あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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【議事録】ソニーの被災地解雇許すな!--参院予算委質問

2011年07月22日

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 震災からの復興では、被災者が住んでいた地域で生活を立て直せるようにする、これが基本だと思いますが、総理、いかがですか。

○菅直人総理大臣 そのことが、やはり被災者の皆さんにとっても最大の希望であり、最も望ましい。それに向かって頑張らなければと思っております。

○山下よしき 先日、宮城県気仙沼市で水産加工業を営む地元企業の社長さんにお会いしました。9つある工場のうち8つが津波で全壊したそうですが、800人の従業員は1人も解雇せず、雇用を維持しながら工場の再建を目指しておられました。どうしてそういう道を選んだのか。社長は、解雇すると地域での細い糸が切れて外へ出ていってしまう、それでは町の復興はできないと考えましたとおっしゃっていました。

 雇用を守ることは地域のきずなを守ること。総理、ここには復興の基本が示されていると思いませんか。

○菅首相 大変重要な観点だと思います。いろんな制度もありますけれども、是非そうした制度の活用も含めて雇用という一つの一番重要な人間関係の一つがしっかり維持されながら復興へと向かうことを政府としても全力を挙げて支援してまいりたいと思います。

○山下よしき その社長が解雇はしないと伝える場面がテレビでも紹介されました。従業員の間に、よし、復興に向けて頑張ろうという意欲が広がっていく様子が印象的でした。

 このきずなは一方通行じゃないんですね。この会社では、震災前に採用し内定していた、そして自宅待機中だった若者たちが自主的に被災した工場に集まって腐った魚の片付けを始めた。その姿に今度は社長が元気をもらった。そして、復興には若い力が必要だと、2か月遅れになりましたが、30人の全員の入社式が行われました。

 人と人との生きた結び付きが復興の大きなエネルギーになっている。総理、これも大事な点ではないでしょうか。

○菅首相 大変いい話の紹介をいただきました。そうしたまだ入社前の人たちも被災された会社に出かけていって、ボランティアでその復旧に当たっていくと。また、そのことが経営されている方にとっても力となって、そしてそれがその企業、会社含めて再生のエネルギーになっていく。そのために、やはり政府として、あるいは国としていろいろな制度でそれを支えていくと、そのことが重要だということを改めて痛感いたしました。

○山下よしき 私は、その頑張りに被災地の経営者の魂を見た思いがいたしました。

 ところで、政府の復興構想会議には経済界の代表が委員として入っていますが、どなたですか。

○平野達男復興担当大臣兼防災担当大臣 産業や経済に知見の深い委員として中鉢委員が就任されております。

 なお、復興構想会議の委員は、被災地である東北にゆかりの深い方を軸に、災害復旧復興への思いをお持ちで新しい日本を見据えられるという点を重視して人選されたというふうに聞いております。

○山下よしき 中鉢さんの会社名と役職はどうなっていますか。

○平野復興防災担当相 ソニー株式会社代表執行役副会長でございます。

○山下よしき ソニーは半世紀以上も前から東北宮城に根を下ろしている企業です。その企業が被災地で何をしているか。宮城県多賀城市にあるソニー仙台テクノロジーセンターはブルーレイディスクなどを生産する主力工場ですが、津波で構内の一階部分が被害を受けました。すぐに正社員とともに期間社員が駆け付け、復旧作業が始まりました。期間社員のほとんどは20代、30代の若者たちで、交通機関がストップしたために、自分で自転車を買って、長靴も買って、そして自宅や避難所から長時間掛けて職場に通って泥のかき出しなどに精を出したと聞きました。

 ところが、復旧の見通しが立ち始めたやさき、ソニーは被災を理由にこのセンターの事業縮小計画を発表いたしました。労働者二千人のうち、正社員280人を県外へ広域配転する、期間社員は150人全員を雇い止めにするという計画であります。雇い止めを通告された期間社員は、目の前が真っ暗になった、裏切られた、小さい子供がいるのに生活できないと言っています。

 総理、復興に逆行するやり方だと思いませんか。

○菅首相 震災を契機として被災地を中心に雇用に大きな影響が生じているわけですけれども、可能な限り雇用の維持を図りながら被災者の生活再建を図っていくということは、先ほどの、前の話も含めて大変重要だと思っております。

