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「認可保育所の充実を」--4.27参院行政監視委《議事録》

2009年04月30日

 4月27日の参院行政監視委員会での山下芳生参院議員の質問は以下の通りです。




山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 今日は、保育所の問題について舛添大臣とやり取りをしてみたいと思います。

 私この間、今年に入って、大阪や東京で保育関係者の皆さんにいろいろ聞き取りをしてまいりました。昨日もちょうど大阪の吹田市とか東大阪市で民間、公立の保育士の皆さん、あるいは保護者の代表の皆さんに集まっていただいて、子供と家庭の状況を聞いてまいりました。もう改めて、今の子供と親の置かれている状況の深刻さを痛感いたしました。

photo 幾つか具体的な話を紹介したいと思いますが、一つは、経済的に困窮する家庭が急増していること、そのために保育ニーズが急増していることであります。

 これはもう大臣もよく御存じのことだと思いますが、昨日もある民間保育園のお話を聞きますと、毎日のように、どこも入園できないんです、困っているんですという電話が掛かってくるそうです。市の福祉事務所に行ったけれども簡単に断られてしまうと、しかしもう明日から預けたいんだと、ですから一時保育からでも、明日からもう預かってくれないかと。一時保育というのは、もう所得に関係なく何万円も月にしますと掛かりますけれども、それでも入らざるを得ない。そういう就労しなければならない親御さんが今増えているということだと思います。

 それから、もう一つ感じたのは、障害、それから虐待など困難を抱える子供さんの比率が増えているということであります。

 今、障害を持つ子供さんが保育所に来るルートが二つあるようで、一つは、これまで通所の施設、療育センターなどに通っていた子供さん、これ、通所の療育センターなどは親が同伴するということが義務付けられております。しかし、親が経済的に困窮になって、働かなければならなくなった。そうしたら、この障害を持つ子供さんの親の就労保障ができる施設は保育所しかないんですね。そういうことで、今保育所にそういう方が増えていると。

 それから、もう一つのルートは、障害を持つ子供さんが園内で発見される。ああ、この子、ちょっと障害があるんじゃないかということが通う中で発見されると。特に発達障害と言われるLD、学習障害ですとか、ADHD、注意欠陥多動性障害ですとか、アスペルガー症候群、こういう子供さんが、なかなかこれは発見も遅れがちですし、また専門家が見ても難しいという面もありますが、ただ、発達障害の子供たちの比率は確実に増えていると保育関係者の方はおっしゃっています。

 こういう子供さんは、他者から働きかけを受ける、あるいは他者との交わりを経験するという経験が割と少ない場合が多くて、それが言葉の遅れになったりするそうで、こういう子供さんは、保育園で集団で育つ中で発達できる場合も多いというんですね。そういうために、それぞれ民間も公立も努力をして、園内でそういう子供さんを早く発見するために、週に一回、心理の先生を園に来てもらって診断してもらっている、そして、その子に合った保育メニューも考えて頑張っているということもありました。

 それから、虐待も残念ながら多いというんですね。先日、これは小学校四年生の女の子でしたけれども、大阪の西淀川で亡くなった。どうやら激しい虐待があったのではないかと。またも子供の命が守れなかったと思うと本当に残念なんですが、こういう場合は、子供の対応だけではなくて親を育てるということがどうしても必要です。

 今、ストレスをすごく膨らませている親御さんが増えているそうで、お迎えに来たときに保育園でわあっといっぱいしゃべるお母さんも少なくないそうです。こういう方の場合は、よく聞くと、例えば仕事が長期間ないとかお金がない心配が続いているとか、そういうことでお母さんの不安がどんどん大きくなって、うつですとか引きこもり、育児放棄という状況になっていく。つまり、心身ともにお母さんが参ってしまうケースがここ数年増えていると。

 そういう子供さんと親御さん、お母さんを丸ごと受け止めて一人一人の子供たちの発達を支える上で、私は今頑張っていただいている認可保育所の役割、非常に重要になっていると感じました。

 舛添厚生大臣に、認可保育所の役割が今の子供と家庭の状況からますます重要になっているのではないかという御認識、まず伺いたいと思います。


舛添要一厚生労働大臣 今委員おっしゃった、経済的なこういう状況ですから、子供を預けざるを得ないということがあると思います。それから、やはり核家族化でおじいちゃん、おばあちゃんと同居していないんで、育児の手も借りれないとともに子育ての仕方が分からない。だから、このデータを見てみますと、四人に一人ぐらいは悩みを相談できる人がいないとか、それから自分以外に子供をしかってくれる人がいないというのは二人に一人、それから四割の人が困ったときに子供を預けられるところがないと、こういうデータが出ているんで、非常に今おっしゃるようにお母さんたち、親御さんの孤立感が高まっています。

