泉南アスベスト訴訟で画期的判決! 1万円札の印刷現場を視察
2010年05月19日
国の不作為行為を認める画期的な判決です。アスベストによる健康被害を受けたのは、危険性を知りながら、規制権限を行使しなかった国に責任があるとして、大阪泉南地域にあった工場の元労働者や周辺住民29人が国に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は、国の責任を認め、国に対して総額4億3505万円の支払いを命じる原告勝訴の判決を言い渡しました(周辺住民3人について、近隣ばく露による深刻な健康被害を認めなかったことは不十分な点です)。
視察先からの帰り勝利判決を知り、判決報告院内集会にかけつけました。「みなさんの命がけのたたかいで、これは個々の企業の責任にはできない、アスベストの危険性を知りながら手を打たなかった国に責任があると断罪されました。国策優先、産業優先で、労働者の命と健康を2の次、3の次にしてきたことはまちがいだったということです。国に控訴を断念させ、アスベスト被害者に謝罪と補償を行わせるとともに、国のあり方、行政のあり方、政治のあり方を変えていく大きな一歩にしましょう」とあいさつ。原告、弁護団の代表と固い握手を交わしました。
吉井英勝、宮本たけし両衆院議員と、市田忠義、こくた恵二議員秘書も参加。民主、社民の与党議員も出席し、「国が判決に従うよう努力したい」と述べました。控訴期限の2週間のたたかいが大事です。
行政監視委員会で、おさつ(日本銀行券)を印刷している国立印刷局・滝野川工場を視察しました。秘密保持のため工場内の写真撮影は禁止でしたが、職人技の数々に驚きました。
おさつの象徴ともいえる人物の肖像は、ルーペをのぞきながら金属板を手で彫って(!)凹版の原盤を作っていました。芸大出身の職員の方々が日々研鑽を積んで1人前になるのに20年かかるそうです。
工芸以外にも、印刷、検査、裁断など工程ごとに熟練の技が必要です。数十人の女性職員たちが整然と並んだ机に座り、1万円札20枚が印刷された大判の束を手で次々とめくって目視で検査する光景は圧巻でした。
偽造防止技術も、すかし、ホログラム、レーザーなど数種類あり、いずれも世界最高水準とのことでした。その結果、日本の紙幣は偽造が少なく、流通量に対する偽造発生割合を比較すると、ユーロ券は日本銀行券の210倍、ドル券は333倍、ポンド券は1496倍にもなるそうです。
同じモノを、高い品質を保ちながら作り続ける――職員のみなさんのモチベーションとモラルの高さは敬服に値します。