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【動画&議事録】被災者生活再建支援法の対象を一部損壊にも支援広げよ  毎月勤労統計調査不正 地方交付税総額特例法案に反対 参議院総務委員会 2019年02月07日

2019年02月08日

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○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 今回の二次補正では、地方自治体の災害関連経費分として、特別交付税が七百億円増額配分されることになります。
 昨年六月の大阪北部地震で、ブロック塀倒壊によって女児死亡事故のあった高槻市では、学校、通学路あるいは福祉施設などのブロック塀の撤去、改修を急いでおります。これらには国の補助があり、歓迎されています。
 しかし、被災自治体には、国の補助がなくても復旧しなければならない公共施設が数多くあります。例えば高槻市では、市が管理するコミュニティーセンターの建物に地震でひびが入り、改修しなければならなくなっております。
 このように被災自治体には様々な経費が生じますけれども、総務省、今回の特別交付税七百億円の増額分をこれらに活用できるのか、その他どのような財政措置があるのか、簡潔に御答弁ください。

○政府参考人(総務省自治財政局長 林崎理君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、災害の発生時には被災団体において応急復旧対策等々様々な財政需要が生じますので、今御指摘あったような施設などが傷んだといったような、それへの対応といったような経費もあると思います。
 仕組みとして地方債やあるいは普通交付税による措置が対応できるものもございますし、それができないものにつきまして特別交付税で対応しようということで、一定の指標を用いまして災害復旧事業費あるいは罹災の世帯数等に基づきまして算定をして包括的に措置をして、そして被災自治体を支援をすると、こういったことで我々対応してきておりますので、今回、七百億増額いただいて、そういった財源にも活用させていただく、こういうことだと思います。

○山下芳生君 自治体の要望をきめ細やかに聞きながら対応いただきたいと思います。
 次に、大阪北部地震、台風二十一号災害で改めてクローズアップされた一部損壊の問題について質問します。
 資料一に災害による住宅被害の状況を載せております。二〇一六年の熊本地震では、二十万六千棟の住宅被害のうち一部損壊が七八・八%、大阪北部地震では、五万八千棟の被害のうち実に九九・一%が一部損壊でありました。台風二十一号では、五万一千棟の被害のうち九八・五%が一部損壊であります。御存じのとおり、被災者生活再建支援法では全壊世帯あるいは大規模半壊世帯が支援対象で、一部損壊世帯は支援ありません。
 そこで、一部損壊の被災者がどういう実態にあるのか、資料二に大阪北部地震から半年たった被災地の写真を載せています。屋根をブルーシートで覆ったままの住宅が目立つわけですが、四日前、私、高槻市に行きましたら、同じような光景が依然として広がっておりました。もちろん、業者の不足で工事が遅れているという面はあります。しかし、それだけではありません。
 実例を一つ紹介します。高槻市の七十代男性は、独り暮らしの住宅の屋根や外壁にひびが入り、一部損壊と判定されましたが、屋根は地震直後にブルーシートを張ったままになっております。この方は、収入は年金のみ、近所の家で工事費用百万円以上と聞いて業者を探す気力を失った、しばらくは今の状態で住み続けるしかない、こうおっしゃっております。
 総務大臣、これは政治家として感想を伺うんですけれども、住宅再建の展望や見通しがあれば、私はつらくても厳しくても頑張ることができると思うんです。しかし、展望や見通しがない、これは非常にきついと思いますよ。この一部損壊の被災者の実態、どうお感じでしょうか。

○総務大臣(石田真敏君) この問題についての御質問は本会議でもなされまして、この被災者生活再建支援制度の趣旨からすれば、支給対象の拡大については、国や都道府県の財政負担等の課題があり、慎重に検討すべきものと考えるが、現在、制度所管官庁である内閣府において検討が進められていると私も承知いたしております。

○山下芳生君 紙に書いたものを読んでほしくないんですよ。今、実際目の前でこういう実態があると、それを政治家として感じることを肉声でお話しいただきたいんです。もう一言どうぞ。

