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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 

2007年12月20日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに総務大臣に伺います。
 政府の原案で、現行法の命令放送を要請放送に変更したいきさつ、趣旨を説明していただけますか。

増田寛也総務大臣 お答え申し上げます。
 この改正の趣旨でありますが、現行の命令放送制度におきまして、NHKの編集の自由に配慮する運用を行ってきたところでありますが、この法文上の文言は「命令」と、こういう形になっております。これにつきまして、NHKの編集の自由を必要以上に制約するのではないかとの懸念が示されたところであります。
 今回の改正によりこのような懸念を解消するため、従来の「命ずる」と、このような文言を「要請」に変更をいたしますとともに、応諾はNHKの努力義務といたしまして、従来の命令放送制度と比較して、NHKの編集の自由により一層配慮した制度に改める、これが今回の趣旨でございます。

山下よしき いきさつについてはどうですか。

増田総務大臣 この間の様々な議論の中で懸念が示されたと、これがいきさつだろうと思います。

山下よしき 昨年の菅総務大臣の命令内容に対する世論の反応もそのいきさつに含まれていると思いますが、いかがですか。

増田総務大臣 個別にどういうものが入った入らないというのはなかなか言い難いわけでありますが、こうした国会、立法府の場での様々な御議論といったようなことなども含めてこれは全体を判断をしたということだと思います。

山下よしき 否定はされませんでした。
 そこで、菅総務大臣の命じた放送事項は、個別具体的な項目を指定したことが国家による放送への介入、表現の自由、報道の自由、編集の自由の侵害に当たるのではないかと問題になりました。
 今回、命令を要請に変えることによってこのような個別具体的な項目を指定することはできないことになるのか、総務大臣の見解を伺います。

増田総務大臣 お答え申し上げますが、今回の改正がございましたので、私どもは、放送事項を具体的に指定をして要請することもあり得るだろうと。例えば、海外で災害や暴動等の非常事態が発生をして在外邦人の生命、身体、財産の保護の観点から必要な場合などといったようなことは考えられますし、これはケースは様々なので一概に言えませんけれども、例えば今申し上げましたような場合には、やはり放送事項を具体的に指定して要請することもあり得ると、こういうふうに想定をしてございます。

山下よしき あり得るということであります。また様々なケースも想定されているということでありました。したがって、命令を要請に変えただけでは、これは菅総務大臣、当時の行いに対する懸念というものの歯止めにはならないということだと思います。
 そこで、修正案の提案者に伺います。
 昨年の十一月の十日の菅総務相の行いというのは、NHKの橋本会長を総務省に呼んで短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に放送するよう命令をいたしました。国が具体的なテーマを指定して放送を命じるのは初めてのケースでありまして、これに対して、例えば日本新聞協会が批判の談話を発表いたしました。
 そこには、もとより、拉致被害者を励まし、国際的な理解を深めるなど拉致問題の早期解決に国際放送が果たす役割は重要である。しかし、今回の命令が従来の枠を超えて具体的に放送内容を指示している点は、報道、放送の自由を侵すおそれがあり、重大な懸念を表明せざるを得ない、こう述べております。
 各紙も、例えば読売は社説で、命令までは必要なかった、日経も、なぜ命令放送なのか、毎日は、命令規定そのものの撤廃を、朝日も、規定を法律から削れというふうに主張がされております。私もこの命令放送を規定した現行放送法三十三条そのものを削除してしかるべきだと思います。
 で、十一月段階の民主党の修正案骨子案でもそういうものが入っていたと思うんですが、なぜ今回そのことがそのまま残されたのか、説明いただけますでしょうか。

山口俊一衆議院議員 お答えをさせていただきます。
 先ほど来御指摘がございましたように、元々非常に誤解を招いたと、誤解を招きやすいというふうなことでいろんな議論が行われて要請放送というふうな格好になったわけでありますが、修正協議のときにこの項目を削除というふうな御意見もございました。しかし、しっかりと国際放送はやはりやっていくべきであろうと。同時に、命令から要請に変えたと、さらには、いわゆる編集の自由等々にも配慮すべきということを明示をさせていただいたというふうなことでこういうふうな形の修正案というふうなことになったわけであります。

