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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

役場ごと避難した自治体の再生は、東電と政府の責任で!

2011年5月2日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が5月2日の参院総務委員会で行った質問は次の通りです。

○山下よしき  日本共産党の山下芳生です。
 四月二十五日、災害対策特別委員会で宮城県を調査し、名取市長と懇談した際、生計維持者が死亡した場合五百万円支給される災害弔慰金の国、県の負担分はいつ来るのかとの意見が出ました。通常ですと、市町村が遺族に弔慰金を支払い、国、県に対し交付申請を行ってから交付されるまでは二、三か月掛かるということですが、今度の大震災では、市町村において、亡くなった方が余りにもたくさんで、多額の立替え資金が必要となる、資金の手当てが大変だということでありました。
 遺族に早期に弔慰金を支払うためにも、この国、県負担分について速やかに市町村に届くようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○清水美智夫厚生労働省社会・援護局長 災害弔慰金についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおりでございまして、通例でございますと、災害弔慰金につきまして、私どもは都道府県が支出した後に精算交付するということにしてございます。しかしながら、今回の支出は被害が極めて甚大でございまして、災害弔慰金の支給額も相当な額になると思っております。したがいまして、災害弔慰金の国庫負担につきましては、補正予算が国会でお認めいただいた後、速やかに概算交付、言わば見込みでの交付を行う方針でございます。したがいまして、補正予算が成立した日に各都道府県に対しまして交付申請を行っていただくよう通知する予定、このような形でございます。

○山下よしき  速やかにやっていただきたいと思います。
 四月二十九日、我が党の調査団が福島県に入りまして、東京電力福島第一原発事故のために自治体ごと避難を強いられている実態を調査してまいりました。
 その中の一つ、浪江町。資料一枚目に地図を載せておりますけれども、浪江町は地震、津波で犠牲者もたくさん出たところであります。町域は東西に長く、原発から十キロ圏内、二十キロ圏内、三十キロ圏内、三十キロ圏外とまたがっております。現在、浪江町の西にある二本松市のある支所に役場機能を移転されています。そこで町長、議長と懇談いたしました。住民約二万人のうち所在確認ができたのは八千人だと。一万二千人はまだ確認できていないとのことでした。これは大変深刻だと私は思いました。
 資料三枚目に避難指示に関する経緯を載せておりますが、経済産業省中山政務官、三月十一日に三キロ圏内、十二日に十キロ圏内、続いて二十キロ圏内からの避難指示を出した際、避難先の確保、避難方法の確定はされていたんでしょうか。

○中山義活経済産業大臣政務官 今お話があったとおり、十一日、これ九時の段階で三キロ、この後に今度、次の日の五時に十キロという、ばたばたしていたということは、これは言い訳でも何でもなくて、本当に早く避難をさせて、まずは国民の安全を守るということが前提でございましたので、どうしても市町村との関係がうまく連絡取れなかったことは事実でございます。
 私、現地本部へ行きまして一番気を遣ったのはその点でございまして、もう副知事からも何回も言われまして、今後は本当に市町村と官邸と連絡を密に取ってくれと。私、何回も毎日官邸に電話をしまして、とにかく市町村の困るような状況を毎日のようにつぶさに報告をいたしまして、先に官邸から新しい情報が出るようなことはできる限りやめてもらいたいということで何回も調整をした経験がございまして、今お話しのとおり、今後は本当に市町村と、間に都道府県、県に入ってもらって、官邸との連絡をしっかりやっていきます。

○山下よしき  全く準備なかったんですね。できなかったんです。準備なしで突然避難しなければならなくなったんですね。
 浪江町の場合は、十一日の震災当日に役場に災害対策本部を設置いたしました。福島第一原発の様子がおかしいということで、翌十二日には二十キロ圏外にある同町内の津島支所に本部を移転しました。そうすると、その午後に水素爆発が起こるわけです。その後、国からは何の指示も連絡もなかったと聞きました。それで、テレビなど限られた情報しかない中で、町長さん、議会や町の幹部の皆さんが災害対策本部で合同会議を開いて、十五日に二本松市へ全町避難することを決断された。二本松市の受入れは、浪江町の町長が自ら直接交渉を行って受け入れてもらうことを決めたそうです。その間にも、もう自主避難される町民はたくさん出たわけですね。ですから、ほとんど準備する間もなく追い立てられるように町を離れなくてはならない方々がたくさん出た。その中で住民が散り散りになっちゃったんですね。
 資料二枚目に付けておきましたけれども、福島県全体では避難区域の人口は約七万八千人です。計画的避難区域の人口は約一万人にもなります。福島県の災害対策本部の幹部職員の方に話を伺いましたが、いつかは帰還する、あくまでも今は一時避難にすぎないんだという決意を語りつつ、役場ごと避難しなければならない状況は世界でも例がないと思う、原発事故が収束することが何より必要だが、県内だけでなく全国に散らばった住民に対し行政サービスを提供していかなければならない、住民である限り、医療、介護、教育などの行政サービスを提供していく必要がある、我々はこれまでやったことのない例に取り組まなければならないと述べておられました。
 総務大臣に伺いますけれども、私は、この原発の事故によって住民と自治体がまさに過去に例のない苦難を強いられていると、そう思います。自治体を担当する大臣としての認識を伺いたいと思います。

