2009年02月10日
「かんぽの宿」など、日本郵政グループの資産売却問題を総務委員会で質問。突然の質問だったので、午後1時の委員会開会直前まで原稿を練り上げました。こういうときは集中力が大事です。
きょうの質問の柱は3つ。1つは、「かんぽの宿」だけでなく、民営化に向かう過程で、日本郵政グループの資産がバンバン売却されていることを暴露することです。
旧郵政省から、公社(03年4月)、株式会社(07年10月)と変わってきた日本郵政グループは、郵便局、職員社宅、「かんぽの宿」、病院などの膨大な不動産を保有しています。
日本郵政株式会社から入手した資料によると、04年7月から08年12月までの間に634物件が売却されていました。旧郵政省時代にこうした不動産の売却はあったのか質問すると、「かんぽの宿」の2物件が売却されたとの回答。
民営化の流れのなかで、「保持」から「売却」へと、国民の財産の扱いが大きく変わったことが明らかとなりました。
2つめは、「かんぽの宿」の79施設がオリックス不動産に一括売却されようとした問題。国民の多くは、2400億円で取得した79施設がどうして109億円という激安で売却されようとしたのか疑問に感じています。
日本郵政は、「オリックスが(「かんぽの宿」の)事業を継続していただけるとの心証を得た」といいます。しかし、契約のなかにどういう担保があるのか質問すると、「2年間は当方の承諾なく転売することを禁じる条項が入っている」との回答。
ということは、2年たてば、「かんぽの宿」の土地・建物を転売して、高層マンションやレジャー施設に用途変更することもできるということです。その点を確認すると、「契約上はそうなっております」とのことでした。
国民の財産が激安で叩き売られ、手に入れた不動産会社は転売により濡れ手で粟の大もうけができる。これは大問題ではないでしょうか。
3つめは、そもそも、なぜ「かんぽの宿」を売却しなければならないのか、という疑問です。郵政民営化で、郵便・貯金・簡易保険の3事業がバラバラにされたとき、「かんぽの宿」は株式会社かんぽ生命保険が承継するのでなく、持ち株会社の日本郵政株式会社が承継することとされました。
これはおかしい。だって、もともと「かんぽの宿」は、簡易保険の加入者のための健康増進施設だったのですから。
その点をただすと、内閣府の郵政民営化推進室長は、@かんぽ生命保険は保険業法の適用を受けることになっており、保険業法上では宿泊事業を行うことは認められていない、A赤字のかんぽの宿を保有・運営することにより損失が生じることが見込まれる、と回答。
しかし、これは理由になりません。保険業法を調べてみると、保険会社が子会社をつくり、「健康の維持もしくは増進のための運動を行う施設または温泉を利用して健康の維持もしくは増進を図るための施設の運営を行う業務」をすることはちゃんと認められているのです(保険業法施行規則)。
また「かんぽの宿」は赤字といいますが、その額は年間40億円といわれています。日本郵政グループ全体の09年3月期の中間決算をみると、経常利益は4225億円にものぼります。かんぽ生命保険単体でも1063億円の経常利益があります。40億円程度の赤字が吸収できないはずがありません。
こんなゴマカシで、「かんぽの宿」を売却しようとするなど、とても納得できる話ではありません。一体どこで誰が決めたのか、もう一度説明を求めると、「当時、竹中(平蔵)さんが民営化担当大臣であり、竹中大臣の監督下、郵政民営化準備室において法制化を進めた」との回答でした。
まさにここに今回の問題の震源地があります。私は、竹中平蔵氏を参考人として委員会に招致するよう提案。委員会室が「おおー」とどよめくなか、内藤政光・総務委員長は「申し出については、後刻、理事会にて諮りたい」と発言しました。
日本共産党は、郵政民営化法案の審議のときから、民営化は民間でできない郵便、金融のユニバーサルサービスを崩壊させるとともに、340兆円にのぼる国民の資産を日米金融資本に明け渡すものだと批判し、真っ向から反対してきました。
いまその指摘が現実のものとして進行してます。郵政民営化の根本的な見直しが求められています。