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【議事録】参議院本会議での代表質問

2013年03月06日

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 3月6日参議院本会議において、日本共産党書記局次長の山下よしき参議院議員がおこなった代表質問は、以下のとおりです。

 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。

東日本大震災2年---住宅再建のため被災者への支援金大幅拡充を

 東日本大震災から間もなく2年となります。しかし、復旧・復興、とりわけ住宅再建の遅れは深刻です。親戚宅に身を寄せていたが、2年もたち、これ以上は肩身が狭い、狭い仮設住宅に2世帯で同居しているが、もう限界、世帯ごとに入りたいなど、今でも仮設住宅への入居待ちが陸前高田市で70世帯、東松島市で100世帯にも上っています。
 災害公営住宅の建設を急ぐとともに、被災者が自ら住宅を再建する支えとなる被災者生活再建支援法による支援金を大幅に拡充すべきではありませんか。
 これから住宅を再建する被災者にとって、消費税増税は大打撃となります。岩手県では、住宅の再建に平均2千万円かかります。消費税が10%になれば2百万円となり、支援金3百万円の大半が消えてしまいます。総理、消費税の増税が復興の妨げになるとは考えないのですか。こんなことはやめるべきではありませんか。

TPP---食料自給率・食の安全・医療・雇用からみても交渉参加は断念せよ

 TPPについて質問します。
 総理は、これまで、聖域なき関税撤廃が前提なら交渉参加に反対と繰り返し述べてきました。なぜか。関税が撤廃されたら大変なことになるからです。
 農産物の関税撤廃によって、経営規模が100倍以上のアメリカや1500倍以上のオーストラリアの農業と日本農業は丸裸の競争にさらされ、壊滅的な打撃を受けます。
 農林水産省の試算では、主食の米さえ9割が外国産に置き換わり、食料自給率は今の39%から13%に激減します。こんなことになれば、国民の生存そのものが根本から脅かされるではありませんか。だからこそ、自由貿易の下でも、農産物には高い関税を課し、自国の食料はできる限り国内で生産するという食料主権が国際的にも広く認められているのです。
 総理は、聖域なき関税撤廃は前提でないことをオバマ大統領と確認したと述べました。そこでお聞きします。
 首脳会談を踏まえて発表された日米の共同声明では、関税を撤廃することがTPPの原則だとした2011年11月のTPPのアウトラインを確認するとされました。加えて、全ての物品が交渉の対象となることも確認するとされました。ならば、日本でいえば、米、麦、牛肉、乳製品、甘味資源など、重要品目は全て関税撤廃を求められることになるではありませんか。違うのですか。明確にお答えください。
 総理は、TPPに対応し、強い農業をつくり、農産物の輸出を増やすと言います。しかし、これは事の本質をごまかすものです。一番の問題は、食料の自給率を高めるかどうかにあります。政府の食料・農業・農村基本計画では、食料自給率を50%に引き上げるとしています。国民の約9割も、食料は高くても国内産でと望んでいます。総理は、国民の切実な願いである食料自給率向上を投げ捨てるのですか。それとも、TPPに参加しても自給率は向上できるとでも言うのですか。
 TPPは関税だけではありません。各国の基準や制度の違いを非関税障壁として撤廃することも原則としています。アメリカはこの原則に沿って、遺伝子組換え表示をやめよ、農薬の残留基準を緩めよ、混合診療を解禁し、医療への営利企業の参入を認めよなどと迫ってきています。TPPに加われば、食の安全や医療、雇用が脅かされることは明らかではありませんか。
 TPP交渉はきっぱり断念すべきであります。