○片山善博総務大臣 本当に福島県浜通りの双葉郡の八つの町村は本当に難儀を今されておりまして、私もかつて自治体の長をやっておりましたその経験からしますと、今、町長さん方の心情を思いやると本当にもう胸が詰まる思いがいたします。それと同時に、もう取るものも取りあえず避難を余儀なくされた住民の皆さんの御苦労も本当に察して余りあるものがあります。今御指摘になったように、当座は本当に時間がなかったということもあったんでありましょうけれども、本当に追い立てられるように避難をされたものですから何の準備もないままで、当座、二本松も含めて本当に難儀をされておりました。
 総務省として、幹部職員を派遣したり政務三役が直接伺ったりしまして、それぞれ実情をお伺いしますと、これは本当に国として手を差し伸べなければいけないということで、細かい話を言いますと、例えばパソコンの環境が全くなかったものですから、仮役場に、そこにパソコン環境が整うようにするとか、そんなところから実は協力を始めたのでありますけど、あと、経産省にお願いをして、少なくとも数人の人をちゃんと派遣をしてもらいたいとか、それから事前に情報はちゃんと丁寧に分かりやすく説明をして、役場が住民の皆さんにきちっと応答ができるようにしてほしいとか、そんなことをるるお願いをしたりして今日に来ているわけです。
 飯舘について、今計画的避難ということでかなり密に、従来とは違って密にいろいろ政府が支援をしておりますけれども、その他の八つの町村につきましても、これから仮設住宅の建設など住民の皆さんの落ち着き先を、当座の落ち着き先を確保しなきゃいけませんので、それも含めて政府の更なる支援、協力が必要だろうと認識をしております。

○山下よしき  南相馬の市長さんがある新聞のインタビューで、避難の呼びかけで七万人の南相馬市の人口が一時二万人を割り込んだ、その後四万人を回復したものの住民が全国に散らばった、市の崩壊につながりかねない状況だと述べておられます。ここは全市避難じゃありません。しかし、そこでもこういう事態が起こっているわけですね。
 事故の原因は東電です。そして、東電をきちんと監督指導してこなかった政府にあります。私は、東電と政府にはこうした自治体を再生させる責任があると思いますが、中山政務官、いかがですか。

○中山政務官 まさにそのとおりでございまして、国と、やっぱりこの東電をバックアップしながら何としてもその再生をしなければいけない。
 私も何回も行きましたら、大分、もうほとんど、コンビニが三十軒ぐらいやっていたり、SSももう開業していたり。ただ、病院とか何かになりますとまだ科が限られていて、本当にそこに人が住める状況であるかということは非常に私たちも判断に迷ったところでございますが。
 ただ、言えることは、やっぱりその町から離れたくないというその住民の思いも同時に聞きまして、やっぱりここで生活したいんだな、そのためには何をしたらいいかと、こういうことについては、やはりこれは一義的には確かに東電にありますが、国がバックアップをして本当に全力を尽くすべきだというふうに思います。これから本当に住民の声を聞いてしっかりやっていくつもりでございます。

○山下よしき  全町避難のところにはコンビニが開くはずないんですね。
 それから、現段階で最も急がれることの一つは、散り散りになった住民の所在を確認することだと思います。既に東電による賠償の仮払いも始まりました。そのことも伝えなければならない。何よりも、住民の避難先を把握して、そこに情報を提供することが今後市や町や村を再生していく大きな力となります。これは三宅村の教訓でもあります。
 政府として、住民の避難先の把握を支援すべきではないでしょうか。

