あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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ダイキン有期雇用の使い捨て許さない--参院予算委質問【会議録】

2010年10月15日

2010年10月15日参議院予算委員会

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 雇用問題について質問をいたします。厚生労働省のまとめでは、今年に入って42,000人非正規労働者が雇い止めをされております。その内訳はどうなっていますか。

○細川律夫厚生労働大臣 お答えいたします。
 今年、平成22年1月から9月までに全国の労働局及びハローワークから報告を受けております非正規労働者の雇い止めの就業形態別の内訳は、派遣労働者が6,264人、期間工などの契約社員が13,593人、請負労働者が2,470人、その他としてパート、アルバイトや就業形態不明の方が19,757人となっております。

○山下よしき 期間工の雇い止めが比率が高まっているということであります。期間工切りの実態がいかにひどいか。
 大阪市に本社のある世界第二位の空調機メーカー、ダイキン工業堺製作所で八月末、200人の有期間社員、期間のある社員が雇い止めされました。しかし、ダイキン工業ではエアコンなどの売上高がこの4年連続1兆円を超えるなど生産は拡大しております。だから、ダイキンは二百人の有期間社員を雇い止めする一方で、新たに200人余りの有期間社員を雇い入れました。だったら初めから200人雇い止めしなければいいじゃないかと、全く合理性のないやり方です。
 総理、仕事はずうっとあるのに労働者は短期の雇用契約で入れ替える、こんなやり方はおかしいと思いませんか。

○菅直人総理大臣 今説明されたこと、それ自体のことについては理解できますが、個別的な事案について、私が今言われたことについての、何といいましょうか、そういうことであったのか、それとも、山下議員が言われているということだけで何か判断をするのはちょっとできかねるというのが率直なところであります。

○山下よしき 世の中のことはすべて個別で起こっているんですよ。だから、個別に目を向けなけりゃならないと私は思っています。個別企業のことは言えないというんだったら、ダイキンのようなやり方、方式がおかしくないか、それを聞かせていただきたいと思っているんですね。
 8月末で雇い止めされた36歳の方から手紙をいただきました。ミスのないよう、ダイキンに迷惑を掛けないよう努力してきました。しかし、失業する現実を迎えた瞬間、すごく落ち込みました。仕事が継続しているにもかかわらず、多くの方々がなぜ離職に追いやられ、路頭に迷わなければいけないのか、そして、これから私たちから仕事の引継ぎを受ける若者たちもまた犠牲者だと強く感じました。世の中の仕事がすべて期間の定められた仕事しかなくなってしまうのではとの不安があります。
 胸が痛みました。仕事は継続しているのに、労働者を最長2年6か月などの細切れ雇用で入れ替える。しかし、労働者の人生は2年6か月では終わりません。30年、40年、定年後も考えたら50年、60年あるんです。これでは労働者としての人生設計ができない。
 総理、そういうやり方が日本で許されていいのか。個別企業じゃないです、こういう方式は良くないと思いませんか。

○菅総理大臣 最初に言われたように、期間工の方を何百人か辞めさせて雇い止めをして、同じ人数を同じような仕事に雇うという、それが実際にあるとすれば、それはよほどの理由がない限りは、一般的に言えば大変不合理であるだけでなくて、働いている皆さんにとって大変負担を掛けるというか不合理な扱いだと、そういうことを、言われた限定の中でいえばそのとおりだと思います。

○山下よしき 私が言ったのは事実なんです。しかも、よほどの理由というふうに首相おっしゃいましたけれども、ダイキン工業はもうかっているんですね。ダイキン工業の利益剰余金は、この五年間で千六百二億円積み増しをされております。増加分の0.5%を取り崩すだけで年収400万円の正社員を200人雇えるんですね。そういう企業が、仕事は続いているのに労働者は細切れ雇用する、これは不合理だと、総理もそうおっしゃったと思います。
 私はやっぱり、一人ひとり生きた人間ですから、切ったら血の出る人間を、また家族もあり生活もある人間をまるで物のように扱って雇用の調整弁にする、そんな企業や社会ではいけないと、そう思いますけれども、総理、いかがですか。

○菅総理大臣 いや、まさに小泉・竹中路線と言われたある時期に、労働の自由化ということの中でそういう非正規雇用が大変爆発的に増え、正規雇用が減ってきたと、そういう中にいろいろな弊害が出てきたということを認識して、この間、この政権交代以降、幾つかのことを手当てをしているわけであります。皆さんから見ては不十分かもしれませんが、いわゆる労働者派遣法の改正案も、そういう行き過ぎた規制緩和がもたらした問題に対する是正として提案をさせていただいております。
 そういう意味で、今言われた認識については共通するところもあると、こう思っております。

○山下よしき というならば、確認しますけれども、有期の契約、有期雇用というのは、合理的な理由、一時的、臨時的な業務などの理由がない限りは、人間をそんなふうに細切れでやるというのは、これはやっぱり良くないということでいいですね。