賃金引き上げへ、雇用は正社員が当たり前の流れを

 「デフレ不況からの脱却には賃金の引上げが必要」との認識は、今や立場を超えた共通のものとなりつつあります。総理も報酬の引上げを産業界に要請したと述べました。
 賃金引上げには何が必要でしょうか。経済財政諮問会議に提出された内閣府の資料は、企業は、正規雇用を絞り込み、賃金水準の低い非正規雇用のウエートを高めることで人件費を抑制していると述べています。つまり、歴代自民党政権が進めてきた派遣労働の容認と拡大、期間を定めて働く有期労働の拡大が賃金を低く抑える手段とされているのであります。
 総理、本気で報酬の引上げを目指すなら、政治の責任で労働法制の規制緩和を改め、雇用は正社員が当たり前の流れをつくるべきではありませんか。
 今や全労働者に占める非正規雇用の割合は35%を超え、日本社会にとって放置できない深刻な事態をもたらしています。非正規雇用の労働者は、今低賃金にあえいでいるだけではありません。リタイアするまで不安定な生活を強いられ、老後も極めて低い年金を余儀なくされることになります。それだけではありません。30代の男性では、正社員の未婚率が30・7%なのに、非正社員はその2.5倍、75.6%にも上っています。
 総理、こうした働かせ方が無年金、低年金や少子化の一因となり、日本の将来を危うくさせているとの認識はありますか。
 一方で、非正規雇用の広がりが若者を正社員を目指す苛烈な競争に駆り立てています。その中で、新卒の若者を正社員として大量に採用し、長時間残業、パワハラなどで短期間のうちに企業に極端に従属する人間に変えてしまう。その過程で若者は選別され、精神を病むなどして大量に退職に追い込まれる。いわゆるブラック企業が有名企業にまで広がっていることは看過できません。
 若者の能力を生かすのではなく、すり潰す非道、無法な企業を許さないために、政府としてブラック企業の実態を調査すること、背景にある長時間労働を規制し、若者に安定した雇用を保障することを強く求めます。

オスプレイ低空飛行訓練---国民の安全に責任を持つなら中止と配備の撤回を米側に迫れ

 きょうから、米軍岩国基地を拠点にオスプレイの低空飛行訓練が始まります。既に沖縄では、昨年10月にオスプレイが配備されて以来、住宅密集地を避けることとした日米合意などなかったかのように密集地の上空を我が物顔で飛び回り、深夜10時以降の夜間飛行訓練、重さ3トンものコンクリートブロックをつり下げて運ぶ訓練など、戦地を想定した異常な訓練が繰り返されています。
 昨年末の沖縄県の調査では、実に飛行の6割が日米合意に違反していました。ところが、政府はいまだに合意違反を認めることさえしておりません。こんな姿勢でどうして国民の命、安全を守ることができるのですか。
 米海兵隊の環境レビューには、オスプレイの任務は、橋頭堡や中間輸送を要さずに、艦船から離陸し、迅速に人員、装備及び補給物資を陸地の前線戦闘区域へと輸送することであり、低空飛行訓練の目的は、遠征地における海上又は陸上拠点からの運用、強襲支援及び航空退避のためであると明記されております。日本の防衛とは何の関係もない、米軍が海外で戦争するための訓練を、なぜ沖縄県民が、なぜ日本国民が甘受しなければならないのですか。
 沖縄でも本土でも、米軍によるオスプレイの低空飛行訓練を中止し、配備を撤回するよう米側に申し入れるべきではありませんか。それこそが国民の安全に責任を持つ総理の第1の任務であることを述べて、質問を終わります。



 

山下書記局長代行に対する安倍首相の答弁

 日本共産党の山下芳生書記局長代行の代表質問に対する安倍音三首相の答弁は次の通りです。

【大震災からの復興施策】
 山下芳生議員にお答えします。住宅の再建についてお尋ねがありました。災害公営住宅の建設については、復興大臣の下に設置された住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースにおいて、エ程や目標を公表した上で、その実現および加速化に全力で取り組んでまいります。また、住宅や生活の再建については、被災者生活再建支援金による支援を講じています。さらに今般の補正予算で、津波被災地域の自治体が住まいの形成に資する施策を通じて、住民の定着促進をすすめるため、震災復興特別交付税を増額したところであります。 

【復興の妨げとなる消費税増税
 東日本大震災からの復興と消費税率の引き上げについてのお尋ねがありました。東日本大震災からの復興は私の内閣の最優先課題のひとつです。被災者の方々に対し、住宅ローン減税の拡充や住宅の再取得等にかかる標準的な消費税の負担増加に対応しうる給付措置などさまざまな措置を講じるとともに、復興庁が現場主義を徹底して被災地における住宅再建等の課題にしっかり取り組んでまいります。他方で、今般の一体改革による消費税率の引き上げは増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。本年秋に付則第18条にのっとって、さまざまな経済指標を含め、経済状況等を総合的に助案して判断をしていくこととなります。いずれにしても震災からの復興を加速するとともに三本の矢で長引くデフレから脱却し日本経済を全力をあげて再生してまいります。

