オーストラリア・シドニーでNSW州教育省を訪問 首都キャンベラへ
2009年12月17日
昨日やってきたオーストラリアの面積は日本の約20倍、人口は6分の1。広大な土地ですが、内陸部は荒涼たる砂漠地帯で、人々は大陸周辺部にへばりつくように住んでいます。首都は人口30万人余のキャンベラ。キャンベラから300キロメートルほど離れたシドニーは経済の中心地です。ここから川上善博議員(民主)が合流。
★まずは、シドニー日本人学校を訪問。新見校長、青山ゼネラルマネージャーらに案内してもらいました。現在シドニーには500人ほどの学齢期の子どもがいますが、日本人学校に在籍しているのは約100人。残りは地元校に通っています。
12名の教師は全員、日本から3年の期限で派遣される公立学校の教師。人数不足、予算不足で、長時間勤務、休日出勤が常態化しているようです。アルコールランプを日本から取り寄せるなど、帰国後も子どもたちが困らないようにしているとのことでした。
★ところで、オーストラリアは6州、北部準州、首都特別区からなる連邦制を敷いています。憲法上、教育は州の責任とされます。シドニーのあるニュー・サウス・ウェールズ州の教育訓練省を訪ねました。
説明してくれたのはジェニー・シップさん。あらゆる学校の教育の柱に「多文化主義」を掲げており、各学校に配られるカレンダーには、世界中の国の特別な日、主な宗教の特別な日が書き込まれているとのことでした。5人に1人が外国生まれで、4人に1人が自宅では英語以外の言葉を使っているNSW州にとっては必要不可欠な方針なのでしょう。
ニュージーランドとは違い、学校の財務や人事は州政府が所管しているとのことでした。また、NAPLANと呼ばれる「読み書き計算」のテストが、8歳、10歳、12歳、14歳で行われます。結果は、教師、保護者に伝えられ、州平均を下回る子どもには特別のプログラムをつくり能力を上げなければならない、とのことでした。
私からは小・中・高校の1クラスの人数を質問。シップさんは、幼稚園は20人以下、1年生は22人以下、2年生は24人以下、残りの小学校は30人以下、中学校は30人以下、高校は24人以下だと教えてくれました。とくに、小学校1、2年生については、「はじめの3年間が非常に大事」との理由で7〜8年前から30人から20人台に減らしたといいます。
公立の学校は高校まで無料ですが、私立は有料で、私立高校だと年間180万円程の授業料になるといいます。これは日本と比べても高い!
高校入試は「ない」そうですが、セレクティブ・スクール(選抜中学校)に入学する時には試験があるとのこと。
大学入試も「ない」とのことですが、州ごとに実施される統一卒業試験の結果と、高校2年、3年の2学年の学業成績とを総合して、各自に得点が与えられ、この得点をもとにオーストラリア全土の大学内の席を巡って競争することになるようです。
けさのニュー・サウス・ウェールズ州の新聞は、ちょうどその成績を学校ごとに発表し、各科目の個人成績上位者をずらりと発表する何ページ建てもの特集が組まれていました。まるで、日本の『サンデー毎日』のようでした。
★午後、在シドニーの日本の新聞記者団に会見。夕方、シドニーを離れ空路、首都キャンベラへ。約1時間で到着しました。空港ビルを出るとムッとする暑さ。きょうのキャンベラは最高気温37度と聞いて納得。やはり南半球は夏真っ盛りです。
それにしても、広大な土地があるオーストラリアで、どうして経済の中心地と政治の中心地を分ける必要があるのか?聞くと、その昔、シドニーとメルボルンのどちらを首都にするかで争いがあり、最後まで話しがまとまらず、中間にあるキャンベラを首都にしたそうです。日本でもひと頃「首都機能移転」が話題になりましたが、いちいち飛行機で移動するのはかなり不便。頓挫してよかった。