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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 「かんぽの宿」で質問 竹中平蔵氏の招致を求める

2009年2月10日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。私からも日本郵政グループの資産売却問題について質問をいたします。
 まず初めに、日本郵政グループの保有する土地、建物などの不動産にはどういう種類の物件があるのか、どういうときに処分、売却するのか、御説明いただけますでしょうか。

参考人・寺崎由起(日本郵政株式会社執行役) 日本郵政株式会社の保有する資産には、事業の用に使う例えば郵便局等の資産、それから職員の社宅の資産、それから当御議論されておりますかんぽの宿、貯金関係の宿泊施設関係、それから病院関係、こういったような主に資産がございます。
 日本郵政公社の時代には、事業の廃止等で未利用となりまして、今後も利用しないとされた不動産について、公社といたしまして不用と決定して、一般的な不動産取引として売却しております。不動産の売却に当たりましては、専門業者に委託しまして売却物件の市場性、地域性、個別性等を勘案して、売却物件ごとに売却方法を検討して売却しております。
 以上でございます。

山下よしき これまでどんな物件が売却されたか、日本郵政株式会社からその一覧表をいただきました。それによりますと、平成十六年の七月から平成二十年の十二月までに六百三十四もの物件が売却をされております。しかし、このいただいた資料には取得時の費用が記載されておりません。これでは国民の財産が適正に処分されたのかどうか分からないと思うんですが、ちゃんと取得時の費用を出していただけますか。

参考人・寺崎由起 ただいまここに持ち合わせておりませんが、提出いたします。

山下よしき 出していただくということであります。
 それから、不動産売却は平成十五年の四月に日本郵政公社になって以降のものなんですね。それ以前の旧郵政省時代、総務省時代にはこうした不動産の処分、売却はあったんですか。

参考人・寺崎由起 公社化以前にも不用になった資産につきましては個別に売却をしておりました。

山下よしき その具体的な一覧表出していただけますか。

参考人・寺崎由起 お出しいたします。

山下よしき 概数でいいですから、どのぐらい売却されたのか。それ売却ですか、廃止じゃなくて。確認したいと思います。

参考人・寺崎由起 廃止した後に売却しております。

山下よしき どのぐらいの数あるか、概数、概算でいいですけれども、分かりますか。

参考人・寺崎由起 これは全施設についての御質問でございましょうか。

山下よしき そうです。

参考人・寺崎由起 全施設につきましてはただいま持ち合わせておりませんが、かんぽの宿につきましては二件ございます。平成十一年度に伊豆大島、平成十三年度に和倉の二施設を廃止をいたしております。廃止の理由につきましては、採算や地元との関係ということであったと承知しております。廃止後の施設につきましては、両施設とも地元の自治体の方に売却をしております。
 以上でございます。

山下よしき また資料をいただいた上で検討したいと思うんですけれども、旧郵政省時代は、私は国民の財産というのはしっかり保持されるという形になっていたんだと思います。それが公社になり民営化に向かう中で四年半で六百三十四、どんどん売却されるようになったと。こういう事実をまず確認したかったわけです。また資料に基づいて質問を続けたいと思います。
 次に、かんぽの宿について伺いたいと思いますけれども、国民の多くは二千四百億円で取得した七十九施設がどうして百九億円という激安で売却されようとしたのか、その売却先がなぜオリックス不動産なのか、ここに疑問を感じているのだと思います。
 今日は激安になったからくりについて聞きたいと思いますが、日本郵政の説明によりますと、郵政公社が承継した平成十五年四月一日時点でかんぽの宿など七十九施設の簿価は一千七百二十六億円でした。それが郵政会社が継承した平成十九年十月一日時点では百二十六億円になっております。一千七百二十六億円が百二十六億円、四年半で十分の一以下に激減したわけですが、なぜこんなことになるのでしょうか。

参考人・佐々木英治(日本郵政株式会社専務執行役) 旧郵政公社では、減損会計が導入されました平成十七年度決算から減損会計の適用が義務付けられております。
 それで、先生御案内かと思いますが、減損会計とは、固定資産の収益性の低下や時価が下落して投資額の回収が見込めなくなった場合におきまして、その回収不能分を損失として反映させる会計処理でございます。具体的な適用方法といたしましては、その資産に係る損益又はキャッシュフローが継続してマイナスとなる場合や資産を売却する場合等、減損の兆候があるものとして、不動産の鑑定評価等に基づきまして帳簿価額を回収可能価額まで減額するとともに減損損失を計上することとなります。
 こういう減損損失の計上を含めた決算の結果につきましては、監査法人による適正意見を取得しているものでございます。

