あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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【議事録】パナソニックが大リストラ--決算委質問

2011年12月21日

○山下よしき 日本共産党の山下よしきです。
 総理は、所信表明で、雇用の場が失われる事態を防ぐと述べられました。
 そこで、総理、今、電機大手各社が全国各地で工場閉鎖や事業縮小を強行し、雇用と地域経済に深刻な打撃を与えようとしていることを御存じですか。

○野田佳彦内閣総理大臣 電機という特定産業だけではなくて、一般論としても、今は現下の円高などで国内の事業環境が厳しい状況になって国内産業が衰退し、雇用の場が失われてしまうというおそれがあるということは十分承知をしております。

○山下よしき 東芝など各社が工場閉鎖を発表しているんですけれども、今日はパナソニックで起こっている問題を取り上げたいと思います。(資料提示)

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 これは、パナソニックが今各地で進めている工場閉鎖などの一部であります。
 本社のある大阪・茨木工場、十月末で生産が終了いたしました。労働者三千五百人いたわけですが、既に非正規労働者は切られ、正社員も県外への出向か退職となっております。
兵庫県尼崎工場、プラズマテレビの画面を生産していた三つの巨大工場のうち二つが閉鎖となります。期間社員千人が切られようとしています。
 それから、千葉・茂原工場、ここは液晶テレビの画面を生産していましたけれども、来年三月で休止となります。正社員五百人、非正規労働者千人、合わせて千五百人の雇用が心配されております。
 それから、鳥取の三洋電機、三洋は今年四月、パナソニックの子会社となりました。その途端に事業縮小が発表されまして、労働者千二百人いるわけですが、うち四百五十人が県外への配置転換を求められ、三百七十二人が年内で退職することとなったと先週発表になりました。
 鹿児島の日置工場、半導体を生産していた工場ですが、閉鎖されるという発表がありました。労働者六百人の働く場所がなくなろうとしております。
 あっちでもこっちでも工場閉鎖、事業縮小であります。パナソニックグループ全体で国内の一万五千人が削減されようとしています。
 総理、これ、どうするつもりですか。

○枝野幸男経済産業大臣 円高を始めとして、そして円高以上にもしかすると抜本的に厳しいのは、世界的な産業構造の変化とでも言っていいんだろうというふうに思いますが、従来、我が国が競争力を持っていた分野が、新興国が相対的に安い労働力を持ちながら製品の質のレベルのところで相当追い付いてきた、あるいは場合によっては追い付かれているという状況の中において、我が国においても、国内としての企業の継続のためには事業の選択と集中が不可避であるという側面は、個々の企業においてもあるいは日本経済全体においても、これは今、時代の大きな転換点の中でやむを得ないことだろうというふうに思っています。そうしたことの中で、企業が可能な限り雇用の維持に努めることは大変重要であるというふうに思っております。
 また、できるだけ、例えば産業構造、例えば製造する製品の転換等を図る際においてもソフトランディングできるように、まずは法人税率の実効税率を引き下げること、あるいは高いレベルの経済連携等によって国内に立地する企業が海外の企業と対等に競争できる環境整備を進めているところでございます。
 また、あわせて、つまり従来の我が国が競争力を持っていた分野が大変厳しくなっている状況の中では新たな産業分野を創出することが大変重要でありまして、グローバル需要を取り込んで海外市場を開拓するための攻めの空洞化対策は、国家戦略会議とも連携して、今、年内にも発表したいと思っています。

○山下よしき 今いろいろ言われましたけれども、私は企業には社会的責任があると思いますよ。労働者の雇用を守る責任、取引先中小企業や地域経済を守る責任があると思いますよ。しかも、これらの工場は地元の自治体から様々な支援を受けております。
 尼崎工場は兵庫県から九十億円の企業立地補助金、尼崎市から固定資産税の免除を受けております。茂原工場も千葉県と茂原市から合わせて九十億円の補助金を受けることになっていて、既に三十億円が支払われております。地元の住民の皆さんからは、巨額の補助金を受けながら労働者の雇用と地域経済を守らなくていいのかという声が出ておりますけれども、当然だと思うんですね。実際、地元の知事や市長は、地域の大問題としてこれ懸命に行動されております。
鹿児島日置市長は、工場閉鎖が明らかになった先月、パナソニック本社を訪ねて、地元雇用への影響が大きい、何らかの形で残れないかと要請されました。鹿児島県知事も、県内最初の誘致企業だ、雇用確保、地域経済に最大限の配慮を求めると、こうおっしゃっています。
 鳥取県知事と鳥取市長は、三洋の親会社となったパナソニック本社をそろって訪ねて、三洋の出荷額は県内製造業全体の二割を占める、これまでの生産体制を維持してほしいと再三要請されていました。ところが、蓋を開ければ事業縮小で大量の離職者となった。それでも知事は、三百七十二人の離職者のインパクトは大きい、雇用維持を申し入れたいと、もう一度要請しようとされているんですね。
 総理、私は、知事や市長は、たとえ個別の企業であっても雇用を守れと必死で要請されています。鳥取県知事は何度も要請を繰り返されています。なのに、総理がこの問題で一言も言えない、個別企業に物を言えない。こういうことでは雇用と地域経済を守れるのか、そう思いますけど、総理、いかがですか。総理で、総理に聞きます。いやいや、もう総理、総理ですよ。