山下よしき 国際放送も必要だという点についていいますと、そもそもこの放送法自身に協会の目的、業務にかかわって、「国際放送及び委託協会国際放送業務を行うこと。」というふうに規定がありますので、三十三条が削除されたとしても国際放送ができなくなるわけではありません。
 それから、配慮については後で聞きたいと思います。
 それから、もう一つ修正案で加えられたのは、その放送事項に続いて、括弧していろいろな項目が入っております。もう読み上げることはいたしませんが、その中にある国の重要な政策、国の重要事項、これはだれが判断するんでしょうか。

山口衆院議員 放送すべき事項が国の重要な政策や国の重要事項に該当するかどうか、これは当然、要請の主体となる総務大臣の判断と。ただ同時に、これ従来からもそうなんですが、電波監理審議会の諮問を経た上で要請というふうなことでございまして、同時に、先ほどの御答弁の中に、抜かしましたけれども、いわゆる限定列挙をさせていただいたというのも実は修正協議の様々な議論の中での結論でございました。

山下よしき 総務大臣が判断するということでございますので、これは国の重要事項が何かを判断するのは総務大臣だということになりますと、限定どころか総務大臣にフリーハンドを与えることになると私は思います。
 それから、電監審に諮るということになっておりますが、菅総務大臣の行いのときにも電監審は超短時間でそれを認めてしまいました。そこに歯止めを期待することはできません。
 そこで、先ほどの配慮という項目ですが、総務省に伺います。
 修正案では、「総務大臣は、前項の要請をする場合には、協会の放送番組の編集の自由に配慮しなければならない。」と加えられましたが、菅大臣の行った命令は編集の自由に配慮しなかったというふうにお考えでしょうか。

増田総務大臣 当時の経緯の中で、前大臣も、再三NHKの編集の自由に配慮するということをお話しになっております。それから、法律自身も、今は現行法でございますけれども、当然そうしたことを法律も考えている、今の法律自身がそのことを含んでいる法律だと、こういうふうに思っているわけでございます。
 十分にNHKの編集の自由に配慮しながらああした御要請をされたということでございます。

山下よしき 菅前大臣も配慮したというふうにお述べになりましたから、あの昨年十一月十日の命令は報道、放送の自由、編集の自由に配慮したものであったというのが総務省の認識だというふうに確認をいたしました。そうなりますと、この規定が修正案の中に加わったとしても、あの菅さんがやったようなことの歯止めにはならないと総務省は認識しているということになります。
 加えて、修正案提案者に伺いますが、政府原案の、協会は、総務大臣から要請があったときは、これに応じるよう努めるものとするという条文がそのまま残っております。これも私は非常に危惧をするものですが、どうしてこの条項が残ったんでしょうか。

山口衆院議員 この件につきましても実は若干議論をさせていただいたところでありますが、ただ要請をするだけということも、これは全くどうなのかなというふうな議論と、同時に、実はその中で、いわゆる公共放送たるNHKがこれ受信料で、ある意味でそういった国際放送をやっていくのが適当なのかどうか。やはり諸外国の例を見ましても国費投入というふうなことにもなっております。そういった意味でも、やはり国費を投入するための根拠みたいな意味合いも実はございますので、そういった話合いの中で残させていただいたということであります。