山下よしき かんぽの宿は赤字で、将来の見通しがないと判断されて毎年減損損失というものが大きくなったのかもしれませんが、私は会計学の専門家の方に伺いますと、担当する公認会計士がどう評価するかによって減損損失というのはかなり変わってくるんだと、こうおっしゃるんですね。
 そこで、伺いますけれども、かんぽの宿の不動産鑑定評価の委託先はどのように選定されたのでしょうか。

参考人・寺崎由起 基本的に、エリア別に種類も含めましてグループに分けまして、それぞれ経験のある鑑定の法人に、基本的に競争入札で委託いたしております。

山下よしき また、その資料もいただきましたので、引き続きこれは追及したいと思います。
 それから、減損評価で激安になったかんぽの宿の土地、建物ですけれども、仮に譲渡先に決まった事業者が、例えばそれを更地にして高層マンションを建てるとかミニゴルフなどレジャー施設にするなど、別の用途にして使用すれば資産としての評価は変わると思います。どんと資産価値が跳ね上がることもあると思います。そうしたことは想定していないのでしょうか。

参考人・寺崎由起 個別の物件につきましてもろもろの規制がある場合もございます。また、他の用途に、通例、転用しても採算が合わないという場所にある場合が多うございまして、ああいった宿泊施設として運営することが主な評価となってきております。
 ただ、個別物件につきましてはもろもろの違う側面もあろうかと思いますが、大方は宿泊施設として活用するのが一番有効であるという鑑定評価であったと承知しております。

山下よしき 今は凍結されておりますけれども、オリックス不動産との契約の中にどういう転売をしてはならないという担保があったんですか。

参考人・佐々木英治 オリックスとの譲渡契約書には、二年間は当方の承諾なく転売することを禁じる条項が入っております。

山下よしき ということは、二年たてば売主、つまり日本郵政の承諾なく譲渡、転売できるということですね。確認です。

参考人・佐々木英治 契約上はそうなっておりますが、私ども、今回のディールといいますか譲渡の交渉をするに際して、オリックスさんの投資の、今後の事業展開の計画等を入念に検討いたしまして、事業を継続していただけるという心証を得たところでございます。

山下よしき 契約では、二年たてば譲渡、転売できるということになっているということをお認めになりました。これは非常に問題だと思いますね。
 私は、そもそもなぜ国民の財産であるかんぽの宿を売却しなければならないのかと。これはさっき言ったような老朽化した施設ではありませんね。なぜかんぽの宿、売却の対象になっているんですか。

参考人・佐々木英治 これは先ほど長谷川先生の議論のときにもあったかと思いますが、日本郵政株式会社法の附則二条によりまして、私ども五年以内に譲渡若しくは廃止をしなければならないことが義務付けられておりまして、それによりまして、私どもとしては、赤字施設でもありますので、できるだけ早く処分をするということ、それから、私どもの思いとしては、宿泊事業部門の職員がいつまでもどうなるんだろうというような不安を持たないようにできるだけ方向性をはっきり出したいということで、譲渡の手続を早く進めてきたということでございます。

山下よしき 一つ疑問が私あるんですが、民営化で四分社化する際に、かんぽの宿を郵便保険会社、かんぽ生命のものではなくて、持ち株会社たる日本郵政株式会社のものにしたのはなぜかという疑問なんですね。だって、元々は簡易保険の健康増進施設だったんですよ。それがなぜ四分社化されたときに切り離されちゃったのか。
 これ、当時の郵政民営化準備室で決められたことだと思いますので、現在の郵政民営化推進室、説明してください。

政府参考人・振角秀行(内閣官房内閣審議官兼郵政民営化推進室長) お答えいたしたいと思います。
 今先生御指摘のように、かんぽの宿等は日本郵政が承継するという形になっております。
 このような取扱いとしましたのは、第一に、かんぽ生命保険、承継会社の一つでありますかんぽ生命保険では保険業法の適用を受けることになっておりまして、その保険業法上では宿泊事業を行うことは認められていないため承継ができないということに一つはなっております。第二に、かんぽの宿等の譲渡又は廃止まで保有、運営することに伴い生じることが見込まれる損失の処理や雇用問題を解消する必要があると考えられまして、これらにつきましてはグループ全体で対処する必要があると考えられることから、各社からの配当収入を得、グループ全体の経営管理を行う日本郵政が承継することが適当と考えられたということで、法制局と協議してそうなったということでございます。

