あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

原発事故の危険回避 被災者支援のあり方の見直しを

2011年3月24日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が3月24日の参院総務委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず原発事故の危機回避について質問いたします。
 この事故は、政府と関係機関、さらに専門家の知恵と能力を総結集して、何としても収束をさせなければならないと思っております。現在、使用済み核燃料を冷却するために、菅首相、片山総務相の要請を受けて、東京消防庁、大阪市消防局など自治体の消防職員が現場で任務に当たっておられます。
 三月十九日、東京消防庁から派遣されたハイパーレスキュー隊による福島第一原発三号機への十四時間の連続放水が実施されました。同日夜の東京消防庁での記者会見を拝見して、大変な困難を乗り越えての任務であったということがよく分かりました。心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 同時に、記者会見を聞いていて一つ疑問が生じました。佐藤康雄総隊長がこうおっしゃったんです。現場に突入して、屋外タンクが転がっていることや瓦れきが散乱している状況が初めて分かったと。これは私おかしいなと思ったんです。といいますのは、日本が保有する情報収集衛星というものがあります。その衛星から福島原発の上空から撮った画像情報があるはずだと思うんですね。東京消防庁はその情報の提供を受けていたのかいなかったのか、お答えください。

○塚田桂祐消防庁国民保護・防災部長 ハイパーレスキューの実際のオペレーションに当たりましては、東京消防庁の現地部隊が現地で自衛隊や東京電力などから消防活動上必要な情報を得まして、その上さらに、自ら特殊災害対応車で収集した情報に基づきまして具体的な戦術を決定したものと承知しております。
 消防庁といたしましても、あらかじめ東京消防庁に対しまして、東京電力から提供されました発電所の図面、また三号機付近の放射線量等、必要な情報の提供を行ったところでございます。

○山下よしき 答えになっていないです。衛星の情報提供を受けたのかどうか答えてください。

○塚田部長 私ども消防庁からそのような情報は提供しておりません。

○山下よしき 受けていないし、提供していないんですね。これはそれでいいのかと。政府、関係機関の能力を総結集してこの危機を回避しなければならない。そのときに、なぜ消防にこういう重要な情報が提供されないのかと。
 情報収集衛星の導入を決定した閣議決定というのがあります。それを読みますと、安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として導入すると、こうあるんですね。今この情報を使わなかったら一体いつ使うんだというぐらいの私は瞬間だと思います。
 菅首相は、三月十八日、東京都に出動を要請した翌日ですね、福島における原子力事故の状況はまだまだ予断を許さない状況が続いております、今、この危機を乗り越えるため、関係者の皆様がまさに命懸けで作業に当たっていただいております、必ずやこの危機を乗り越えて、国民の皆さんに安心を取り戻したいと国民向けに演説をされました。私は、国家の危機を回避するためにまさに命懸けで頑張っておられる消防職員にとって、作業の効率上あるいは隊員の安全上極めて有用な情報を持ちながら政府がそれを消防に提供しなかった、これは非常に重大だと思います。
 現場で事前に調査したとおっしゃったんですけど、その調査の様子は記者会見で全部リアルに報告されて、物すごい時間が掛かっているんです、物すごい何回も行ったり来たりしています。予想と違ったということが書かれてあります。それで、現場に行ったときの様子は昨日、当時のビデオ撮影の画像が出ておりました。もう放射線測定器がピーピーピーピー、基準値を上回ったということを鳴らしながらも、決死の覚悟で頑張っていただいたわけですね。そういう隊員になぜ有用な情報が渡されなかったのかと。
 政府の緊急災害対策副本部長でもある片山総務大臣に伺います。あらゆる知恵と能力を総結集して原発事故の危機を回避するという本気の構えに政府は立っていないんじゃないですか。