○総務大臣(石田真敏君) この写真を見せていただいて、ここにお住まいの方々、本当に御苦労をされているなということを感じます。
 ただ、委員も御指摘ありましたように、なかなか業者さんが対応できないという実態も一方ではあるようでございまして、その辺りは、議員の御指摘のように、大変この一部損壊、半壊等で御苦労をされている方がおられるということでございますので、先ほど申し上げましたように、内閣府等でこういう実態を踏まえてしっかり検討をさせていただきたいと思っております。

○山下芳生君 一部損壊を放置したらどうなるか。熊本地震では、瓦が落ちたのに修繕できずに、雨水が入って、家の中がカビあるいは湿気だらけになって、結局住むことができなくなったというケースがあります。
 昨年八月、大阪府市長会が要望を出しております。紹介しますと、今回の地震による住宅被害はそのほとんどが一部損壊となっており、被災者生活再建支援法に基づく支援がない、特に屋根の損壊は一部損壊であっても生活に支障を与えるものであることから支援対象を拡大されたいと。おっしゃるとおり屋根なんですよ。一部損壊でも、屋根は雨水が入ってきて、結局はりなどが腐って住めなくなるということが熊本ではもう起こっているんですね。だから大阪府の市長会がこういう要望をされました。
 総務大臣、この自治体からの一部損壊の支援対象拡大、真剣に受け止めるべきではありませんか。

○総務大臣(石田真敏君) そういう実態は私も理解をしておるつもりでございますので、先ほども申し上げましたけれども、内閣府等を中心にしっかり検討してまいりたいと思っております。

○山下芳生君 阪神・淡路大震災で被災住宅の調査に当たった神戸大学大学院の平山洋介教授は、こうおっしゃっております。近年多発する災害を超高齢化がより深刻なものにしている、一部損壊でも暮らしへの影響は大きい、現実には年金しか主な収入がないお年寄りが高額の修繕費を賄うのは難しい、それが住宅再建を遅らせている要因だ、今後ますます超高齢化が進む、国は一部損壊の修繕費へも支援を検討する時期に来ている。大変重要な指摘だと思います。
 今日は内閣府中根副大臣に来ていただいておりますが、提案があります。現在、被災者生活再建支援法の支援対象になっていない半壊世帯、そして一部損壊世帯への対象の拡大について、私は、被災者、それから自治体の首長、そして有識者、専門家などの協力を得て、これ検討会をつくって検討に踏み出すべきではないかと思いますが、いかがですか。

○内閣府副大臣(中根一幸君) お答え申し上げます。
 被災者生活再建支援制度、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊また大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援によりこの支援金というのが支給するものであります。
 半壊世帯までの支給対象の拡大につきましては、御案内のとおり、昨年十一月の全国知事会からの提言も踏まえ、事務方において全国知事会との継続的に意見交換を行っているところであります。
 支給対象の拡大は、国や都道府県の財政負担等の課題もあり慎重に検討すべきものと考えるが、全国知事会と協力して、半壊世帯の実態を把握することが重要との観点から、半壊世帯における補修費等の情報を収集するとともに、この生活再建に向けた課題等について実態を今把握しているところでございます。
 いずれにせよ、今後も引き続き被災者に寄り添いながら災害対応、努めていきたいと思っておりますが、先ほど委員がこの検討会を設置して検討すべきとの御指摘ということでございますが、先ほどもお話ししたように、現在この全国知事会との継続的に意見交換、行っているところでございますので、その中で実態把握等を進めてまいりたいと考えております。

○山下芳生君 副大臣が紹介されたことはいいことだと思うんですよ。知事会と協力して実態を把握すると、それは出発点だと思います。ただ、事務方同士の会合なんですね。これでは世論喚起にとってはやっぱり弱い。いつまでたってもなかなか実現しないということになるんじゃないかと思うんですね。もっとオープンにする必要がある。
 だから、今の到達を踏まえて、私は新たに二点提案したいんですけれども、一つは、被災者、それから自治体の首長、それから有識者が参加する検討会にバージョンアップする必要があるんじゃないかと、これが一点。二つ目に、半壊だけではなくて、今るる実態紹介しましたので、一部損壊への支援も検討内容に加えるべきではないか。副大臣、この二点、いかがでしょうか。