○菅総理大臣 労働法制については、いろいろな国がいろいろな法制を取っております。私もテレビ程度でしか知りませんが、デンマークなどでは、逆にいつでもレイオフ的なことができる代わりに、しっかりしたその間での再教育とかあるいはしっかりした失業手当とか、そういうものを、企業の大きな負担の中でそういう制度を構築している、そういう国もあります。
 ですから、個々に言われれば、先ほど山下議員が言われたことは私も望ましい姿とは思いませんけれども、そういうものが全体の中でどう位置付けられているのか。言わば、ほかの手当てもないまま、そういう一部言われた規制緩和という形で期間工がどんどん増えて正社員がどんどん減ってフォローが何もないという、そういう形は好ましい状況ではない、このように考えております。

○山下よしき 総理も望ましい姿ではないとおっしゃいました。
 じゃ、なぜダイキンがこんなひどい働かせ方をするようになったのか、その背景には政府の責任もあるんですね。(資料提示)《資料拡大表示

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 大阪労働局は2007年12月、ダイキンの偽装請負、実態は派遣であるにもかかわらず請負を偽装した違法行為を摘発をし、是正指導を行いました。そこまでは良かったと思います。それを受けてダイキンは、2008年3月1日、偽装請負で働かせていた労働者をダイキンの直接雇用にしました。しかし、直接雇用といっても、正社員ではなくて最長2年6か月という期限付の有期間社員にしたわけであります。そして、今年の8月末、その期限が来て、200人もの労働者が雇い止めされることになってしまったんですね。
 総理、せっかく指導に入っても、こんなふうにしかならない是正指導には問題があると思いませんか。総理。

○細川厚労大臣 このダイキン工業の件については、個別の事件でございますから、それに対しての答弁は控えさせていただきたいと思いますが、一般論といたしまして、偽装請負の是正に当たっては、その違法状態を是正させるだけではなくて、その是正に伴って労働者が解雇されることのないようにすることが重要だということになっております。そこで、その是正指導の際に、違法派遣の対象となっていた労働者が雇用の安定を図るための措置も講じるように今指導をいたしております。
 そこで、2年6か月という期間でそこで雇い止めされたということについては、それが正当なものかどうかであるということについては、それを雇い止めすることが解雇権の濫用法理を類推されることによってこれは雇い止めそのものが無効であると、こういうような判例の例もあるわけでございまして、そこは個々具体的に判断をせざるを得ないんではないかというふうに思っております。

○山下よしき これ、具体的事実なんですけれども、是正指導の結果こうなったわけですね。
 私、八月末で雇い止めされた当事者の皆さんから話を聞きました。このAさんは有期間社員になる前に十八年間もダイキンで働いてきた方です。溶接機械の操作、機械加工用ドリルの交換、フォークリフトの運転など、生産現場になくてはならない仕事を担ってきた方です。それから、Bさんも16年、Cさんも7年、Dさんも6年、ダイキンで働いてきたんですね。それが偽装請負だった、違法状態であったということは、Aさんたち労働者には何の責任もないことですね。責任を負わなければならないのは、こういう働かせ方をしていたダイキン、派遣先の問題ですよ。だったら、是正するというんだったら、これは期間の定めのない、もうだって十八年働いている人たちですから、期間の定めのない正社員にすべきだったんです。それなのに、結果として雇い止めになって失業させることになってしまった。労働者の雇用の安定どころか、逆行する結果となった。
 総理、総理、こういう是正指導には問題があると思いませんか。問題ないと思いますか。総理、総理です。いや、もうさっき聞きましたから、大臣は。

○菅総理大臣 先ほども申し上げましたが、このグラフといいますか、こういう形が決して望ましいものでもありませんし、本来、今説明のあったことだけでいえば、こういう形がいい形だとは思いません。
 ただ、決してこれは逃げるわけじゃないんですが、お分かりのように、雇用というのは全体の中でどのような形がいいのか。例えば労働者派遣についても、逆にそれがなくなると余計仕事がなくなるという主張をされる方もあります。ですから、そういうこともすべて併せて考えていく中で、じゃどういう形があるのか。じゃ全部の人を、何といいましょうか、終身雇用を義務付けるなんというのは今の時代に不可能でしょうから、そうするとどういう形があり得るのか。もし、逆に言えば、提案があれば、期限がないということは分かりますけれども、期限がないということだけで済むのか。そういう全体のことも考えて今我々も派遣法改正案を出していると、このことも申し添えておきたいと思います。