山下よしき この条項は非常に重大だと思います。これ努力義務になっておりますけれども、私人ではなくて国の要請に従うことの努力義務でありまして、力関係上、国の方が圧倒的に強いということは言うまでもありません。NHKは放送の要請が出されればそれに従うほかなくなると思います。これまでだって従軍慰安婦問題でのいろいろな圧力に対して毅然とした態度を取ってこれなかったNHKですから。
 加えて、放送事業者が事業を行うのに不可欠である無線局の開設には総務大臣の免許が必要であります。また、総務大臣はその免許の停止ないし取消しの権限も有します。さらに、NHKの予算の承認は国会でなされることになっておりまして、そこでは総務大臣を輩出する政府・与党の影響力が強く反映されることになっております。ですから、これは国からの要請があればこれはもう事実上それを応諾せざるを得ないという文言がそのまま残っているということにほかならないと思います。
 ですから、いろいろ考えますと、これは非常に重大な、修正を加えてもなお問題が残る。というよりも、むしろ、現行法にも政府の原案にも国の重要な政策ですとか国の重要事項などという記述はありません。この記述を加えることによって、菅総務大臣が行ったような個別項目の指定も、国の重要な政策、国の重要項目と大臣が判断をすれば大手を振ってできるようになる。そして、協会はそれに応じるよう努めなければならなくなる。これは事実上、拒否できなくなる。これでは私は、国家による放送への介入を限定するのではなくてお墨付きを与えることになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

原口一博衆議院議員 山下委員にお答えいたします。
 今、山下委員がるるお話をなさったような問題意識を持って、当初私たちは民主党としては命令放送の削除ということを議論をしてきたわけでございます。ただ、やはり政府についても国会による民主的統制というものもこれまたあり、また今回この修正を加えた趣旨は、それをお墨付きを与えるということではむしろなくて、政府が指定する放送事項について国の重要事項等の文言を加えた趣旨はそちらの方ではなくて、政府が放送事項を指定して協会に対し放送を行うことを要請することについて、協会の番組編集の自由、ここに配慮する観点から指定できる放送事項を限定したと。ですから、何でもかんでも自分たちが勝手に判断をしてそれを押し付けることができるという意味でこの点を列挙したんではないということを修正案の立法者の意思として表明をしておきたいというふうに思いますし。
 これは私たちの考え方ですが、やはり管理をする機関、それをつかさどる機関が公権力に直接結び付いているということについてもやはり議論が必要だということも与野党の修正案の提案者の中でも議論をしてきましたけれども、そこまではまだ合意に至らなかったということも付け足しておきたいと思いますので、御理解をよろしくお願いいたします。

山下よしき では、改めて確認なんですけど、この修正された法案が成立したら、菅大臣が行ったような個別具体的な項目の指定は一切できなくなるというふうになるんでしょうか。民主党の原口議員、どうでしょうか。

原口衆院議員 その個別の具体的なものに何でもかんでも入っていいというようなことを私たちは考えていません。ただ、その菅大臣がなさったことがこのことによって直ちに排除されるかというと、そこのところはやはり慎重な議論が必要であろうというふうに思います。

山口衆院議員 今、原口議員の方からお答えをしたとおりでありますが、御存じのとおり、限定列挙する中に、実は邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項というふうなのもございます。そういった中で、先ほど総務大臣の方からも御答弁がありましたけれども、例えば海外で災害や暴動等の非常事態が発生をしたと、在外邦人の正に生命、身体にこれ危機が及んでおるというふうな状況の場合等に関しては、やはり指定をして要請をすることもあり得るだろうと。そういったことも踏まえて、NHKの番組編集の自由にしっかり配慮しなさいというのを明記をさせていただいたということであります。

山下よしき 災害等でしたら災害対策特別措置法等でその旨を明らかにすればこの三十三条を削除しても可能になるということですので、あえてこれを残し、しかも国の重要事項ということを更に加えることによって、これはその内容が何に当たるかは総務大臣が判断するということですから、限定ではなくお墨付きを与えていることになる。この修正案は、私から言わせれば、オブラートに包んで毒を飲ませることにもなりかねないということを申し上げておきたいと思います。
 NHKの経営委員長に伺います。
 太平洋戦争開戦直前に首相官邸放送室を情報局放送室に兼用し、そこに日本放送協会のアナウンサーや中継係を常勤させていたという時代がございます。正に放送が政府、軍部の意思を伝える通路にすぎなかった時代がありました。このような戦前の痛苦の教訓から、戦後、政府から独立し、国民の代表としてNHKを管理監督するために経営委員会が設立されたものと私は理解をしておりますが、この政府からの独立、国民の代表として管理監督、これが経営委員会の根本的な存在意義だと私は思いますが、委員長の御認識を伺いたいと思います。

