あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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NTT「50歳退職」の無法やめよ――3月8日予算委質問【会議録】

2010年03月14日

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 NTTの五十歳退職・賃下げ再雇用制度について聞きます。
 NTT東日本、西日本会社では、五十歳になった労働者を全員一律に退職させ、賃金を三割カットして子会社で再雇用するという制度が二〇〇二年から始まって今も続いております。五十歳といえば、子供の教育費や住宅ローン、親の介護費用など様々な出費がかさむ年齢であります。その五十歳を迎えた労働者が毎年一律に退職させられ、賃金を三割カットされ子会社に行かされる。日本を代表する大企業でこんなやり方が続いている。
 総務大臣、異常だと思いませんか。

原口一博総務大臣 お答えいたします。
 五十歳といえば、委員もこのごろ五十歳になられたばっかりということで、本当に大変コストが掛かるところでございます。昨今の経済情勢にかんがみ、雇用を保障することが重要な課題であると認識をしております。
 こうした認識を前提としつつも、一般論としてですけれども、NTTの雇用に関することは、やはりこれは民間会社ですから経営の自主性を尊重し、政府が労働条件等、労使間の自主決定に介入すべきではないと認識しています。NTTからは当該仕組みの導入は労使間で十分協議を行い合意の上で実施しているものと聞いています。これが官僚の書いた紙です。
 その上で申し上げるのは、これは一般論ですけれども、世界のメガキャリアを見ていると大変ダイナミズムを持っていますね。そして、そのダイナミズムの中で世界の競争をやっているわけです。そういう意味でも、私としましては、しっかりと雇用が保障される、そういう経済情勢を好転させて政治の責任として雇用を保障することがとても重要であると、こう考えております。

山下よしき この制度は労働者が五十歳になるときに選択するということになっているんですけれども、この制度が始まった二〇〇二年、退職、再雇用となったのは何人で、NTT東西会社に残ったのは何人でしょうか。

桜井俊総務省・総合通信基盤局長 お答え申し上げます。
 制度が始まりました二〇〇二年度、平成十四年度でございますけれども、退職・再雇用型の選択をされた方は五万四千四百六十人というふうにNTTから聞いております。また、そのままNTT東西に残るという選択をされた方は千百九十名というふうに聞いているところでございます。

山下よしき 東西会社に残ったのはわずか二%であります。五十歳を超えた労働者の九八%が退職、再雇用を選択しております。しかもこれが毎年続いております。二〇〇三年以降、退職、再雇用は何人で、NTT東西会社に残ったのは何人か、年ごとに報告をお願いします。

桜井局長 平成十五年度、二〇〇三年度につきましては、前者、すなわち退職・再雇用型の選択をされた方が七千二百八十名、そのままとどまるという選択をされました方が百七十名でございます。平成十六年度、二〇〇四年度でございますけれども、前者が七千三百六十名、後者が百四十名でございます。平成十七年度、二〇〇五年度につきましては、前者が六千三十名、後者が百二十名でございます。それから、平成十八年度、二〇〇六年度でございますけれども、前者が五千八百三十名、後者が百二十名でございます。平成十九年度につきましては、前者が四千八百九十名、後者が百十名でございます。それから、平成二十年度につきましては、前者が三千百二十名、後者が八十名でございます。二十一年度につきましては、前者が二千三百六十名、後者が九十名というふうに聞いているところでございます。

山下よしき 私が配付した資料よりもたくさんの方が退職されているということであります。二〇〇三年度以降も毎年数千人単位でNTT東西会社を退職しております。残ったのはわずか二%から四%だと思います。五十歳を迎えた労働者が毎年九十数%退職する、これは事実上の五十歳定年制になっていると言わざるを得ません。
 総務大臣、異常だと思いませんか。

原口総務大臣 先ほど答弁を申し上げたとおりでございますが、一方で私は原口ビジョンの中で、二〇二〇年、高速ブロードバンド網を全世帯にということを申し上げています。いろいろお話をすると、これまで随分苦労をして、これからNTTは何とかなるんだという思いをお話しになる方もいらっしゃいます。
 いずれにせよ、個別の案件について私が労使間に入って何か言うということは、これは差し控えたいと思います。その上で、あくまで一般論ですけれども、雇用を保障する、これは経営者の高い責任の一つだと、このように考えています。

山下よしき NTTは、政府が株の三分の一を保有している企業ですよ。総務大臣はNTTの事業計画を毎年認可する、そういうことになっておりますから、これ一般の企業じゃありません。
 厚生労働省、一般論として聞きますけれども、高齢者雇用安定法では定年の年齢についてどのように規定されていますか。

