最低基準なくせば子どもの命にかかわる!――「地域主権改革」で参考人質疑
2010年04月16日
「地域主権改革」一括法案の問題点が徐々に参院総務委員会全体の認識になってきました。午後、昨日に続いて参考人質疑が行われました。
帝京大学教職大学院の村山祐一教授は、法案が、児童福祉施設の最低基準を撤廃し、都道府県の条例に委任しようとしていることについて、以下の柱で意見陳述されました。
▼保育所の最低基準は、市町村の保育実施責任を「財政保証」する役割も担っている
▼現行の児童福祉法でも最低基準を定めた上で、自治体が上乗せする「地域の独自性」を認めるようになっている
▼「居室面積」の最低基準が低いため、実際には自治体が約2倍の水準で保育所を設置している
▼保育予算が一般財源化されてから、自治体では整備が後回しにされ廃園も相次いでいる
▼2階にはバルコニーをつけるなど「耐火基準」が自治体判断になれば子どもの命にかかわる
▼権限委譲してもうまくいかない。地域の身近なところで子育て支援できるようにすることのほうが大切。自治体丸投げではなく地域と国が知恵を出すべき
総務委員会の各委員は配布された詳しい資料を見ながらよく聞いていて、民主議員、自民議員からも村山教授に質問が出されました。
私からは、憲法25条(健康で文化的な最低限の生活保障)と最低基準の関係とともに、「耐火基準」(耐火構造でなければならない、避難用屋外直通階段ないし耐火構造の屋外傾斜路、退避上有効なバルコニーを設置しなければならない)をなくした場合の危惧について質問。村山教授は「耐火基準」がなくなれば、まず親が不安になる、火災のときに子どもがパニックになるなど心身に悪影響が出ると指摘されました。これは重大です。
続いて、慶應義塾大学の片山善博教授に、「地方分権」「地域主権」と「国の責任」「ナショナルミニマム」との関係を質問。「ナショナルミニマム」をなくしてしまうことが「地域主権」だとの議論が横行していますが、果たして両者は対立するものなのか、補完しあうものではないのかという問題意識からです。
片山教授は「バランスの問題だ。地域主権の文脈の中で一般財源化が言われるが、現実には(予算を)削る理由を与えることになる。削られるのは声の小さいところ。子どものことが挙げられていたが学校図書館の図書購入費も一般財源化され削られた」と警鐘を鳴らしました。
委員会後の理事懇談会で、委員会として来週、都内の保育所を視察することになりました。当初20日にも採決を予定していた与党ですが、それはできなくなりました。引き続き、がんばります。