あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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【動画】国民をモルモット扱い=国家戦略特区法案--参院本会議質問

2013年11月22日

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 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特別区域法案について質問します。
 政府は、国家戦略特区について、新たな規制緩和を全国で展開するための突破口と位置付けています。しかし、これまでの規制緩和によって私たちの社会が一体どうなったのか、しっかり検証する必要があるのではないでしょうか。

 今や、若者や女性の2人に1人が正社員になれず、不安定雇用と低賃金に苦しんでいます。そのことに多くの国民が胸を痛めています。若者や女性のせいではありません。1999年の派遣労働の原則自由化、2004年の製造業への派遣労働の解禁など、相次ぐ労働法制の規制緩和がもたらした結果であり、これが賃下げ社会の一番の要因ともなっています。

 また、大店法を廃止し、大型店の出店、退店を自由化した結果、全国各地で商店街がシャッター通りとなりました。都会の真ん中で買物難民と言われる高齢者が生まれていることは深刻であります。
 官房長官、歴代自民党政権が推し進めてきた弱肉強食の市場原理に基づく規制緩和が、私たちの社会を、若者が自らの能力を生かせず将来に希望を持てない社会、高齢者が安心して住み続けられない地域社会にしてしまった、まず何よりそのことを自覚し反省すべきではありませんか。

 国民の命と暮らし、雇用と中小企業を守るために必要な規制、安心、安全を保障するための規制までなくしてはならないと考えますが、いかがですか。

 以下、法案の具体的な問題について聞きます。

 法案は、総理大臣、官房長官、特区担当大臣及び民間有識者をメンバーとする国家戦略特区諮問会議をつくり、そこで特区で実行する規制緩和の内容を決めるとしています。民間有識者とは企業側の利益代表です。これは、企業の利益に直結する規制緩和を総理と企業の代表が一体となって進める体制づくりではありませんか。

 現在、政府の下に置かれている産業競争力会議の民間議員の中には、派遣会社会長の竹中平蔵氏やネット販売会社社長の3木谷浩史氏の名前がありますが、国家戦略特区諮問会議の民間議員には、規制緩和で直接利益を得るような業界関係者、利害関係者は断じて入れるべきではありません。明確にお答え願いたい。

 さらに、政府は国家戦略特区で大企業に対する減税策の導入を目指していると報道されていますが、これは事実ですか。

 さきに述べたとおり、規制緩和は国民生活に多大な影響を与えます。にもかかわらず、法案では、国家戦略特区で実行される規制緩和のもたらすマイナスの影響、例えば労働条件の悪化、事業者の経営悪化、医療被害、環境破壊などについて、問題点を主張できる人が諮問会議や区域会議のメンバーになることはできず、関係大臣さえ蚊帳の外に置かれています。これでは、特区の指定や計画の作成に、国民や住民、自治体の声、専門家の声はどのように反映されるのですか。影響が出た後にそれを検証する体制もないのではありませんか。

 政府の国家戦略特区ワーキンググループの議事概要を見ると、まず特区でやってみて全国でやるべき、どちらがより多くの国民をモルモットにしているのかなどと、驚くべき議論が展開されています。悪影響を受ける国民の声を無視し、被害を放置する、まさに国民をモルモット扱いするような特区を認めることはできません。

 次に、法案は、幾つかの分野で具体的な規制緩和が提案されています。その一つが雇用の分野です。この間、国家戦略特区ワーキンググループでは、労使の契約でいつでも解雇できるようにすることや、労働時間の上限規制の緩和などが検討されてきました。まさに解雇特区、過労死特区とも言うべきものであり、断じて容認できません。

 さすがにこうした企ては国民の批判を前にトーンダウンしましたが、新たに有期労働における期間の定めのない雇用への転換申込み発生までの期間の在り方などについて検討するとしたことは見過ごせません。官房長官は、5年を10年にすると述べたと報じられましたが、何年働いても非正規雇用、正社員への道を遠ざけることになる有期労働の無期転換申込み発生期間の引き延ばしを検討しているのかどうか、明確にお答えください。

 今、自動車産業などで働く期間社員に対し、最長2年11か月あるいは最長4年11か月などと契約期間の上限を置きながら、数か月単位で細切れの雇用を契約する、一方で大量の期間社員切りをしながら、他方で大量の期間社員を採用するという、極めて不合理なやり方が広がっています。非正規から正規への道が開かれていることが大事というのなら、こうした脱法行為こそやめさせるべきではありませんか。

 以上、官房長官の答弁を求めます。

 次に、厚生労働大臣に質問します。

 労働基準法第1条には、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」と明記されています。労働のルールは全国一律であるべきであって、特区で治外法権となる地域をつくることなどあってはならないと考えますが、いかがですか。

 また、戦略特区における労働相談センターの設置、雇用ガイドラインの策定については、いずれも、政府、厚生労働省として、あくまでも雇用の確保、雇用の安定を前提として、企業が社会的責任を果たすよう指導を強めるべきだと考えますが、大臣の決意を伺います。
 農林水産大臣に伺います。

 経済団体は、農地耕作者主義原則を否定し、農業分野への株式会社参入を一貫して求めています。法案は、農業従事者の役員の構成比を大幅に低め、農業生産法人の要件緩和を進めるものです。これは、農業委員会事務の一部市町村への移管など、農業委員会の形骸化を図ることと併せて、農業への株式会社参入の一里塚としようとしているのではありませんか。

 文部科学大臣に質問します。

 法案では、公立学校の民間委託を検討するとしています。学校教育法上、学校の設置者がその教育に責任を負うことが求められています。公立学校の民間委託は、公立学校の設置者である地方公共団体の責任及び国の責任の後退につながるのではありませんか。

 また、この民間というのは株式会社など営利法人も含むのですか。もしそうだとすれば、本来、子供たちの教育に掛ける費用を株式配当に回すことになり、学校が利潤追求の道具になります。安倍政権の目指す教育改革とはそういうことなのですか。

 最後に、法案には、ほかにも各分野の規制緩和が盛り込まれています。しかも、今回は第一弾にすぎません。そもそも、特区による規制緩和は、アメリカの対日規制改革要望で繰り返し要求されていたものです。日米の財界の要求を優先し、国民の命や暮らし、雇用や中小企業を守るルールを壊すことなどあってはなりません。

 法案の徹底した審議を求めて、質問を終わります。(拍手)



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