○片山善博総務大臣 東京消防庁が放水作業を始めるにはいろんな事前の準備が必要であります。それは、消防車の設置をする、これもかなり広い場所を要します。それから利水、水を引くためにかなり海岸まで長い距離、ホースを設置する必要もあります。そのための必要な情報というものが東京消防庁にもたらされていなかったということは事実であります。その結果、あの高度な訓練を受けた精鋭部隊が瓦れきの処理に当たらざるを得なかったということ、しかも夜間その作業をしなきゃいけなかったということは、これは誠に消防担当大臣としては遺憾であります。
 私もその点について、瓦れきの処理を消防機関がやる、本務ではありませんので、そういうことはちゃんとあらかじめやっておいてもらいたいと。その上で消防に要請をしてもらいたいということを、経産省でありますとか、それから、それを通じて東京電力でありますとか関係の皆さんに、そのことが判明してから強く要請、抗議をしたところであります。

○山下よしき 私は、情報衛星の問題は一つの例として言ったんですね。やっぱり総力を挙げて、知恵と能力を総結集して、今ふるさとに住めなくなるんじゃないかという人がたくさん生まれようとしている、この危機を回避しなければならない。そのときに、持っているものを出さないなんということは絶対あってはならない。政府は総力を挙げてやってほしいと、その立場から質問をさせていただきました。
 次に、被災地の復興について伺います。
 戦後未曽有の災害からの復興に、国の総力を挙げて取り組まなければならないと考えます。被災地の多くは、地域経済の衰退あるいは高齢化や過疎化の進行などで、元々財政基盤も弱い市町村が多かったと思います。そこに震災の大打撃を受けました。国家的な、あるいは国民的な取組がなければとても復興は達成できないと思います。
 国の総力を挙げて復興に取り組む政治の決意が求められていると思いますが、大臣の認識を伺います。

○片山総務大臣 この度の本当に大きな災害の復興はとても重要な仕事であり、かつ非常に困難を伴う仕事だろうと思います。国家としてもこれに全面的な支援を行わなければいけないと私も思います。その際に、やはり基本は自治体が中心になって、住民の皆さんの町づくりのビジョンといいますか構想といいますか、そういうものを踏まえた上で再建計画を作るのが、これが筋だろうと思います。かつて神戸でも、避難をしている住民の皆さんが全く知らない間にいろんなプランができたとか、これは、もっと言えば山形県の酒田の大火のときにもそういうことが言われておりまして、そういうことがないようにしなければいけない。
 したがって、私は、やはり自治体が中心になって、それを県が応援し、さらに国が全力を挙げてバックアップをするという、こういう大きなスキームというものを最初につくることが必要ではないかと、これは今政府全体としてまだそこまでの相談はしておりませんけれども、総務大臣としてはそう考えているところであります。

○山下よしき 阪神・淡路のお話がありました。私も、復興に当たっては阪神・淡路大震災の教訓を生かすということが大事だと思っております。阪神・淡路では、道路や港や空港はどんどん復興するのに、被災者の生活の再建は置いてきぼりにされたということがあります。これは二度と繰り返してはならないと。
 私は、被災者の生活の再建こそ復興の土台だという立場で東日本大震災の復興に当たるべきだと思いますが、この点いかがでしょうか。

○片山総務大臣 これはいろんな、私が酒田の大火の後の再建とか阪神・淡路の神戸の再建なんかを見まして感じるところは幾つかあります。その一つは、再建に当たって一生懸命皆さん自治体の方は取り組まれたんですけれども、その主役は土木関係、公共事業関係の方が取り組まれたというのが一つの特徴であります。したがって、施設整備とか街路の整備とか、これはどんどん進むけれども、その被災者の生活とか、それからメンタルの面に対する配慮が必ずしも十分ではなかったんではないかという、そういう印象を持っております。
 したがって、これからの被災地の復興に当たっては、人を中心に、災害を受けた皆さん方を中心にその町づくり、復興計画というものは作られるべきだと、基本的な考え方を持っております。

