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特養待機解消 国責任で増設図れ これが「寝た専賃」の実態だ!---参院予算委質問

2011年03月07日

○山下よしき 日本共産党の山下よしきです。高齢者の介護について質問をいたします。2000年4月に介護保険制度がスタートして10年が過ぎました。この10年間で特別養護老人ホームはどのくらい増えたか、全国の特養ホームの定員と待機者の推移を報告してください。

○細川律夫厚労相 山下委員にお答えいたします。特別養護老人ホームの定員数につきましては、平成12年度で約30万人、平成21年度では約42.1万人となっております。

 また、入所の申込みにつきましては、平成12年度の数字の把握はしておりませんけれども、平成18年度で約38.5万人、平成21年度は全体で約42.1万人となっております。この42.1万人のうち、在宅ではない方が約22.3万人、要介護一から三までの方が24.3万人であり、他方、入所が急がれる在宅で要介護の四又は五の方が6.7万人となっております。 。

○山下 日本共産党は、10年前に全都道府県に特養ホームの待機者数を聞きました。(図1)合計10万4599人でした。ですから、待機者は10年前の10万人から42万人へと四倍に増えたことになります。入所希望者の増加に特養の整備が全く追い付いていないということです。

 3年も5年も待たないと入れない。待機者とその家族がどういう状態にあるか。厚労省、家族の介護のために仕事を辞めた人は年間何人になりますか。

○細川厚労相 お答えいたします。家族の介護、看護のために離転職いたしました雇用者は、平成18年10月から平成19年の9月までの1年間で約13万人であり、仕事と介護の両立については少子高齢化が進む中でますます重要な問題となっております。数はそのとおりでございます。

○山下 十数万人が毎年辞めています。親が倒れると約2割の人が仕事を辞めるんですね。高齢者介護というのはまさに現役世代の問題だと思います。

 NHKの「ミドルエイジクライシス」という特集で、先日、都内に住む44歳の男性が紹介されておりました。75歳の父親と2人暮らし、2年前に母親が突然亡くなり、認知症が進んだ父親を1人で介護する生活になりました。仕事との両立は次第に困難になり、辞めざるを得なかった。

 2人の生活費は父親の月10万円の年金のみとなりました。男性は、父の食事の世話、洗濯その他の家事をどうやって1日こなしていくか、それしか頭にないです、正直、結婚もしたいです、こう言っていました。深刻だなと思いました。たとえ介護から解放されたとしても、この男性のその後の人生はどうなるのか。

 総理は、厚生大臣時代、介護を社会化する、こう言って介護保険の導入を推進されました。しかし、現実はどうか。親の介護のために四十代のミドルエージが仕事も結婚も諦めざるを得ない事態が広がっております。こんなことで日本社会はどうなると、総理、思われますか。

○菅直人首相 介護保険制度が導入される段階の議論の多くは、家庭で、例えば嫁とかあるいは娘とか、女性が多かったですが、それが面倒を見るべきだという議論と、社会的にやはり面倒を見ようという議論があって、社会的に見ようということで介護保険制度が導入され、私は、その大きな流れは間違っていなかったと思います。

 しかし、今日、今度は高齢化が更に進んで、場合によっては高齢者の独り暮らし、あるいは今御指摘のように家族も少ない中で、やはりきちっと社会全体がこういうケースについても対応できるような、そういう方向で更なる努力をしなければならないと、こう考えております。

山下 健康悪化でも放置。「寝た切り専用住宅」の把握を 厚労相 調査させていただきたい

○山下 42万人の特養ホームの待機者がどういう状態にあるのか。もう一つ、私、紹介したいと思います。昨年5月の東京新聞、中日新聞に衝撃的な記事が載りました。

 口から食事を取れず、鼻やおなかに管を通す経管栄養の要介護者だけを対象に入居者を募るアパート、自称寝たきり専用賃貸住宅、略して寝た専賃と言うようですが、これが急増しているという記事です。「愛知、岐阜両県の計12カ所にあり、高齢者ら約200人が入っているとみられる。」とありました。

 総理は、こうした寝たきり専用賃貸住宅なるものがあることを御存じでしたか。

○菅首相 今回、質問をいただくまでは知りませんでした。

○山下 先日、私、寝たきり専用賃貸住宅、二か所見てまいりました。御覧のように、案内板には「寝たきり状態で常時介護が必要な方」とか「寝たきり老人専用住宅」というふうに書かれてありました。