古森重隆NHK経営委員長 ただいまの質問にお答えいたします。
 公共放送といたしまして、あまねく全国における放送といった高い公共性が期待されるものであることから、国民の代表である国会の同意を得て、内閣総理大臣が任命した経営委員により構成されます合議体といたしまして、この経営委員会がNHKの最高意思決定機関としての権限と責任を有するということは認識しております。
 それから、なお、経営委員は職責にかんがみ、その任命中、意に反して罷免されることはなく、任命権者である政府から独立して公正な判断を行うことは制度上保障されているということでございます。
 それから、更に申し上げますと放送法第三条二項、放送、公共放送は政治的に公正中立、それから事実に反しない、それから公序良俗に反しない、それから多角的な、いろんな意見があるときは多角的な論点を解明すると。この四つが要は憲法として公共放送の、放送の大基準でございます。
 そういった観点から、我々経営委員は、今言ったように、執行部の放送としての実施を、もちろんその自由を保障しながら、かつそういう基準、諸基準に照らして厳正に行われているかどうかということを管理監督する責任も一面にございます。それからまた同様に、そういう自由が保障される執行部、NHKの執行部自身に対しても、自由に伴う責任というものを大いに自覚していただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

山下よしき その責任を自覚させるに当たってよって立つ基盤は、国民・視聴者の代表として管理監督するという点はいかがでしょうか。

古森経営委員長 そのとおりでございます。

山下よしき そうであるならば、私は、経営委員会の活動は、国民に対して透明性、公開性が保たれなければならないと考えます。とりわけ、NHK執行部のトップであるNHKの会長人事に当たっては、透明性、公開性が重要だと思います。どういう基準で会長を選ぶのか、国民にその基準を示すことが大事ではないかと思いますが、委員長の認識を伺いたいと思います。

古森経営委員長 NHK会長の任命につきましては、まず指名委員会で審議し、その報告を受けて経営委員会が議決することとしています。現会長が来年一月二十四日で任期満了となることから、これまで指名委員会を三回開催いたしました。次期NHK会長に求められる資格要件等について考え方をまとめ、これを経営委員会としての方針として経営委員会にて決定いたしました。
 次期NHK会長に必要な資格要件といたしましては、構想力、あるいはリーダーシップ、あるいは業務遂行力、国民あるいは外部に対する説明力、あるいは政治的中立性、経済的な利害関係がない等々の項目がいろいろございます。さらに、国民、NHKから信頼を得られる人、あるいはNHKの公共放送としての使命を十分に理解しているという意見もございまして、これらの資格要件を詰めてまいりましたものはすべて公表されております。
 なお、具体的な人選につきましても、昨日のことはございましたけれども、これは十二月十三日の経営委員会の論議は、いろいろな諸決定は、これは議事録として公表されますし、最終的に具体的人名を決定するその過程を議事録として公表いたします。ただし、人事に関することでございますから、個別にわたる詳細は発表できないものということは御理解いただきたいというふうに思います。

山下よしき 報道等によりますと、古森委員長は次期会長人事について経済人など外部の人材を中心に選任する方針のようでございますけれども、経済人から次期会長を選任することにした理由は何でしょうか。

古森経営委員長 先ほどの資格要件が種々ございます。これに全部該当する人というのはなかなかそういるものでは、まあ、そう言っちゃ失礼かもしれませんが、なかなか難しい問題でございます。
 今NHKに一番大事なことは、先ほども申し上げましたように、これからの新しい時代、あるいはいろんな課題を持ったNHK、改革をするということ、これがもうプライオリティーでございます。そうした改善ではなく改革をするということを考えたときに、内部の方はいろんなしがらみ、いろんなことにとらわれるという可能性が大きいと。そしてまた、過去で内部の人が改革を進めたと、まあ外部の人も含めてですけれども、実績が見当たりません。いろんなことを判断いたしまして、先回の経営委員会ではやはり外部の人であろうと。そういう外部の人で思い切ってしがらみのない人にやっていただくしかないということで、これは圧倒的多数でございまして、議決されまして、昨日おやりになったお二人がそうじゃないと、内部がいいんじゃないか等々の意見がございまして、多数決で、これは民主主義の原則でございますけれども、そういうふうに決めさせていただきましたが、それが御不満だということで昨日の発表だったということだと思いますが。
 それで、経済界の話でございますけれども、そういうことを考えましたときに、やはり大きな企業を率いてやられた経験のある方、それから改革の実績のおありの方、改革をいろいろやった、それからその企業自身が、まあ社長としては、できればそれに加えて文化的な素養がおありになる方、例えばその企業が非常に文化的活動に熱心であるとかそういうふうなことがございますが、そういうことは備わっているならば経済人が最適ではなかろうかというふうに考えたわけでございます。
 以上であります。