 解雇、雇い止めについては、震災を理由とすれば無条件に認められるというものではなくて、特に大企業の経営者の皆さんには、企業グループを含めて雇用の維持確保に努めていただきたいと考えております。このため、日本経団連など主要経済団体に対しては、震災に伴う雇用の維持確保に配慮していただくよう厚生労働大臣から強く要請をいたしているところであります。今後とも、被災地の雇用の安定に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 今御指摘のありました事案については、個別企業の経営の問題でもありますので、私から個別的なことについてコメントすることは差し控えたいと思いますが、経済界にはできるだけ雇用を守るように要請をしているということは重ねて申し上げておきたいと思います。

○山下よしき 要請したと言いますけれども、今目の前で雇用が切られようとしているんですね。ソニーの津波の被害は保険で補填されます。地元の中小企業が逃げずに雇用を守っているのに大企業がさっさと逃げ出すなんて許されるのか。

 総理にも責任ありますよ。ソニーの中鉢副会長は、あなたが選んだ復興構想会議の委員です。単なる個別企業じゃないです。ほっといていいんですか。

○菅首相 今回、この復興構想会議に関しては、かなりの方はそうした東北に関連の深い方を選んで、そういう立場も含めていろいろな案を自由に意見を出していただいたところであります。

 そういった意味で、私は、そうした議論をしていただくに当たっていろいろな経済界からも委員をお願いしたわけでありまして、そのことは決して間違ってはいなかったと、このように思います。

○山下よしき 自分も被災しているのに若い期間社員の皆さんが職場に駆け付け復旧作業に当たったのはなぜか。ソニーで働いていることにみんな誇りを感じているからです。液晶テレビのフィルムを作っていた若者は、5年前、生産ラインを立ち上げたときから働いています、後から入ってきた正社員には自分たちが仕事を教えました、作業効率を良くする改善提案をし、何度も採用されました、世界的メーカーの品質を自分たちが担っているという自負があったと語ってくれました。

 私は思いました。彼らは、請負、派遣、期間社員と、雇用の姿こそずっと非正規でしたけれども、仕事の中身と志はプロフェッショナルだと。だから、自分たちの工場を守りたいと駆け付けたんです。そんな彼らを震災の真っただ中で切り捨てて復興なんてできるはずない。総理、やめさせるべきじゃありませんか。

○菅首相 復興構想会議のメンバーには、先ほども申し上げましたが、できるだけいろいろな分野から、そして同時に、東北地方あるいは被災地に関連の深い方をかなりのウエートでお願いをいたしました。そういった意味でそうした経済界からもお願いをしたわけでありまして、そのことは私は必要であったと、こう思っております。

 今、個別の企業のことをいろいろと御指摘をいただきましたけれども、私としては、こういう審議会にお願いをするに当たって、幅広い観点からあるいは個人的な意見も含めてお聞きをしておりますので、何かそうした条件以外の条件は付けないで自由な発言をお願いをいたしているつもりであります。

○山下よしき そのままにしておくんですか。ほっておくんですか。聞きもしないんですか。

○菅首相 先ほども申し上げましたように、経済界の皆さんにはそうした要請を強くお願いを申し上げております。何かこの、委員にお願いをするということから、それをそういう形をしたときには、あらかじめ委員になるときにそういうこともあり得るということを言わなければならなくなりますから、幅広い選任はできないと思っております。

 ですから、経済界を通していろいろとお願いをしておりますので、その経済界を通してのお願いの中で私としても事態を把握をしてみたいと思います。

○山下よしき お願いした後にこういうことをやっているんですよ。調べもしない、聞きもしないんですか。ほっておくんですか。

○菅首相 私の観点でも事情については関係者にお聞きをしてみたいと思います。

○山下よしき ソニーの期間社員の年収は270万円ですよ。150人合わせても4億円ですよ。片やソニーのハワード・ストリンガー会長は一人で8億6300万円の報酬を得ていますよ。その半分で雇用を守ることができる。さらに、ソニーには3兆円を超える内部留保があります。こういうときこそ使うべきじゃありませんか。

 私は言いたい。地元の中小企業が歯を食いしばって雇用を守っているときに、体力のある大企業が頑張ろう東北と雇用を守らなくてどうするんだ。若者たちに希望を与えないでどうするんだ。政府として、大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせること、雇用を守る中小企業を本気で支援することを強く求めて、質問を終わります。





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