 玄関の中までは入ることができました。コの字型の廊下の両側に恐らく四畳半ぐらいの広さと思われる居室がずらっと並んでおりました。全部で十七室です。私が訪ねたときには、そこには職員の方は1人しかおりませんでした。夕食どきだったのに、食事を準備する人の気配も食事のにおいも全くしませんでした。なぜなら、口から食事を取れない、経管栄養の人ばっかり入居させているからであります。だから、食事の介助の必要もない、人も要らないんですね。

 ここでは、指定された事業所から看護師さんがやってきて、1日3回、順番にチューブで栄養剤を注入するだけなんですね。そういう高齢者ばっかりだけをわざと集めているわけです。総理、こういうやり方、いかがお思いですか。

○菅首相 この経管栄養になっている人たちの在り方について、これもいろいろな議論がありますけれども、今御指摘のように、そういう人たちだけを集めて看護ないしは介護をするというのは、そのサービスがきちんとしたものであればそれは一つの在り方かと思いますけれども、そのサービスの内容によるのではないかと、こう思います。

「承諾書」が示すビジネスの実態

○山下 サービスの内容によるということですが、私は、この寝たきり専用賃貸住宅に入居する際、入居者の家族が提出する承諾書なるものを見て驚きました。これです。抜粋ですけれども。(図2)

 民間の賃貸住宅といいながら、おむつの持込みは禁止なんです。それから、医療、看護、介護のサービスもおむつも全て指定された提携業者と契約しなければならない。

 調べてみますと、賃貸住宅の設置者と看護、介護の事業者は全く同一の住所にありました。行ってみますと、郵便受けも共用でした。それぞれの会社名が紙に書かれて、ぺたりぺたりと並んで張り付けてありました。

 さらに、ケアマネジャーも指定された中から選ばなければならない。要するに、賃貸住宅の設置者と、それから看護、介護の事業者、それからケアマネジャーは一体だということであります。

 そうやって賃貸住宅に寝たきりの高齢者の方ばっかりを集めて、そこに身内の事業者から看護や介護のサービスを提供して利益を上げる仕組みであり、ビジネスだということであります。

 更に承諾書を見ますと、このビジネスの本質が浮き彫りとなります。(資料提示)ここに、要介護認定五に変更があった場合、個人の負担が増えますとありますね。要するに、寝たきりでなくなったら、かえって手間が掛かるので料金を上げるということです。それから、病院へ入院した場合、アパートの契約は解除されます。アパートを追い出すということであります。

 なぜか。介護保険から金が入ってこなくなるからですね。訪問看護1回20分で2850円の介護報酬になります。これ1日3回やりますと、月二十数万円になるわけですね。これ家賃ではなくて、こっちの方でもうけを上げているということであります。

 そして、1番最後、健康状態が悪化しても、病院に搬送しても改善は困難と、これ一方的に判断されるという、そういうひどい同意書であります。

 これら一つ一つ家族が承諾をして、署名捺印させられて入居をする。

 私は、これ全体を見て、これが介護、これが医療と言えるのか、お年寄りの人生の最後を食い物にするやり方ではないかと私は思いましたけれども、総理、いかがですか。

○細川厚労相 老人福祉法におきます有料老人ホームの定義というものがございまして、その定義の中には、入浴、排せつ若しくは食事の介護、そして、2番目として食事の提供、3番目として洗濯、掃除等の家事、そして健康管理の ……

○前田武志予算委員長 テレビの時間の制限がありますので、簡潔にお願いします。

○細川厚労相 はい、済みません。いずれかを自ら又は委託して提供する事業を行う施設と、こういうふうになっております。したがって、今のこのパンフレットなどでこれが有料の老人ホームに該当するかどうかについては、これは個々の施設のあれをいろいろと調査もしなければ分からないわけでありますけれども、その運営実態の把握については都道府県に有料老人ホームの該当の有無を判断をしていただくということになっておりまして、いずれにしても、私は先ほどのあれを聞きますと、そういうことで健康保険の、保険法の適用によっていろいろな不正の請求があるとかいうようなことになりますれば、これはしっかり対処をしていかなければいけないというふうに思っております。