山下よしき 私は、大本営発表と直結した戦前の放送のように、放送が権力と一体になる国営放送化を許さないこととともに、国民の文化や民主主義を醸成するという重要な役割を担う放送に市場原理や競争原理を過度に持ち込むことにも、これは警戒が必要だと思います。とりわけ公共放送たるNHKにとっては本質的な問題だけに、会長の人選は国民によく分かる、オープンな議論で進めてもらいたいということを要望して、終わります。

山下よしき 私は、日本共産党を代表して、放送法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、NHKの経営委員会の合議制をゆがめ、政府の介入につながる仕組みをつくるとともに、経営委員会の国民・視聴者の代表による管理監督という本来の役割を大きく後退させ、企業経営のガバナンスを行う組織に変質させるからであります。
 NHKの経営委員会は、国民・視聴者の代表として公共放送の中立性、自律、独立性を守るため、独断を排し、民主的に意思決定を行う合議制機関として設置されたものです。法案は、一部の経営委員を常勤化し、監査委員を兼任させて監督と監査を行うなどの強い権限を与えるようになっています。これは、非常勤の委員との間に格差を生み、経営委員会の合議制をゆがめていくものです。また、経営委員の常勤者の任命を内閣総理大臣が行うなど、NHKに対する政府の介入が強まることは重大です。
 さらに法案は、公共放送を担うNHKの経営に利潤追求を第一とする営利企業と同じ経営の仕組みを持ち込むと同時に、経営委員の選出についても、全国八ブロックから選任される仕組みをなくし、財界代表が入りやすくするなど、経営委員会の国民・視聴者の代表による管理監督という側面を大きく後退させ、経営委員会を企業経営のガバナンスを行う組織に変質させるものであり、容認できません。
 第二の理由は、国際放送の「命令」を「要請」に変える一方で、応諾の努力義務を課し、修正によって「国の重要事項」などの要請項目が加えられ、これまで以上に政府の介入を招くものになるおそれがあるからです。
 政府は、昨年十一月、放送法に反して、具体的な項目を挙げて国際放送を命令しました。政府の強権的な姿勢に国民の批判が高まり、「命令」を「要請」に変えたものの、応諾の努力義務を課すなど、政府の介入を排除するものにはなっていません。また、法案の修正によって、要請項目に「国の重要事項」などが加えられたことも重大です。当委員会の審議で明らかなように、何が国の重要事項かは総務大臣の判断によるものであり、要請内容を限定するどころか、これまで以上に政府の介入を招くおそれがあるものです。
 第三の理由は、認定放送持ち株会社制度の導入によってマスメディア集中排除原則を空洞化させるからであります。
 法案の認定放送持ち株会社は集中排除原則の例外とされ、異なる地域であれば複数の放送事業者の子会社化が可能となり、持ち株会社による放送の寡占化、集中化をもたらすことになります。
 現状でも、放送番組がキー局中心で、地域独自の制作番組が少ないと指摘されています。法案によって、この傾向が更に進みかねません。マスメディア集中排除原則は、憲法で保障された放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるように、放送を一の者に独占させないようにするものです。法案は、放送の多元性、多様性、地域性を実現するための原則を緩和し、空洞化させるものであります。
 以上、三点を述べ、討論を終わります。

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