【TPP(環太平洋連携協定)の日米共同声明
 TPPに関する日米の共同声明についてのお尋ねがありました。先の日米首脳会談では、オバマ大統領との間で、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といった、2国間貿易上のセンシティビティーが両国にあること、そして、最終的な結論は交渉の中で決まっていくものであること、TPP交渉の参加に際し、一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められていないこと、の3点を明示的に確認し、日米の共同声明を発出しました。これらをふまえ、私はTPPでは、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識にいたったものです。いずれにせよ、日米の共同声明にある通り、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであり、ご指摘はあたりません。【TPPと食料自給率】 TPPと食料自給率についてお尋ねがありました。食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業生産の増大をはかり、食料自給率を向上させることは重要であると考えております。このため、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化をはかっていくことは、極めて重要な課題であり、攻めの農政に力を入れていきたいと考えております。

【TPPにおける非関税障壁の撤廃】
 TPPの非関税分野と交渉参加についてのお尋ねがありました。TPPについては、アジア太平洋地域における、高い水準の自由化を目標とし、市場アクセスのみならず、さまざまな非関税分野のルールづくりを含む、包括的な経済連携協定として、交渉されているものと承知しています。 これまで得られた情報では、TPP協定交渉では、現在のところ、個別の食品安全基準の緩和は議論されていないと承知しています。また、公的医療保険制度のあり方そのもの等についても、議論の対象となっていないと承知しています。 いずれにせよ、TPP交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議もふまえ、私が最終的に判断していきます。

【報酬引き上げ、非正規の正社員化】
 非正規雇用労働者も含めた報酬の引き上げなどについてのお尋ねがありました。
 経済の再生を推し進める中で、国民生活に経済成長の恩恵が幅広くいきわたるようにすることが重要です。ご指摘の非正規雇用労働者については、政府としてはその処遇の改善に向けた取り組み等を行う事業主に対する支援を進めてまいります。同時に、イノベーションや規制改革など、成長戦略に取り組むことにより、経済成長をなし遂げ、労働者全体の雇用と賃金の増大をめざしてまいります。なお、これまでの自民党政権においては経済産業構造の変化に応じて必要な労働分野の改革を行ってきたところです。

【非正規労働者の低年金、少子化】
 非正男雇用の無年金、低年金化や少子化への影響についてお尋ねがありました。
 非正規雇用は、雇用が不安定であり、賃金が低いなどの問題が指摘されており、また、厚生年金の適用対象とならない人も多く、被用者としての十分な保障を受けられない恐れがあることや、未婚率の増加の要因にもなっています。このため、正規雇用を希望する非正規雇用労働者の正規雇用化を進めるなど、非正規雇用対策に全力で取り組んでまいります。

【フラック企業の調査】
 いわゆるブラック企業と若者の雇用についてのお尋ねがありました。
 労働基準法などの違反が疑われる企業には、調査に入り、長時間労働の抑制を指導し、重大な法違反については厳正に対処するなど、しっかりと取り組んでいきます。また、いわゆるブラック企業ではないかという不安から、若者が優良な中小企業に目を向けない状況があります。こうした状況の改善を図り、若者の労働支援を進めてまいります。

【オスプレイ訓練、日米合意違反】
 オスプレイの飛行状況や訓練等についてのお尋ねがありました。我が国は日米安保条約にもとづき、我が国の防衛および地域の平和と安定を確保しており、在日米軍が訓練を通じて即応体制を維持することは、安保条約の目的達成のためにきわめて重要であります。
 もとより訓練に際して、米軍が我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることはいうまでもありません。
 オスプレイに関して、その配備は我が国の安全保障にとって大変大きな意味がありますが、依然として沖縄をはじめとする地元において厳しい目がむけられており、日米合同委員会合意が守られていないのではないか、との声があることは承知をしております。

【オスプレイの訓練中止と配備撤回】
 オスプレイの運用に際しては、地元のみなさまの生活への最大限の配慮は大前提です。今後とも日米合同委員会合意等について丁寧にご説明するとともに、この合意の適切な実施について、米側との間で必要な協議を行ってまいります。

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