○山下よしき 阪神・淡路大震災の被災者の生活再建が置いてきぼりにされた根底には、当時の政府が、私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則という、根拠のない理屈で住宅再建に対する支援を拒否し続けたことがあると私は思っております。しかし、その後、阪神・淡路の被災者を始め国民的な運動で被災者生活再建支援法が作られ、後に抜本改正され、全壊世帯に三百万円、住宅再建費用が支給されることとなりました。
 ただ、全壊世帯に三百万円という現行の支援では、地震と津波によって生活基盤を根こそぎ破壊された被災者が生活を再建するには余りにも不十分だと私は思います。大幅に引き上げる必要があると思います。ほかの災害とのバランスなどという、私は官僚答弁は聞きたくないんです。是非大臣に、戦後未曽有の災害から国の総力を挙げて復興するという決意に立つんだったら、その土台となるべき被災者の生活再建に対する支援水準も抜本的に見直す、再検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 被災された皆さん方の生活の再建ということが、これが一番の要諦、災害復興の要諦であると私も思います。その際に、どういうその手当てがあるのかというのは、現行は、順次進化、発展をしてきまして現行の被災者生活再建支援法というのはあります。
 これについてはいろんな今意見が出ております。今、山下議員がおっしゃったその総額の問題というのももちろん提起されておりますが、これは、まあ官僚答弁は聞きたくないとおっしゃいましたけれども、やはり個々を取ってみると、個々の被災者を取ってみると、規模は大きくない災害であっても家財を失った人と比べると、個人個人を比べると、やはりそこでのバランスの問題というのは出てくることはこれはやむを得ない問題だと私は思います。災害全体として大きい、それから災害全体としては小さいかもしれないけれども、個々の被災者にとってみれば同等ということも当然あり得るわけで、そういうバランスもやっぱり考えなきゃいけないということは一つ念頭に置いておく必要があると思います。
 もう一つは、今回の災害というのは、本当に従来の災害とは違って、もう町が全部なくなってしまうとか、それから、生活手段のみならず生産手段、例えば養殖漁業の施設でありますとか水産加工場でありますとか田畑でありますとか、そういうものが全部なくなってしまうという、単に住宅、生活の場がなくなっただけではなくて生産の場もなくなってしまったという、そういう特質もあるものですから、そういうことに今の被災者生活再建支援法というものがちゃんと対応できるのかどうかという、こういう点検も必要ではないかという議論もあります。
 今、そんないろんな議論を踏まえて、被災者生活支援本部の方で検討を進めているところであります。

○山下よしき 額の問題も含めてということでしたけれども、やっぱり被災者の生活が本当に復興、再建されるのかどうか、現場の被災者の実態が何よりの出発点ですから、その立場でやはり見直すべきは見直していただきたいと思います。
 最後に、この東日本大震災からの復興では、先ほど大臣からもあった、従来になかった新しい課題が生まれていると思うんです。津波で押し潰され、地盤が沈下した同じ場所に町を再建することができるのか。あるいは、今大きな不安を広げております基準を超える放射能が検出された地域はどうなるのか。これは新しい課題で、自治体だけでは対応できないと思います。こういう新しい課題には国が責任持って対応する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 国が対応する分野は、領域は広いと思います。特に、原発の問題というのは、これは自然災害とはいささか異なりますので、基本的には国が責任を持つ、防災にも災害対策にも責任を持つということになっておりますから、初めてのこれは体験でありまして、新しい領域だと思います。
 それから、津波で被災された地域の再興ということになりますと、先ほど言いましたように、基本的には市町村、それからそれを県がバックアップ、更に国がそれを支援するということになるんでありますけれども、根こそぎ自治体が壊滅的な被害を受けているという、根こそぎ町が潰れて壊滅的な被害を受けているということもありまして、従来の基本パターンだけでは済まない問題があると思いますし、それから、元いたところに再建ということが本当に果たしてふさわしいのかどうか。やっぱり、町のプランニングといいますか、ゾーニング自体を大幅に変えなきゃいけないし、そこには生業の問題とか、それからメンタルな問題で安心感を与えるとか、自然とかエネルギーとかいろんな要素が再建の中には含まれてくるだろうと思いますので、いろんな知恵を、国としても金だけじゃなくて知恵の面でも協力する分野が広いんではないかと思っております。

○山下よしき 終わります。



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