共同通信が発行する会員向け情報誌「共同Weekly」に私の記事が掲載されました。ぜひ、お読みください。
1月の党大会で前任の市田忠義氏(現副委員長)から書記局長の任を引き継いで以降、取材や講演の依頼が増えた。先日あるメディア関係者からいただいた講演テーマは「若者世代にどうアピールするか」。先の東京都知事選挙で海外メディアから「極右」と評された候補者の20代からの得票率が高かったことも影響しているようだ。
私たちは、若者の一面的な「右傾化」論にはくみしない。「3・11」以降、被災地には多くの青年学生がボランティアに駆け付け続けている。原発ゼロや秘密保護法反対の運動にたくさんの若者が参加し、自らデモや集会に取り組んでいる。非正規雇用や高学費、就職難、ブラックバイトなど青年学生特有の苦難に対しても、労働組合への加入や実態調査に取り組み、政治に働き掛ける行動が広がっている。
政治と社会の激動を敏感に感じ取り、自らの生き方を真剣に模索する若者たち、時代の中で鍛えられ、時代を変革するエネルギーを蓄えている若者たちが、いま着実に増えていると感じる。
私たちの党大会も、そんな若者たちが輝いた大会だった。20〜30代の代議員十数人が連続して発言したが、その多くがブラック企業で働いた経験を持つ。そこで苦しんで仕事を辞めざるを得ず、自分は何をしてもダメな人間だと思っていたという。そういう若者が、日本共産党と出会い、悪いのは自分ではなく社会だ、社会は声を上げれば変えられると目を開かされ、入党し、自分のようなつらい思いをする人を増やしたくないと、たくましく成長し活動する姿は感動的だった。
「悪いのは自分ではなく社会」というと、さまざまな受け止めをする方があるかもしれない。しかし、現在の若者たちが置かれている状態を客観的につかむなら、この言葉は真理だ。
例えば、新卒の若者を大量に正社員として採用し、過大な仕事を与え、長時間労働とパワーハラスメントで、短期間に若者の心と体を壊し退職に追い込むブラック企業。そんな労働実態が有名企業にまで広がる背景には、若者の2人に1人が非正規雇用という雇用の劣化がある。派遣や有期労働など不安定で低賃金な非正規雇用にはなりたくないと、学生たちは正社員をめざす苛烈な競争に駆り立てられる。ブラック企業はそこに目をつけ、「正社員募集」のニンジンをぶら下げて若者たちを餌食にする。「代わりはいくらでもいる」―。これがブラック企業の常とう句だ。
では、なぜ若者の2人に1人が正社員になれないのか。若者の意欲や能力が足らないからではない。1999年の派遣労働の原則自由化(当時国会で反対したのは共産党のみ)、2004年の製造業への派遣の解禁など、労働法制の規制緩和の結果だ。
若者の雇用の劣悪な状態は、若者にではなく、政治と社会に原因と責任がある―。この真理をつかんだ若者たちは、自己責任の呪縛から解き放たれ、たちまち時代の変革者として飛躍する。
早朝の駅前に集合する日雇い派遣の若者たちの声を聞き、震災直後に雇い止めされた期間社員の若者たちとともに闘い、ブラック企業で働く若者の実態と対策を首相に提起してきた、私のゆるぎない確信でもある。
2014年3月10日発行の「共同Weekly」より