熊谷毅厚労省・高齢障害者雇用対策部長 お答え申し上げます。
 高年齢者雇用安定法第八条本文におきまして、「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。」と規定しております。

山下よしき その規定は、労使合意があれば守らなくてもいい規定ですか。

熊谷部長 お答え申し上げます。
 高年齢者雇用安定法第八条の規定に違反しまして、労使合意により六十歳を下回る定年が定められたといたしましても、この定めは無効になるものと解しております。

山下よしき たとえ明文化されていなくても、事実上、この規定に触れるような行為があれば違反になりますか。

熊谷部長 お答え申し上げます。
 実態といたしまして一律に六十歳未満の一定年齢で退職を事実上強制することが行われているというふうに認められる場合には、実質的に六十歳未満定年を定めたものとして高年齢者雇用安定法第八条に違反するものと解されます。

山下よしき 私申しましたように、九十数%の労働者が五十歳になったら辞めているんですよね。事実上の五十歳定年制、高齢者雇用安定法に反するやり方だと思います。
 しかも、五十歳になった労働者をいったん退職させて再雇用させる子会社とはどんな会社か、資料に配っておりますけれども、NTT東西会社の業務をアウトソーシングしてやる会社なんです。一人一人の労働者は退職、再雇用された後も従前と全く同じ職場で全く同じ仕事をします。なのに賃金だけが下げられるんですね。だから、みんな怒っているんです。
 総務大臣、おかしいと思いませんか、これで労働者が納得すると思いますか。

原口総務大臣 お答えいたします。
 あくまでこれは一般論ですけれども、同一労働同一賃金、そして雇用は保障されなければいけないというふうに思います。
 先ほど厚労省がお話をしましたように、法令を遵守する、法令の中で違反の事実があれば適時適切にそれを対処してもらえるものだと期待をするものであります。

山下よしき 一般論ではなくて、あなたが事業計画を毎年承認する、認可する、その企業でそんなことが起こっていることについてどう思いますか。

原口総務大臣 事実をまず精査をしてみたいと考えています。

山下よしき NTTの職場では、五十歳を超える労働者から賃金三割カットで生活にゆとりがない、何とか元に戻せないものか、
働きがいとやりがいをそぐ制度です、などの怨嗟の声がある。また、四十歳代以下の労働者からも先行き不透明による不安感でどうしようもないなど、この制度の廃止を求める声が渦巻いております。
 どうして五十歳になった労働者の九十数%が退職、賃下げ、再雇用の道を選ぶのか、二つの仕組みがあるんですね。
 一つは執拗な退職勧奨です。今年一月、NTT東日本埼玉では、一人の労働者に対して課長や支店長から八回もの退職勧奨が行われました。その中で、単身赴任になったら月に一度帰れるか、帰れればいいが分からないよ、子供三人と両親の面倒を奥さんが見るのは大変でしょうとか、満了型を選べば首都圏勤務はない、東北への単身赴任です、この制度は、言葉は悪いが、報復人事なんですよなどと脅迫的なことまで言われているんです。これ明らかな違法行為ですよ。
 厚生労働大臣、NTTではこういう違法な退職強要が常態化し、組織的にやられております。やめさせるべきじゃありませんか。

長妻昭厚生労働大臣 個別の事案についてはいろいろな機関で実態把握する仕組みがありますので、そこで確定してからの話になりますけれども、ただ一般論においては、御存じのとおり、裁判例、判例においていわゆる退職強要が違法とされた例があります。基本は、労働契約法の趣旨を踏まえて、使用者側から労働契約の変更にわたる提案を行う場合は、労使双方が十分に話合いを尽くして理解をいただくということが何よりも基本でございます。
 私としても、裁判例の周知啓発に今後とも努めていくと同時に、民事的なルールについての周知啓発活動や紛争解決援助の取組を通じて、これに関与する必要があれば関与していきたいというふうに考えております。

山下よしき 違法の事実がありますから、しっかり指導していただきたいと思います。
 もう一つの仕掛けは、NTT東西会社に残ることを選んだ労働者に対する異職種遠隔地配転です。北海道から東京へ、九州、四国から大阪、名古屋へなど、労働者を、五十歳超える方々を次々と遠隔地に配転しております。それぞれ幼い子供や年老いた親、長年連れ添った配偶者など家族のある人たちです。
 今日は最高裁に来ていただいておりますけれども、大阪から名古屋に配転された十七名が配転は違法だと主張して損害賠償を求めた事件では、配転の業務上の必要性についてどのような判断が下されていますか。

