2009年04月09日
忙中閑あり。東京国立博物館で開催中の「阿修羅展」に行ってきました。新緑の息吹感じる上野公園を歩いたおかげで、体も心もリフレッシュできました。
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奈良・興福寺蔵の国宝・阿修羅像は、顔が3つ、腕が6本ある「三面六臂」の異色の仏像です。阿修羅はもともとインドのバラモン教の神で、それが仏教に取り入れられたのだそうです。
魔人のような存在だった「たたかいの神」が、東方に伝来するなかで性格を変えていって、釈迦の「八部衆」という仏教の守護神として位置づけられるようになりました。
はじめて見る実物の阿修羅像に魅せられてしまいました。しばらく動くことができませんでした。
じーっと見つめていると、6本の腕は、正面を向いた阿修羅の2本の腕の3様態であるように思えてきます。両手を上に向けて天を支えるようなポーズ。肩の高さでいまにも相手を攻撃するかのようなポーズ。そして、胸の前で両手を合わせて合掌するポーズ。
見事にそれぞれのポーズが浮かんでくるのです。
顔の表情も、仏像らしい「切れ長の目」でなく、人間に近い。しかも「少年の顔」です。眉をひそめ、悩み、模索しながら、悟りを開きつつあるように見えます。
それでいて、俗世間に染まらぬ強い意志をも感じる表情です。
この阿修羅像は、まだ達観していない「一人の神(人間)」の「様々な側面」を表しているのではないか…。だから3つの顔もそれぞれ微妙に表情が違うのではないか…
そんなことを考えながら、自分自身と他人(人間)とを見つめなおすことができる仏像です。
1300年前に作られたものなのに、すごいなあ…