○内閣府副大臣(中根一幸君) バージョンアップしてこの今の検討会に持っていくというようなお話でありましたが、先ほどもお話ししたとおり、まずは、今現在、全国の知事会と継続的に意見交換を行っているところでありますので、その中で実態把握等を努めてまいりたいと思います。
 そしてもう一点、この一部損害まで支給拡大検討しないかというようなお話だったと思いますが、昨年この十一月の知事会からの提言では支給対象を半壊まで拡大することとされていることも踏まえて、今これについて意見交換を行っているところでございます。

○山下芳生君 せっかく政治家として来ていただいているので、被災者生活再建支援法だってなかったんですよ。阪神・淡路の実態を前に、私もそのとき一生懸命頑張って超党派の皆さん呼びかけて議員立法で作ったんですよ。ようやくできたんですよ。
 だから、しかし、今その下でも救われない被災者が、半壊、一部損壊あると、それが新たな熊本や北部地震で明らかになった。だったら、これは政治の決断として踏み込むべきではないか。もちろん事務方の調査はいいですよ。だけど、やっぱり被災者や自治体の首長さんやそういう方に入っていただくこと、そして一部損壊をやはり検討の対象にする、やらなければならないということを決める前に、まず実態を一部損壊についても把握すべきではないかということを言っているんですが、何もやらないということにはならないでしょう。そこも視野に入れてください。

○内閣府副大臣(中根一幸君) 何度も同じことになって恐縮ですが、先ほど言ったように、現在、全国知事会と継続的に意見交換行われているところでありますので、その中で実態把握等を進めてまいりたいと思っております。

○山下芳生君 一部損壊も是非入れていただきたいということは要望しておきたいと思います。
 もう残り時間僅かですが、統計不正の問題について聞きます。
 資料三に配付したように、統計法一条、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であるとあります。そして、第八条に関わる逐条解説では、国民がそれを利用するに当たり、当該統計がどのような情報を用いて、どのような方法で作成されたものなのかといった情報が提供されることが望ましい、そこで基本情報についても公表することを義務付けたとありますが、厚労省、この資料四に、毎月勤労統計年報二〇一七年版より産業、事業所抽出率表を掲載しましたが、これが毎勤統計の基本情報ですか。

○政府参考人(厚生労働大臣官房政策立案総括審議官 土田浩史君) お答え申し上げます。
 公的統計につきましては、御指摘のように、統計法第一条におきまして、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であるとされております。また、公的統計の体系的、効率的な整備及びその有用性の確保を図ることが規定されているところでございます。
 これは、公的統計が行政のためだけではなく国民生活や企業活動にとっても必要不可欠なものであり、広く国民のために分かりやすい情報を提供していくことが重要であるというふうに認識しております。
 こういった観点から、毎月勤労統計につきましても、産業、事業所抽出率表につきまして年報において毎年公表してきたところでございますが、残念ながら抽出率表につきまして事実と異なる記載を長年続けていたということでございまして、御承知のように今般のような事態を招いているところでございます。
 そういったことにつきまして、国民の皆様に多大なる御迷惑をお掛けしていることにつきまして、改めておわび申し上げるところでございます。