 それから、障害、虐待。特にこの発達障害の場合は、非常に難しいのは、症例によってはやはり相当特別な扱いをする、そして周りの子供もそれに合わせてあげないといけないので、なかなかやっぱり普通の保育とかができない可能性があると思います。

 そういうことで、昔のように、おじいちゃんがいて、地域社会の力があって、だれにでも相談できてという状況じゃないんで、そういう意味で、やっぱり親の面倒を見るというか、そういう親に対する対応も含めて、地域社会、特に認可保育所の役割というのは山下委員おっしゃるようにますます重要になっていると、そういうふうに思っております。


山下よしき そこはもう全く一致したと思います。

 ただ、私が本当に危惧するのは、その認可保育所の整備が残念ながら遅れているということであります。

photo 資料に認可保育所の数と入所児童の数の推移をグラフにしてみました。(右図参照)これはちょっと指数のグラフでして、一九九〇年を一〇〇としてグラフ化してみますと、入所児童数は九〇年代半ば以降一貫して増え続けております。これはバブルがはじけて働かざるを得ない方が増えているということだと思うんですが。九〇年を一〇〇とすると、二〇〇八年入所児童数は一二三・五と二割以上増えました。ところが、認可保育所の数は、これ一〇〇・九なんですよ。ほとんど増えておりません。

 ですから、私は、今深刻になっている待機児童の問題というのは、この認可保育所の整備が追い付いていない、不十分だったということが一番の原因じゃないかと思うんですけれども、大臣、そういう御認識はおありでしょうか。


舛添厚労相 様々な理由があると思いますけれども、まず、ただ安かろう悪かろうで幾らでも保育所をつくればいいというものではないんで、一定の質はやっぱり維持せぬといかぬだろうと。そうすると、質の維持ということになると、どうしてもそれは高いものを求めますから、新しい保育所ができにくいということはあるんですけれども、昨年二月に今度新待機児童ゼロ作戦というのを発足させまして、それで保育力をぐんと高めていこうということで、今質の確保を前提に量を増やしていこうということをやって、安心こども基金を創設するなどいろんな予算的な措置もとっているところでありますので、委員おっしゃるように、引き続きやっぱり質の維持をしながら量の拡大をやると、この方向で更に施策を進めるべきだというように思っておりますので、度重なる補正や様々な基金を使って、そういう方向での取組を強化しているところでございます。


山下よしき もう少し、今の対応の前に、こういう待機児童が増えてきたことのやっぱり根本原因は、この乖離、要するに認可保育所の整備が明らかに保育を必要とする子供の数の増大と比べて乖離があると、ここが今の根本的な問題を生んでいるんじゃないかと私は思ったんですが、その御認識、これ大事だと思うんですね。これ、いかがですか。


舛添厚労相 私もまだ子供が小さいもので、保育所を探すのに大変苦労して、あのときは坂口さんが厚生労働大臣で、いつになったらうちの子供は待機児童じゃなくなるんだというように責めたら、いや、増やしたらまた子供が増えて、増やしたら子供って、預けたい増えてということで、やはりいろんな状況があると思いますけれども、率直に言って、相当頑張っているものの、やっぱりニーズがぐんぐんぐんぐん高まってきた。それで、先ほど言った虐待とか障害児のケースもありますから。

 本当に、安かろう悪かろうならすぐできる。だから、質を維持しながらやっていくのに追い付いてきていないということでありますので、そういう意味で、新待機児童ゼロ作戦で、今までの反省も含めて更に前に進めようと、そういうことでございます。


山下よしき 今、認可保育所の不足が子供と親にどんな影響を与えているか。これもいろいろ聞くと深刻なんですね。

 あるお母さんは、入りたい保育所に入れないと。これはもう物すごく広がっていると。(発言する者あり)そうなんです、本当。例えば、上の子と下の子が別の保育所に行っている。二園分離というんですね。私が昨日聞いた方ですよ、お母さんは、五・五キロ離れた保育所に上の子と下の子を別々に預けていると。そうすると、せっかく働きたいから保育園に子供を預けているのに、その送り迎えが離れているものですから、本当は八時間以上働きたいんだけれども、送り迎えの時間をたくさん取られるために働く時間を減らさざるを得なくなっていると。送り迎えだけで疲れ果ててしまうと。今とにかく普通に生活がしたいと、これはぜいたくなんでしょうかという声を聞きました。