○野田首相 工場閉鎖等があった場合あるいは事業縮小があった場合に、当然のことながらその地域における経済への影響、雇用の影響は大きいというふうに思います。それを踏まえて、地方公共団体において対策本部を立ち上げるなど、様々な行動があるということも承知をしておりますけれども、政府としては、まさに国際競争力の観点から、立地補助金を拡充するであるとか円高の対策を講ずるとか、あるいは雇用調整の助成金の要件緩和を行うなど、その環境整備に努めていきたいというふうに考えております。

○山下よしき 立地補助金とおっしゃいましたけど、自治体が巨額の補助金を出しているのに平気で撤収、撤退するんですよ。これ効き目あるのかということですね。
 私は、何としても雇用と地域経済を守るんだという知事や市長の真剣さ、必死さと比べて、残念だけれども今の総理の答弁は他人事のように聞こえましたよ。もっと労働者と家族の立場に立つべきです。
 電機大手に税金をつぎ込んだという点では、国が一番つぎ込んでいるんですね。家電エコポイントに使われた国の予算は七千億円ですよ。テレビの地デジ化で国民はみんな新しいテレビに買い換えた、みんな買ったんですね。それで家電業界は大もうけしたわけです。パナソニックの内部留保、ため込み利益は四兆円を超えています。なのに、買換えが終わるや否や、事もあろうにテレビ危機だなどといって全国各地で一斉に工場閉鎖する。一社で一万五千人も路頭に迷わそうとしているんですよ。
 一体何のための七千億円だったのか、何のために税金使ったのか、景気対策じゃなかったのか。総理、ほっておいていいんですか。総理、総理に聞いています。

○枝野経産大臣 個別企業がまさに社会的責任を負っていると思いますので、例えばその地元の自治体の企業誘致の際の様々なインセンティブとの関係でどのような社会的責任を負っているのかというのは、これは個別に問題として取り上げていただければ、それについてはいろいろと評価の判断のしようがあろうかというふうに思っております。
 ただ、全体としての電機産業とか全体としての産業ということで問われた場合には、それはやはり、例えば、工場があってもそこで作ったものが売れないという状況でその企業全体が倒産をしてしまうということになることは、個々の企業としても経営者としては許されないでしょうし、それから日本経済全体としても許されません。
 ですから、これはミクロで、例えば、こんなに内部留保があり、こんなにキャッシュフローがあり、なおかつ今我慢をすれば将来ちゃんと売れるようになるという見通しがあるにもかかわらず、非常に労働者を簡単に採用したり切ったりということをやっているのはけしからぬと、こういう話なら、私自身も野党時代はそういうことを追及していましたので、そういったお話についてはしっかりと問題として取り上げたいと思いますが、一般論としてということであれば今のような問題だと思います。

○山下よしき 四兆円も内部留保があるパナソニックが潰れるはずないんですよ。こうした、私、じゃ、個別の問題とおっしゃいましたので、こうした工場閉鎖や事業縮小が一体どんなやり方でやられようとしているか。
 鹿児島の日置工場では、六百人の労働者に対して、県外の工場へ行くか早期退職かを年明け一月までに選べと迫っております。県外といっても近くじゃないですよ、富山県ですよ。簡単に行けるはずがない。地元日置の中学校では、五十人以上の生徒がパナソニックで働く労働者の子供たちですよ。高校進学を控えてどんなに不安か。鳥取三洋工場でも、四百五十人の労働者が県外への配置転換を迫られております。驚いたのは、夫婦とも同じ工場で働いている労働者に対し、夫は長野県松本市、妻は神奈川県横浜市など別々の配置先を指定しているんです。しかも、妊娠中や産休中の女性まで夫と別々の配転先を指定しております。
 これ、一番大事な時期に夫婦をばらばらにする。ILO条約では、経済活動の全ての分野で労働者の家族的責任を尊重することを定めております。日本はそれを批准しております。ILOの勧告では、労働者を一つの地方から他の地方へ移動する場合、家族的責任、配偶者の就業場所どうなっているか、子供の教育どうなっているかを考慮すべきだとあるんですね。これ、全部踏みにじっているやり方じゃないですか。こんなこと許されるのかと。
 厚生労働大臣、私は、こんな企業行動を黙って見過ごしたら、日本の労働法制に家族的責任を盛り込んだのは何のためだったのかとなると思います。調査すべきじゃないですか、やめさせるべきじゃないですか。

○小宮山洋子厚生労働大臣 おっしゃるように、その勤務地の変更を伴って配置を変更するときには、やはりこれは育児・介護休業法で労働者の状況に配慮するということが事業主に義務付けられています。
 それからまた、男女雇用機会均等法で、妊娠、出産を理由とする女性の労働者に対する不利益な取扱い、これについても決められておりますので、こういう個別のケースがあった場合には事業主から報告徴収をして助言や指導をこれまでも行っておりますし、個別のことについては、また御指摘をいただきましたら、それはしっかりと対応する雇用均等室に状況を確認させたいと思います。パナソニックの中でも、実際にもう今対応しているものもございます。

○山下よしき これね、直ちにやってもらいたいんですよ、今進んでいることですからね。
 鳥取のある女性労働者は、希望退職にしました、でも希望したわけではありません、大切な人と別れて一人で配転先に行くことができないからですと、こう言っておられます。
今、東日本大震災を経験して、国民みんなが人と人とのきずな、家族のきずなを大切にしたいと考えているときに、大企業がそのきずなをずたずたに切り裂くようなことを絶対に許してはならない、そのことを申し上げて、質問を終わります。




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