○山下 総理、いかがですか。こういうやり方が人間の尊厳を保障するやり方と思われますか。いかがですか。

○菅首相 確かに、そういう形で本当に御本人のためになるのかということは考えなければならない、こう思います。

○山下 これが今広がりつつあるということを私、危惧しております。これ是非実態をしっかり把握をする必要があると思いますが、総理、政府として実態把握すべきじゃありませんか。

○細川厚労相 今の委員御指摘がありました点については、これは私どもの方でどういう具合になっているか調査もさせていただきたいと思います

療養型病床を減らした弊害

○山下 調査するということであります。
 どうしてこういうビジネスが広がるのか。寝たきり専用賃貸住宅を経営している会社のホームページを見ました。こうあります。数に限りのある老人介護施設や有料老人ホームに入所できず療養型病床も減っている中でますます在宅介護の必要が高まります、その上、団塊世代の高齢化の波も押し寄せてきます、しかし在宅の環境での介護は家族にとっても要介護者本人にとっても負担が大きく非常に困難です、そこで私たちは寝たきり老人専用住宅の開発に成功しました、こういう表現ですね。まさに、特養ホームを増やさず療養型病床を減らしてきたこれまでの政府の政策のおかげでこのビジネスが成り立っているというようなものですね。
 私、政治の責任は重大だと思います。総理、そう思いませんか。

○菅首相 やはり、御指摘はそれぞれもうごもっともなわけでありまして、そういうことに対してよりしっかりしたサービスを提供できる体制をどのようにしたらつくれるのか、あるいは経管での栄養補給という形がどういう形で考えるべきなのか、多くの問題を含んでいると思っております。

○山下 御家族の思いも大変複雑だと思います。ほかにどうしようもなくてこうした寝たきり専用賃貸住宅のようなところを選択せざるを得ない方もあると思います。
 解決の道は一つだと思います。ちゃんとした受皿をしっかりつくるということだと思います。厚労省、特養ホーム整備の国から都道府県への1人当たり補助単価はどうなってきましたか。

○細川厚労相 これは現在でしょうか。それとも過去からのずっと。

○山下 過去からです。

○細川厚労相 

 過去からの経過ですか。はい。それで、特別養護老人ホームにつきましては、平成11年度から13年度におきましては、4人部屋の特養老人ホームに対して2分の1の国庫負担割合として一床当たりに換算しまして360万円となっていたところでございます。そして、平成14年から個室ユニット型の特養ホームを中心に補助を行っておりまして、入居者の方に利用料として御負担をいただく居室等を除いた部分の2分の1に対する補助となったところでございます。このため、平成14年度からは一床当たり240万円、平成15年からは235万円、平成16年から17年度までは225万円となっていたところでございます。

 最近でありますけれども、介護基盤の緊急整備に伴いまして、平成21年度から平成23年度までの3年間、16万人の整備をするということを目標といたしておりまして、各自治体の取組に対して、一つ、各都道府県に設置をいたしました基金より一床当たり350万円とする補助単価引上げ、そして地方財政措置によって支援を行っているところでございます。さらに、平成22年度補正予算に介護基盤の16万人分の整備促進、達成等のため約302億円を計上いたしまして、一床当たり350万円から400万円とする補助単価の引上げを図ったところでございます。

国は補助金を減らし続けた

○山下 今たくさんおっしゃられましたけれども、国の補助金は平成11年からずっと減らされてきたんですね。その結果、都道府県の補助金がどうなったかと。これ、パネル(図3)のように、東京都も大阪府も都道府県の補助金は半分に減っちゃいました。特養ホームの建設に国からブレーキを掛けてきたということになっているわけです。総理、もうブレーキやめてアクセルを踏み込むべきじゃないですか、総理。

○菅首相 一般的に特養あるいはこうした施設の不足はおっしゃるとおりでありまして、それを在宅、あるいは更に言えば24時間介護といったいろいろな今仕組みをそれぞれの関係者が努力をされております。そういう意味で、いずれにしても、しっかりしたこういう方々に対するサービスが提供できる在り方を目指していかなければならない。それが、この老人ホームの施設整備ということもありますが、あるいは在宅という問題も含めて、トータルとしてそういう体制が必要だということを感じております。