 そのお母さんの子供さんが行っている、下の子が行っている、ゼロ歳児ですけれども、保育所のゼロ歳児六人中三人が兄弟は二園分離になっているんですね。本当そういうことが広がっている。もうあきらめるしかないのかと。無認可に入れたらまだいい方やとか、二園分離でも入れたらいい方やというふうに行政から言われて、要するに、これは保育所の数が足らないんだということがはっきりしていると私は思いました。

 それから、幼稚園も、今もう三時以降もそういうニーズにこたえる預かり保育というのをやっているんですね、いろいろ習い事とかして。でも、幼稚園のそういう場合は、休みが結構、園独自の記念日があって、そういうときにはやっぱり保育所の一時保育にそういう子供さんが来ると。それから、幼稚園も、三時で終わったら今度は無認可の保育所にそれから子供さんを預けると、こういうのが物すごく増えているんです。

 何でそこまで子供を負担掛けながら保育所に預けるかというと、休めないからですよ。一回休んだら、子供のために、首になった。じゃ、今もう首になったら後仕事がないから、そういう形ででも何とか預かってくれるところを探しているということで、これはもう絶対数が、保育所の数が足らないというふうに思うんですが、やっぱりこの認可保育所を量、質ともに充実させることを保育政策の中心に据えるべきではないかと思いますが、いかがですか。


舛添厚労相 社会保障全体の底上げをしていく中で、その中で、例えば御高齢の世代に対するサービス、子供たちへのサービス、私は、とりわけ相対的に見て子育て支援というのはやっぱり足りないというふうに思っていますので、これを増やしたい。

 ただ、お金が天から降ってきません。したがって、これは何らかの形で国民の御負担をいただかないといけないので、新しい新待機児童ゼロ作戦をつくるときも、私は若いころフランスにいたものですから、フランスの予算なんか比べると、それは何倍かに増やさないとフランスのレベルに行きません。非常にフランスなんかは子育てが楽になっています。ただ、ですから、そうすると、やっぱり消費税一五%とかそういう、北欧なんか二五%、こういうことですから、一気にそういうふうにいかないにしろ、やはり応分の負担はしていただく。

 しかし、私はそれで元は取ると思うんです。こんなに苦労して、今おっしゃったように、二つの保育所に預けて自分も働く、そして税金払っているわけですから。もうちょっと負担をしていただいて、安心して子供を預けられるようなそういう方向に変えたいと思いますので、そういう観点から、二千二百億円の削減というような社会保障政策については、これはかじ取りを変えたいなというふうに思っておりますし、少し、私と同世代だと孫の話になるんですけど、私は自分の子供の話なので山下さんがおっしゃるの自分のことのようによく分かりますから、それでも相当今回、待機児童ゼロ作戦に対しては基金を積んだりしておりますけれども、更なる充実を図っていきたいと思いますので、是非共産党の皆さん方も御支援いただければと思います。


山下よしき 新待機児童ゼロ作戦、これ全部否定するわけじゃないんです。だけど、やっぱり保育ママとか定数の弾力化ということで、これ一時的にはそれでいいかもしれませんけど、やっぱり根本は、そんな困難を抱えている子供さんや親御さんに真っ正面から対応しようと思ったら、やっぱり認可保育所を増やすと、質量共に増やすと、これが中心に据わらないと駄目なんじゃないかという点は、認識はおありですか。


舛添厚労相 もちろんそれの方がいいに決まっていますが、今最大の問題は保育士の確保なんです。そして、これは介護士の場合と同じで、待遇は余りよろしくありません、まず第一。

 それから第二に、キャリアのステップアップ、この方向が示されていない、介護士もそうなんですよ。何で途中で辞めるかといったら、これを一生の仕事としていくときに、普通の仕事だと、係長、課長、部長とこうなっていって、子供が大学受験するようになってもちゃんと生活できる。ところが、介護士や保育士はそのステップアップがなっていないので離職率が高くなる。ですから、やはりこういう社会保障、みんなが、大切な介護であるとか子育てであるとかいうことに従事する方の処遇の改善、そして、社会的にみんな尊敬するというか、こんなにいい仕事をしてくださっているという、そういうことが必要だと思います。

 ただ、まさにそれをやろうとすると、先立つものが金だという、財源だということがありますので、これは今のようなことで研修制度を改めたりステップアップの仕組みをつくったり一生懸命やっていますので、建物は造って認可保育所ですよと、だけどちゃんと保育してくれる保育士さんがいないんじゃ、建物だけじゃ動きませんから。ですから、そういう面もありますので、是非保育の質を充実しながら数を増やすために、財源問題も含めて、今後精力的に検討したいと思っております。