○山下芳生君 要するに、資料四が基本情報なんですが、本当に重大なんですね、今おっしゃったとおり。この四の右側を見ていただきたいんですが、規模五百人以上の事業所についての抽出率は全て一分の一です。つまり、全数調査を行ったと国民には情報提供しているんですね。
 ところが、実態は、御存じのとおり、二〇〇四年から東京については三分の一の抽出調査を行っていた。国民を欺き、統計への信頼を根底から揺るがす不正であり、違法行為であります。しかも、御存じのとおり、抽出したら当然ながら倍数補正しなければならないのに、それをしなかった。さらに、二〇一八年一月から国民には公表しないでこっそりと三倍の復元を行った。国民を二重三重に欺くことになります。
 中央官庁で統計業務に携わった経験をお持ちのある研究者の方は、次のように語っております。統計の常識として、誤りに気付いたら遡って修正すべきであるのに、それをせずに公表し、修正前の数値と修正後の数値で前年同月比を出した。統計知識を持った管理者がなぜそんなことをしたのか。まずいと分かっていながら、修正でプラスが大きくなるのだからよいだろうと安易に判断したのなら、それは安倍内閣へのそんたくであり、統計従事者として到底許されないという指摘を聞きました。もうそのとおりだと思うんですね。
 総務大臣、なぜこんなことが起こったのか。不正を隠すためなのか、あるいは政権へのそんたくなのか、あるいは政治からの圧力があったのか。統計従事者が、あってはならない、普通なら絶対あり得ないことをやっちゃった、その動機を解明することが再発防止にとってはどうしても必要だと思いますが、大臣の認識を伺います。

○総務大臣(石田真敏君) 本当に申し訳ないことで、これは、公的統計一条にありますように、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報でございますので、今回のような事案はあってはならない事案でありまして、誠に遺憾だというふうに感じております。
 そして、今御指摘ございましたように、やはりこれをどういうことでこういうことになっていったのかということをしっかり解明することが大事だと思っておりまして、今厚労省の特別監察委員会、今回、第三者性をより強めてということでございまして、今調査をされているということでございます。
 また、総務省の関係で、統計委員会の方でも点検検証部会を設置をいたしまして、これからきちっと対応をしていくということでございます。
 その辺りの結果をしっかり踏まえて今後の対応をやっていかなければならないと、そのように思っております。

○山下芳生君 時間が参りました。
 委員長に最後、御提案します。当委員会としても、必要な資料、そして、大西前統括官、西村統計委員長など必要な参考人を呼んで、この問題での集中審議を行うことを提案いたします。
 終わります。

○総務委員長(秋野公造君) 後刻理事会にて協議をいたします。
 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税の総額の特例法案に対し、反対の討論を行います。
 地方交付税法は、各年度途中で地方交付税原資が生じた場合、その年度の特別交付税に加算して地方自治体に配分すると規定しています。また、地方財政法では、加算配分された交付税は、地方自治体が自主的に判断し、災害により生じた経費や緊急に必要となった経費、また積立てや地方債の償還財源に充てると定めています。
 しかし、本法案は、二〇一八年度の途中で生じた地方交付税原資五千三百十一億円の大部分を特例措置によって来年度の地方交付税総額に組み込むものです。これは、地方の固有財源である地方交付税は速やかに地方自治体に配分し、地方自治体自身がその使い道を決するという法の趣旨に反するものであり、認めることはできません。
 従来から、政府は、年度途中に生じた地方財源の増額分を次年度の交付税に繰り越す特例措置を繰り返してきましたが、多くの地方自治体にとって、住民福祉や公共インフラ維持などのため一般財源の確保が喫緊の課題となっています。地方交付税法、地方財政法に背くやり方を続けるのではなく、現行法の規定に沿って特別交付税として配分、交付するべきです。
 大阪北部地震、西日本豪雨、台風、北海道胆振東部地震など深刻な自然災害が相次ぎ、特別交付税の規定により交付する災害関連経費が当初見積りを大幅に超過したことから、災害関連経費として七百億円を増額することは、特別交付税で交付する災害関連経費以外の諸経費への減額影響を避けるためにも当然の措置です。しかし、半壊や一部損壊世帯に対する自治体独自の支援を始め、被災者支援やなりわいの再建のためには更に十分な一般財源が求められています。
 以上申し述べ、反対討論といたします。

○総務委員長(秋野公造君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕

○総務委員長(秋野公造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○総務委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。

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