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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

NHK新会長に戦争と放送について問う

2011年3月31日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が3月31日の参院総務委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、戦争と放送の歴史について、松本正之NHK新会長の認識を伺いたいと思います。
 二月二十七日放送のNHKスペシャル、日本人はなぜ戦争へ向かったのか、第三回、「熱狂はこうして作られた」という番組を見ました。この中で、新聞とともに、途中から登場したラジオが大変大きな影響を与えた。特に挙国一致報道にラジオが活用され、例えば戦意高揚演説会、時の首相であった近衛文麿、実は近衛文麿が第二代の日本放送協会の総裁に就任をして、戦後、自殺をされるまでずっと日本放送協会の総裁でした。この近衛文麿が首相として戦意高揚演説会を開催した模様をラジオ中継で全国に放送するというようなことがやられました。そういうことがこのNHKスペシャルの中では報道されたわけですが、改めて、日本とアジアのあまたの命を奪った侵略戦争という愚かな行為に我が国のメディア、とりわけラジオが深くかかわって、そして人々の考えや心情に強い影響を与えたということを知ったわけであります。
 松本会長は、こうした戦前、戦中の放送の痛苦の歴史について、どのような認識をお持ちでしょうか。

○松本正之NHK会長 現在、NHKは、放送法の規定を踏まえまして、公共放送として、また報道機関として日々の業務に当たっております。そして、この役割を果たすためには、不偏不党、放送の自主自律、この立場を守りまして番組編集の自由を確保するということが大事だというふうに考えております。
 公共放送に課せられた責務をしっかり認識しまして、国民の知る権利にこたえまして、視聴者から信頼されるNHKでありたいというふうに思っております。正確で、公平公正で、信頼できる情報、豊かで良質な番組やコンテンツをお届けできるように努めてまいりたいというふうに思います。
 そういう気持ちを申し述べて、お答えにさせていただきたいと思います。

○山下よしき 今述べられた放送の不偏不党あるいは自主自律という放送法第一条にも明記されている事柄が、さっき紹介しましたNHKスペシャルでもまた検証された戦争と放送の痛苦の教訓、関係から導き出されたものだということを認識することが非常に大事だと思うんですが、その点、松本会長、いかがでしょうか。

○松本NHK会長 繰り返しになりますけれども、現在、私たちがやろうというふうにしておりますのは、やはり放送法の原点に立ちまして、不偏不党、あるいは放送の自主自律の立場を守ってやっていくと、こういうことが大事だというふうに考えておりますので、そのことを貫きながら公共放送としての役割を果たしてまいりたいというふうに思います。

○山下よしき ちょっと通告が不十分だったのかもしれませんが、戦争と放送の歴史を踏まえて放送法で今会長がおっしゃったようなことが明記されたと、この歴史を認識することがやはり会長として大事だと思うんですが、NHKスペシャル、先ほど紹介した番組をまだ御覧になっておられないのであれば御覧になっていただくことも含めて、そういう歴史認識を掘り下げることが大事だと思うんですが、この点、いかがですか。

○松本NHK会長 放送法が日本の中で法律としてきちっと制定されておりますので、それに基づいて公共放送の役割をきちっと果たしていくというふうに考えていきたいというふうに思います。

○山下よしき いや、なぜそのことにお答えができないのか、ちょっと理解に苦しみますが、まだ御覧になっていなかったら御覧になっていただいてもいいんですが、そういう歴史があるんだということについて認識をされる必要が私はあると思うんですが、そういう認識なくていいとお思いなんですか、放送と歴史。ちょっと考えていただければ。

○松本NHK会長 番組は見ております。それで、そういう形の経緯があったと、こういうことの中身で。
 私たちの立場としては、そのこととは別に、放送法がきちっと制定されて、それでその中に我々の原点というものが書かれておりますので、その原点に基づいてきちっとやっていくと、こういうふうに申し上げているところであります。

○山下よしき ちょっと残念です。別じゃないんです。そういう歴史を踏まえて放送法が確立されたんです。その歴史を踏まえて認識されることが、私はNHKの会長に就任された松本さんにはどうしても必要な認識だと思います。まあこれからそういう認識になっていただけるように、これはもう期待をしたいということだけ述べておきたいと思います。
 次に、NHKの会長人事をめぐる問題について経営委員会に聞きたいと思います。
 この問題をめぐっては、率直に言って、小丸前経営委員長の独断専行、それが駄目になると泥縄式で決めるということなど、混乱を来したと思います。
 NHKの会長というのは、権力を監視する報道機関の責任者、そして放送の不偏不党、放送の自由の確保という重要な役割を担う仕事であります。今回のような決め方でいいのかと。経営委員会としてどのような反省をされているでしょうか。

○安田喜憲NHK運営委員長代行 今回の会長選考に当たりましては、経営委員会では三月八日に、新会長任命に至るまでの過程についての検証と総括について公表いたしました。そしてその中で、今後の改善に向けて総括を行い、次の三点について問題があったと認識いたしております。一番目、会長任命のための指名委員会の立ち上げが遅く、手続等を検討する時間が短かったこと。二番目、会長を選考する際の手続に周到さを欠いたこと。三番目、会長選考過程で情報管理に不備があったという点でございます。
 このような反省の上に立ちまして、経営委員会といたしましてはその責任を痛感し、早期に総括に基づく改善に取り組み、経営委員会に対する信頼を回復し、完全デジタル化など激変する状況下で公共放送NHKがその役割を果たしていけるよう最大限努めていくことが責務と考えております。
 今後は、経営委員一人一人がその職責の重さを改めて認識し、信頼される経営委員会の運営の向上に一層真摯に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。