山下よしき 保育の質を確保する上で、私、今本当に抜本的に再検討を必要としているのが、国の決めている最低基準、それから保育単価なんですよ。もう時間ありませんから厚労省に端的に答えていただきたいんですが、保育士の配置基準……(発言する者あり)もう大臣だけですか。そうですか。保育士の配置数が、配置基準による必要保育士数が今全国の保育所で幾らか、それに対して実際の保育士の配置数幾らか、どうですか。


舛添厚労相 政府委員おりませんので私がお答えいたしますが、平成十九年十月一日現在で常勤保育士に換算しまして、公営の保育所で十四万一千人、それから私営保育所で約十七万九千人が保育所に勤務している保育士数でございます。現在、保育所に入所している児童について、児童福祉最低基準に基づき配置が必要な保育士数は、平成十九年四月一日現在で常勤保育士で、公営で七万六千人、民営で約十万人というふうになっております。それがお求めの数字でございます。


山下よしき 要するに、実際は国の基準の一・八倍ぐらい保育士を配置しているんですよ。

 それからもう一つ、保育士の賃金、非常に低いですね、さっき言われたように。施設長と保育士の賃金、国の保育単価で、もうこれ私の方で言います。施設長は二十五万三千八百円ですよ。保育士は十九万一千四百円ですよ。これ、とてもじゃないけど、専門性を身に付けた中堅保育士をきちっと配置することは難しいですね。

 私、昨日行ったら吹田の男性保育士から言われました。東大阪でも言われました。寿退社というのが今、男性の保育士で広がっているそうです、とてもじゃないけどこの賃金では結婚できないということで。まあ女性だって駄目ですけど。せっかく男性が保育士の資格取って現場に行ったけれども、結婚できないと。この大本にあるのが、四十年間、年齢によっては六十年間もそのままの配置基準、低過ぎる保育単価ですと。やっぱり実態が合っていないので、これ量質共の充実と言うんだったら、まずここを実態に見合って引き上げるというのがどうしても必要です。これ財源の問題はいろいろあると思いますが、引き上げるということを決意しないと保育の水準確保できないと思いますが、いかがですか。

舛添厚労相 そういう点も含めまして審議会でいろいろ検討していただいていますけれども、先ほど私が申し上げたように、やっぱりキャリアアップ、ステップアップの工程が明確になっていない。要するに、保育士さんというのは、若い女性が保育士やっていて、それで、もうまさに結婚したら退職するみたいなイメージがあるけれども、今はまさに逆で、結婚できないから男の寿退社が起こっている。ですから、保育士を一生の仕事としてやれるようなキャリアアップをする。ところが、相当大きな保育園じゃないと、介護も全く同じですけれども、中小ではなかなかそれができないんですね。

 そういうことを含めて、私は若いころヨーロッパへ行っていて、いやこれは保育にしてもすごいな、やっぱりこれが高度の福祉社会だなという認識はありますので、まだまだ我々は社会保障の側面で、子育て含めて、改善しないといけないところはたくさんあると思いますので、今言った問題意識は山下委員と私は同じものを持っていますから、審議会なんかで今検討させておりますけれども、そういう方向での努力をしたい。

 そして、政府の工程表も三年ぐらいの計画で財源の問題の手当てということはありますので、私は、やっぱりそこに財源を手当てすることによって男性も女性も子育てをしながら仕事ができる、そして生き生き仕事ができればまた税金払ってくれるわけですから、はるかに明るい社会になると思いますので、何もかも財源が大変だ大変だ、子育ても大変だ、高齢者も大変だ、医療も大変だとやってきた結果がこういうことになっているとすれば、国民の皆さん方の総意をいただいて、やっぱり党派を超えて新たな社会保障政策、それにお金を充てることは、私は常に申し上げているのは、未来への投資なんですよね、希望への投資なんです。

 本当に子供が病気になったりとか悪くなるのは親の都合でなりませんから。私は予算委員会の理事やっていて、もうほとんど死にそうになりましたよ、そのころ。子育てやらないといけない、自分も倒れそうになる、もう点滴打ちながら子供を迎えに行ったりとかいう経験がありますから、これじゃ仕事できないなと。幸い、大分子供が大きくなったのでそこまでならなかったですが。

 いずれにしましても、是非、これは国民の総意の下で、こういうことについてきちんと手当てをする政策に変えたいと思っております。


山下よしき 終わります。



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