スウェーデン、フランス、アメリカ、そして日本 くらしと社会保障は?
2009年11月25日
今国会から所属することになった国民生活・経済に関する調査会。3年かけて、「幸福度の高い社会の構築」について調査しています。きょうは、「諸外国のくらしと社会保障」をテーマに、3人の参考人をお招きし、意見聴取と質疑を行いました。
国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第二室長の阿部彩氏からアメリカについて、北海道大学大学院法学研究科教授の加藤智章氏からフランスについて、株式会社舞浜倶楽部総支配人のグスタフ・ストランデル氏からスウェーデンについて、それぞれ貴重な報告を受けました。
とくに、ストランデル氏が「高福祉を望まない人はいない」「それは個人ではなく社会が保障するもの」というスウェーデン社会の理念と制度、認知症の人が「自分で生活する」ための様々な福祉用具開発には、カルチャーショックを受けました。
どうしてこんな社会が出来たのか?ストランデル氏は、100年前、ヨーロッパでいちばん貧しい、しかも人口の少ないスウェーデンから、4分の1の人がアメリカに逃げ出すという“危機”があり、それが転機となったこと、1930年代に“国家は国民の家”という考えがひろがったことを説明してくれましたが、興味深いところです。
加藤氏の、フランスでは社会保障費用の企業負担率が一貫して高い(使用者と労働者の負担割合が、医療保険で7:3、年金保険で6:4、家族給付で10:0)という報告にもあらためて驚きました。
フランスでは“企業の所得も労働者が生んだもの”という意識が強いとのことでしたが、日本の企業負担率の低さに、政治はもっと切り込まなければなりません。
阿部氏の、「格差」自体が社会に悪影響を及ぼす(「勝ち組」の健康にも影響、民主主義のしくみを脅かす)可能性が最近の研究で明らかになったという報告も貴重でした。
3人の参考人のお話には共通するキーワードがあると感じました。それは「民主主義」です。民主主義とは”国民が主人公”であり“一人ひとりが主人公”ということ。“自分さえ良ければいい”という企業の身勝手な行動に対置される、困った人をほっとかない、あったかい人間の連帯こそ、高福祉社会を実現する最大の力なのかもしれません。