇い入れているのです。
きょう、大阪・堺市で、偽装請負期間も含めるとダイキンで20年働き、8月末で雇い止めされた労働者Aさんから直接話を聞かせてもらいました。
機械加工やフォークリフトの熟練労働者として、生産工程の重要部分を担い、安全提案なども積極的に行ってきたAさん。08年3月に請負労働者からダイキンの「有期間社員」に変わったときは、「ずっと続けてきた仕事を続けたい」「かなりの人が正社員になれるのではないか」との思いだったといいます。
しかし、正社員登用試験で合格したのはわずか1割。他の労働者は、「最大2年6カ月」という契約更新期限を理由に雇い止め・解雇されたのです。納得いかないAさんは、8月初旬、「有期間社員」の仲間とともに労働組合(JMIUダイキン工業支部)を結成し、現在、雇用継続を求めて裁判でたたかっています。
「はじめは自分のことと思ってやっていたが、淀川工場、滋賀工場でも同じことが起ころうとしているし、いろんなオルグや集会に行くと有期雇用問題は全国に広がっていて、苦しめられている人もたくさんいると知った。これからは、その人たちのことを考えながら行動しなければならない」とAさん。ずんずん成長するたたかう労働者の姿に胸が熱くなりました。
人間を出し入れ自由のモノのように扱い、企業経営の安全弁、調整弁とする――こんな不合理・理不尽を横行させたままでは、労働者の安定した暮らしも、企業の健全な発展もありません。いまあるルールを守らせ、新たなルールをつくる――まさに政治の出番です。(写真は、ダイキン工業堺製作所臨海工場の門前で)