山下よしき 保険業法のことを言われましたけれども、私、保険業法を調べました。保険会社が子会社をつくって、健康の維持若しくは増進のための運動を行う施設又は温泉を利用して健康の維持若しくは増進を図るための施設の運営を行う業務を行うことは、保険業法施行規則でも認められております。これは単純な宿泊施設じゃないんですよ、健康増進施設なんですよ。保険業法でも、保険会社がそういうことを業務として子会社をつくって運用することは認められているんです。何でわざわざ単なるホテル業にみなすんですか。
 それから、郵政グループ全体で見るということでしたけれども、平成二十一年三月期の中間決算を見ますと、日本郵政グループは経常利益は四千二百二十五億円です。かんぽ生命保険も一千六十三億円の経常利益です。これ年間赤字が四十億円程度だったら十分グループ全体で吸収できるじゃないですか。何でそれをわざわざ売却するように切り離すのか理解できません。
 もう一度説明してください。だれが決めたんですか。

政府参考人・振角秀行 当時の、これは衆議院の予算委員会でも同じような質疑がございまして、先生も御承知かと思いますけれども、当時、竹中さんが民営化担当大臣でございまして、竹中大臣の監督下におきまして、郵政民営化準備室において法制化を進めたということでございまして、竹中さんと相談しながらやったということでございますけれども、竹中さんを中心としました判断としましては、このようなかんぽの宿というのは本来のコア業務ではないということで、資産を処分して撤退すべきだという判断をされたというふうに聞いております。

山下よしき 竹中さんが三年前に書かれた「構造改革の真実」という本を私も読みました。「メルパルクホールや簡保の宿など、本来の仕事つまりコア業務ではない(したがって競争力もない)ものは、資産を処分して撤退するべきだと判断した。」、「準備室の幹部に言われたことだが、大臣が法案作成にこれだけ直接かつ詳細に係わったのは前代未聞のことだったようだ。」と。まさにここに今回の問題の震源地があるわけですね。
 委員長、私は、竹中平蔵氏を当委員会に参考人として招致することを検討していただきたいと思いますが、いかがですか。

内藤正光委員長 山下芳生君の申出については、後刻、理事会、理事懇にて諮りたいと思います。

山下よしき こういう仕組みを竹中さんが指示してつくった、それが実は郵政民営化法で決められたんですね。大臣は今いろいろこの問題、指摘をされて、社会的な関心をお呼びになったという役割を果たしておられますけれども、実はその大臣御自身も郵政民営化法には賛成されております。今振り返って、そのことをどう思われますか。

鳩山邦夫総務大臣 私は、郵政民営化法、郵政民営化ということについて賛成すべきものか反対すべきものか非常に悩んでおりました。
 というのは、一大行政改革としてはこれは大いに意味がある、あるいは官から民へという流れ、これは今皮肉にも官から民へ不当に金が流れたんじゃないかという話になってしまったわけですが、当時は、官業から民業へというそうした事柄でその意義は大きいと。
 しかし、私は当時から、郵政という一つの日本独特の、何も外国をまねする必要はない、文化、特定局長さんたちが地域の心の共同体の中心にいて、絶対の信頼というのがそれは郵貯にも簡保にもある、郵便配達だって、まれにはあるかもしれないけれども、絶対確実だというふうに思われていた、今の事業会社ですね、局会社もそう。そうした郵政文化が崩れなければいいがなと、そればかり考えておって、実際郵政民営化担当大臣になってみると、やっぱり心の共同体が、あの中心にいた局長さんたちの立場が、例えば集荷ができない、自分で簡保や郵貯の金を集めることができない、直接ですね、そういうことでこれは相当見直さなくちゃいかぬなというふうな今気持ちになっております。
 それから、私は、先ほどの長谷川憲正先生のお話も今のお話も聞いておりまして、私も確かめていかなきゃいけないんですが、西川社長と初めて会ったときに、雇用の問題が大事でしたということをおっしゃった。確かに、現在の給与水準では一年、これから一年は払いますと。二年以降は一般の会社と労働組合の関係に移る。たった一年です。営業継続はたった二年です。それを最初から二十七社全部に伝えたんだろうなと。二十七社に最初から一年あるいは二年という話が全部伝わっているんだろうなと。それは二十七社が集まったときに、いや、当分数年間は継続してもらいますよと、当分営業は継続していただきますよと言って恐れおののかせて、みんなあきらめちゃって、後から残ったら一年でいいですよ、二年でいいですよと言ったら、これはもうぐじゃぐじゃの全く不当なものになりますから、その辺、私、横に質問できないんでちょっと難しいんですが、私、そんなことを感想として思っておりました。

山下よしき 私ども日本共産党は、郵政民営化法案の審議時から、民営化は民間でできない郵便、金融のユニバーサルサービスを崩壊させて、三百四十兆円に上る国民の資産を日米金融資本に明け渡すものだと批判して、真っ向から反対してまいりました。今その指摘が現実のものとなりつつあるということを感じます。改めて郵政民営化の抜本的見直しを求めて、質問を終わります。

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