○山下よしき 全体の中で考えるのは大事だと思いますよ。しかし私が問うているのは、利益剰余金、内部留保が5年間で1,600億円積み増した、もうかっている企業でこんなことをやっていいのかということを問うているわけですね。
 そして、こういう結果を招いたのはダイキンだけじゃないんです。パナソニック、キヤノン、いすゞ、日産、労働者が偽装請負や違法行為を告発あるいは申告し、労働局が是正指導に入った結果、直接雇用にはなったものの、最長2年11か月とか2年6か月の短期で雇い止めされるケースが今全国各地で広がっているんです。
 総理は、2年前のリーマン・ショックの後、派遣切りのあらしが吹き荒れたときに日比谷公園でつくられた年越し派遣村に足を運んで、集会でこう言われました。今回の問題は天災ではなくてまさに人災、大きな責任は政治にあると改めて痛感している、生きようとしている人たちを支えられないような社会、政治であっては、政治家、政党の存在意義はないと。
 皆さん、総理、今短期で雇い止めされている労働者は、その派遣切りのあらしのさなかに勇気を持って違法行為を告発した人たちなんですよ。その結果、是正指導の結果、今いっぱい職を失っているんです。総理が派遣村で、集会で呼びかけた人たちがそうなっているんですよ。こういう事態、放置していいんですか。何かせなあかんとちゃいますか。

○細川厚労大臣 リーマン・ショックの影響で派遣労働者が雇い止めあるいは派遣切りに遭って大変苦しい立場に追い込まれたということは、これはもう皆さん承知のとおりでありまして、そこを何とかしなければいけないということで、そこで労働者派遣法の改正案も作りまして国会の方に提案をさせていただいているところでございます。
 そしてまた、有期の契約の問題についても、これもいろいろと私どもも問題もあることも分かっておりますので、今、有期契約問題について、これをどのような形にしていくかということをこれから労働政策審議会のところで検討させるようにしております。したがって、有期についてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

○山下よしき 今、派遣法の改定案を提案しているとおっしゃいましたけれども、では、その政府の派遣法改定案で今紹介したこの人たちですね、是正指導を受けたけれども雇い止めされた、この人たちを救うことはできますか。

○細川厚労大臣 この労働者派遣法には、違法派遣の場合には、これを派遣先と直接契約ができるようになっております。違法派遣の場合には、派遣先とその労働者で、ここで派遣先が直接雇用する、こういうことを労働者に申込みをしなければいけないと、こういう内容になっておりまして、それに労働者が応じてオーケーならばそこで社員になると、こういう規定も入れておりまして、そこは大分労働者の保護のためにもなっていると思います。

photo○山下よしき もう一度パネルを出しましょう。
 今、答えの中に直接申込みをするということがありましたけれども、では、聞きますけれども、派遣先が直接雇用を申し込んだとみなす制度なんですけれども、その場合、期間の定めのない直接雇用を申し込むこととなりますか。正社員になれますか。これ、止まりますか。

○細川厚労大臣 どういう形の労働契約がその派遣先と派遣労働者の間で成立をするかと。この点につきましては、派遣元との契約、これと同じようにみなされて、直接雇用のみなし規定で契約が成立するようになっております。同じ条件ということであります。

○山下よしき 今、非常に重大な中身が紹介されました。派遣元と同じ労働条件だと。ということは、派遣元ということは賃金は元の低いままです。それから、派遣元との契約というのは元々半年とか一年という短期ですから、ですから、派遣先に直接雇用されたとしても半年や一年で雇い止めされる危険が大きいということですよ。ですから、この中身を知った労働者、派遣切りされた人たちは、これでは違法行為を告発できなくなると、そんな声まで出ているんですね。
 総理、政府の改定案では、この派遣村で総理が約束したようなことはできないという事態が進んでおります。これ、変えなけりゃならない。
 大臣、何かあるんですか。変わるんですか。

○細川厚労大臣 これは、そもそもが短期で派遣元と契約をしている労働者が、みなし規定でこれが期間の定めのない契約になる。これはもう雲泥も違うわけなんですよ。そういうところまでみなし規定で強制ということはなかなか法理論的にも難しい。こういうことで私どもは正規の方に、期限のない定めにはしていないところでございます。

○山下よしき 今確認しても、派遣元の労働条件と同一ですからね。元がそういうことになっていたら、雇い止めされる危険がやっぱり高いということですよ、それは親告なかなかできないという声が出ているんですから。
 私は、ここまで派遣、非正規労働者の細切れ雇用、雇い止めについてただしてきましたけれども、何で企業がこういうことをやるのかということが大事だと思います。
 次のパネルを出したいと思います。《資料拡大表示

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 これは、労働者派遣法の相次ぐ規制緩和に伴って派遣労働者がいかに増えたか、青い棒で示しています。それと同時に、大企業の内部留保がどれだけ増えたかを赤い線で示しております。派遣法が緩和されるたびに、'99年、自由化、'03年、製造業への解禁、そのたびに大企業の内部留保の増加率が上昇しているんですね。そして、244兆円にも膨れ上がったわけであります。
 私は、労働者を安上がりで使い捨てながら一握りの大企業が富を独り占めにする、ここにこそ日本経済のゆがみがあると思います。労働者派遣法を抜本改正して人間らしい雇用を保障することは、この244兆円もの巨額な資金を生きたお金として日本経済に還流させて経済危機を打開する大きな力になる、総理も言っていた富が広く循環する経済構造を築くことになると思います。
 日本共産党は、製造業派遣の全面禁止、専門業務の抜本見直しなど、派遣労働者から正社員への道を開く修正提案をしておりますけれども、その実現目指して奮闘することを表明して、質問を終わります。

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