山下 保育所では成果。特養でも未利用国有地など活用を 首相 検討項目に入れて考える

○山下 もう1回さっきのパネルを出しますけれども、これ先ほど厚労大臣が最近ちょっと増やしましたということを言いましたけれども、都道府県は、これ東京も大阪府も2010年度見ていただいたら、やっぱり県の補助金、半分に減っているんですね。ずっと国が補助金減らしてきたことがこういうことになっているわけです。それから、三か年計画ということをおっしゃいましたけれども、この三か年計画は自公政権のときに作った計画なんですよ。16万人つくる、そのうち八万床、8万人分が特養だとしても42万人の待機者を解消することには全然足りません。

 民主党はマニフェストでどう言っていたか。40万人の待機者を解消する、三倍のスピードで特養ホームを増やすと、こう言っていたんです。例えば、定員100人の特養ホームを年間八百か所、8万人分造れば5年間で40万人の待機者を解消できます。必要な国の予算は約4000億円でできるんですね。法人減税、証券優遇税制、これ2兆円になると言われていますけれども、その僅か5分の1で5年間で待機者を解消できる特養の整備ができるんですね。これちょうど三倍のスピードであります。これこそ私は生きた税金の使い方だと、そう思っております。

 それからもう一つ、特養の整備について、都市部では土地の確保が大変大事な鍵となります。我が党は未利用の国有地を積極的に活用すべきだと提案してきましたけれども、保育所では既に成果が出ております。これ特養でもやるべきじゃないですか。

○野田佳彦財務相 未利用国有地を単に売却ではなくて定期借地権を使って貸付けを行うという方針は、昨年6月に新成長戦略の中でまとめさせていただきました。

 御指摘のとおり、保育分野では東京の世田谷含めて五つの事例が既に決定をしています。この対象は、委員御指摘の特別養護老人ホームを含む介護分野も入ってございまして、実際、今、複数の御要望が出てきているところでございますので、地方公共団体としっかりと調整をしていきたいというふうに思います。

○山下 自治体からは貸付料の減額をという要望が出ております。そもそも特養を運営する社会福祉法人が年間数1000万円もの貸付料を払えるはずがありません。ですから、結局自治体が負担をして貸付料を安くするしかないんですね。それ全部自治体に負担させて、国は時価でしか貸しませんということでいいのか。例えば、国の制度として特養の用地費への補助をつくればそれに代わる措置として国有地の貸付料を減額することも可能になります。

 総理、ここは政治が知恵を出すところだと私は思いますが、総理、いかがでしょうか。

○野田財務相 財政法においては、国有財産は適正な対価、すなわち時価による譲渡又は貸付けが原則とされており、社会福祉目的で国有財産を活用する場合であってもこれ全面積時価としているところでございます。定期借地権を利用した未利用国有地の貸付けは売却に比べて初期コストを低減させるという点で事業主体にとってのメリットがありますので、貸付けに当たっても時価としているものでございます。賃貸料を下げることについては、未利用国有地がその性質上全国均等に存在するものではなく地域的に偏って存在することから、地域間で不公平が生じることにも留意が必要だというふうに思います。

○山下 財務省の答弁はこうなっちゃうんですよ。だから政治が知恵を出すべきじゃないかと言っているんですね。

 用地費への補助を全国でつくればその代替として下げることができるようになる。せっかく定期借地権でやろうというんですから、そういうことを知恵を出すべきじゃないですか。総理、検討すべきじゃないですか。

○菅首相 今から東京を始め大都市圏は極めて高齢化が急速に進むという認識を持っております。それを、例えば東京でいえば東京都内だけで対応するのか、あるいは場合によっては他の地域にも協力を求めていくのか、いろいろな知恵の出し方があると思います。

 その中での公有地の利用ということも一つの、いろいろな条件は今財務大臣からもありましたが、ルールはありますけれども、いろいろ知恵を出すという意味では検討をすべき項目の中に入れて考えてみるべきだと思っております。

○山下 誰もが安心して老後を過ごせる社会にしてほしい、これが世代を超えた国民多数の願いだと思います。それに本気でこたえる政治をつくるために日本共産党は力を尽くすことを表明して、質問を終わります。

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