林道晴最高裁判所長官代理者 議員から御指摘いただいた判決は、大阪高裁平成二十一年一月十五日判決でございますので、当該判決の該当箇所を朗読いたします。
 これら大阪支店における業務よりも、名古屋支店におけるBフレッツ販売、MIサポートの業務の方が業務上の必要性が高かったと認めるに足る証拠もない。このことに、本件配転命令三は、これを受けた一審原告らに対して長時間の新幹線通勤又は単身赴任を余儀なくさせるものであったことを併せ考えると、本件配転命令三については、そのような負担を負わせてまで従業員を配転しなければならないほどの業務上の必要性を認めることはできない。
 以上でございます。

山下よしき その十七名に共通する不利益について判決はどのように述べていますか。

林長官代理者 判決の該当箇所を朗読いたします。
 本件配転命令三を受けた一審原告らは、本件配転命令三により、新幹線通勤を選択した者は、長時間の長距離通勤による肉体的、精神的負担、経済的負担(高額の通勤費の支給による標準報酬の増加に伴う社会保険料の増加を含む)、自宅で過ごし、余暇や地域活動に充てる自由時間の減少、睡眠時間の減少を、単身赴任を選択した者は、単身赴任に伴う精神的ストレス、日常生活のための自由時間の減少、二重生活及び帰省の必要による経済的負担を、それぞれ挙げるほか、共通の不利益として、地域活動や社会的活動への支障、組合活動の支障を挙げているところ、これらの事実は上記一審原告らの陳述書、標準報酬の通知書等により、上記各一審原告につき、多少の差はあるものの、いずれもこれらを共通の不利益として認めることができる。
 以上でございます。

山下よしき 業務上の必要性はなかったと、配転にですね。そして、いろいろな不利益を共通に受けているということであります。
 非常に重要な内容ですけれども、原口大臣、このような判決が下されたことをNTTを所管する大臣としてどう受け止めておられますか。

原口総務大臣 お答えいたします。
 委員も御存じのように、総務大臣としては、個別の司法の判断について具体的なコメントは差し控えたいと思います。
 ただ、雇用関係については、NTT東西に限らず、関係法令等を遵守し、適切に運営される必要がある、そう認識しています。NTT東西においては、司法の判断を十分に踏まえ、適切に対応がなされることを期待いたします。

山下よしき そういう趣旨を踏まえるならば、このような配転が二度と行われないようにNTTを指導監督すべきではありませんか。

原口総務大臣 お答えいたします。
 一般論として、雇用に関することはNTTの経営の自主性を尊重し、政府が労働条件等労使間の自主決定に介入すべきでないと認識しています。
 ただし、今委員がおっしゃったような違法行為があれば、適切に是正がなされるべきであり、NTT東西においては、先ほど申し上げましたけれども、司法の判断を十分に踏まえ、適切に対応されることを期待するものであります。そのことについて注視していきたいと思います。

山下よしき 総務大臣ね、注視でいいのかということを私は問題提起しているんですね。この制度の下で、NTTの労働者は、五十歳が近づくにつれて眠れぬ夜を過ごすとおっしゃっています。退職、再雇用で賃金大幅ダウンか、それともNTTに残って遠隔地配転かと。行くも地獄、残るも地獄だというんですね。選びようがないんです。物すごいストレスですよ。職場もぎすぎすしたものになります。これではいい仕事ができるはずないと私は思います。
 人間のための経済を目指すというのなら、これ以上この制度を続けさせるべきではないと、少なくともこれは再検討が必要だと思いますが、所管大臣としていかがですか。

原口総務大臣 働く人を大切にしない経営というのはあり得ないんです。そういう観点から注視をしていきたいと思います。

山下よしき 見直しもしないのかということなんですが、私は、政府が三分の一の株を保有する日本最大企業NTTが、労働者を犠牲にしながら利益と内部留保を増大させる、こんなやり方をいつまでも続けていたら、NTTもそして日本経済もまともな発展はないと思います。そういう立場で指導すべきじゃないですか。

原口総務大臣 お答えいたします。
 先ほどから原理原則を言っています。働く人の権利保障なくして企業なしなんです。雇用を保障しない企業体は、それは企業体とは言わない。これはあくまで一般論です。そういう原理原則で、しっかりと注視をしていきます。

簗瀬進委員長 山下君、時間が来ております。

山下よしき これで終わります。


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