○片山総務大臣 これは双葉郡の町村の避難の実態を伺いましたところ、その時点では七万二千人従前おられた住民のうち二万九千人ほどが一月たっても把握できていないという状況がありました。
 それではいけませんので、肝心の、避難をしておられる皆さんに対する必要な情報が届きませんので、全国の自治体に呼びかけまして全国避難者情報システムというものを構築をいたしまして、今作動しております。別途福島県は、双葉郡の住民の皆さんを中心に、域外に避難された皆さんの状況を把握するという、そういうコールセンターのシステムを設けておりまして、今順次その把握が進んでおります。当時よりはかなり良くなりました。
 しかし、浪江町などはまだ、一万人弱だと思いますけど、把握できていないという実態もありまして、これを早急に進めなければいけない。そのためには、全国避難者情報システムを作動させるということと、それからその情報自体を、システムの存在自体を避難者の皆さんに届くようにしなければいけないので、政府広報などに今力を入れているところであります。

○山下よしき  私、この問題でも東電に第一義的責任があると思うんですね。全国に散り散りになった住民が自治体に連絡を取ってくれるように、東電がテレビなどで広報を行うように指導すべきではないかと思います。自動車や家電製品がリコールとなった場合は、周知する責任はメーカーにあるわけです。それと同じだと思いますが、中山政務官、いかがですか。

○中山政務官 私ども同じ問題意識持っておりまして、東電には、何が一番いいか、やはりテレビが一番いいだろうと、特に地方局ですね、ここに通じて、賠償の請求の在り方とかいろんなことについて毎回のように今やっておるところです。それから、新聞等も気が付いたんですが、全国紙じゃなくて、やはり地方紙の方が見るというようなことも分かってまいりまして、できる限り一生懸命やっていきたいと。
 それから、カスタムセンターというのがございまして、ここでも今二万五千ぐらいの請求書、請求をする用紙なども渡せるようにいたしましたし、事前にできる限り市町村にきめ細かく説明会を開いて、そこでも大体五万九千ぐらいの請求書をお配りしてきたところでございますが、もう一つは、立入りの問題なんかについても、公平にやるためにはやはり広報が必要だというふうに思っております。

○山下よしき  地方って、原発の周辺だけじゃ駄目ですよ、全国に散り散りになっているんですから。全国のテレビや新聞に広報する必要があるんじゃないですか。そこだけ一つ。

○大臣政務官(中山義活君) 全国では、結構そういうことがあるということが知らされているんです。地方で……

○山下よしき  知らされていないよ。

○中山政務官 いや、テレビなんかは、御覧のとおり、賠償ということを、今しょっちゅう話題になっておりまして、今言われたとおり、できる限り一番いい方法を探して、全国の方がもっと効果があるんであればそっちの方に重点を置くとか、できる限りのことは今しておりますので、よろしくお願いします。

○山下よしき  もっと自分たちの責任を自覚した対応をやっていただきたいと、求めておきたいと思います。
 最後に、文科省林政務官、来ていただいております。
 福島第一原発事故の全面賠償は、個人や事業者とともに自治体にもなされなければならないと思います。浪江町では、職員は一時期、午前零時まで働き、朝五時半から朝礼をしておりました。仮庁舎となっている二本松市の支所の建物の廊下に毛布を敷いて寝泊まりをされておりました。時間外手当は一切カットです、一律カットです。これまで休みもありません。多大な負担を強いられてきました。
 四月二十八日に発表された原子力損害賠償紛争審査会の第一次指針には、自治体に対する賠償は今後検討とされております。しかも財産的被害に限定しようとされておりますが、これは駄目だと思います。自治体が負担した費用は全て賠償させるべきだと思います。それが、二度と事故を起こさないために東電にそういうことをやらさないと駄目だと思いますが、いかがですか。

○林久美子文部科学大臣政務官 山下委員にお答えをさせていただきます。
 御指摘をいただきましたように、今回の第一次指針の中では、「はじめに」という中で記載をさせていただいているんですが、当然、いろいろと自治体が受けられている被害については補償していかなくてはいけないんだというふうに思っています。例えば、避難所の借り上げの経費、あるいはバス代の経費、さらには行政サービスに必要な経費、通信費、備品などなど、今委員御指摘いただきました残業代などについても当然その対象になってくると思います。
 今後、なるべく早く現場の自治体の皆さんからもお話を聞かせていただきながら、しっかりと審査会の方で議論をしていただきたいというふうに思います。

○山下よしき  終わります。


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