○山下よしき 私は、開かれたNHKにふさわしく、様々な方々の意見もよく聞いて、透明、公正な会長の選考方法に見直すことが必要ではないかと思います。
 例えば、市民団体からは会長の公募制の導入などの提案がされておりますが、経営委員会内部だけではなくて、広く意見を募って、よく議論して会長選考の在り方について改善を図ることが大事ではないかと思うんですが、いかがですか。

○安田NHK運営委員長代行 お答えいたします。
 放送法では、会長は経営委員が任命することとされております。幅広い分野から国民の代表として国会の同意を得て内閣総理大臣に任命される経営委員が合議し、そして経営委員が自主的に会長を任命するものと認識いたしております。
 今回の会長選任の手続上の不備につきましては、公表した総括に基づき、今後、経営委員会内で見直し、ルールとして明文化していきたいと考えております。
 以上でございます。お答えになりましたでしょうか。

○山下よしき 答えになっていないんですよ。
 経営委員会内でじゃなくて、広く国民からいろんな意見、提案を受けてというふうに私は申し上げたんです。そういう検討されませんか。経営委員会内でやるんですか。

○安田NHK運営委員長代行 経営委員が自主性を持って会長の選任を行っていきたいと私どもは考えております。経営委員会は合議制で意思決定する機関でございますので、私の一存でこれ以上の御返答は御容赦願いたいと思います。

○山下よしき 経営委員会がNHKの会長を決めるというのは、もうそれは理解した上で言っているんですよ。その決め方について様々な提案が広く国民から出ていますから、そういう意見についても経営委員会としてよく聞いて、経営委員会が判断する上で参考にしていただきたいと。それはできるでしょう。

○安田NHK運営委員長代行 この場では、私の一存ではこれ以上の返答は御容赦いただきたいというしかお答えできません。

○山下よしき 開かれていないなという感想を述べておきたいと思いますし、また我々いろいろ、NHKの会長という国民的に非常に大事な公的な役職ですので、民主的に公正に透明に選ばれるように引き続き提案をしていきたいと思います。
 それから次に、もう時間が余りありませんね、災害の報道について私から一つだけNHKに要請をしたいことがあります。
 それは、政府や自治体による被災者支援がそれぞれ取り組まれているんですが、被災者の方々が活用できる有用な情報がなかなか被災者などに届いていないということがあります。避難所あるいは自宅で避難されている方、県外に避難されている方々、それから医療機関など関係機関などになかなか届いていないんですね。是非NHKにも協力していただいて、これが周知されるようテレビやラジオで放送していただきたい。
 例えば、これ厚生労働省のチラシなんですけれども、医療機関での受診、窓口負担について、一、被保険者証なしで受診できます、それから、二、窓口負担の支払は猶予又は免除されますと。その対象者は、被災地域の住民であって、住宅が全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした方、それから主たる生計維持者が死亡したり重篤な傷病を負った方、行方不明である方、業務を廃止、休止した方、失職し、現在収入がない方、それから、原発の事故に伴い政府の避難指示、屋内退避指示の対象となっている方々、こういう方々は医療費の窓口負担の支払が猶予又は免除されるんですね。
 ところが、これが十分渡っていなくて、被災者なのに保険証がないからといって窓口で十割負担を求められたり、ある自治体では払える人からは窓口負担取るようにという指導がされていたり、なかなかこれ行き渡っていないんです。
 そこで、こうした、ほかにもいっぱいありますけれども、被災者向けの情報をまとまった形で周知できるようにラジオやテレビでの放送をお願いしたいと思うんですが、これはいかがでしょうか。

○日向英実NHK専務理事 今も、特に総合テレビではほとんどの時間、画面を縮小して被災者にとって有用な情報、ライフラインに関する情報とかどういう支援制度があるのかということについては、かなり細かく放送を今続けているところです。地域放送についても、今、例えば東北地方では午前十一時台、午後二時台、五時台にそういう生活情報の時間を設けて各県ごとの情報を今伝えておりますけれども、今御指摘のようなことについてもきちっと精査して、なるたけ細かい情報を、それから必要な情報を伝えていきたいというふうに思います。

○山下よしき 最後に、地デジ問題についても一言だけ聞きたいと思います。
 新たな難視世帯への対応なんですけれども、これ、御近所は受信できるんだけれども、一軒、二軒の数軒だけ地デジ電波が受信できないような世帯が生じている場合もあるんですよね。原因はよく分からないということが多いんですが、こうした方がデジサポや放送局に相談しますと、電波状況を測りには来てくれるんだけれども、結局はブースター付けてくださいとか、高性能アンテナ付けてくださいとか、ケーブルテレビに加入しなさいなどということになっちゃっている場合があるんですよね。
 しかしながら、NHKにはアンテナで直接受信できるよう地デジ電波を届かせ切る責任があると思います。こういう一世帯、二世帯だけ映らない場合にケーブルテレビに入ってくださいという対応でいいんでしょうか。

○永井研二NHK専務理事 お答えいたします。
 委員御指摘のとおりに、原因の特定がなかなかできないという場合があります。この場合は、一時的に衛星によって地上放送の視聴をしていただくということで取り組んでおります。その後に恒久的な手当てはしようというふうなことで、我々の義務であるあまねくをしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

○山下よしき 終わります。



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