あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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家庭の経済的困窮で、子どもの発達・成長が阻害されてはならない――予算委員会質問会議録

2009年03月11日

山下芳生議員は3月9日、参院予算委員会で、就学援助事業の縮小などで文房具を買うにもこと欠く子どもたちの実態を示し、「家庭の経済的困窮によって、子どもの発達や成長が阻害されてはならない」と麻生太郎首相らに迫りました。
以下、議事録です。




山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、二階大臣に西松建設の違法献金問題について伺います。報道では同社が二階大臣側に直接現金を提供した疑いがあるとされておりますけれども、二階大臣自身あるいはあなたの政治団体が西松建設から献金を受けたことはありませんか。

二階俊博経済産業大臣 西松建設に限らず、政治資金を提供された場合には政治資金規正法にのっとって報告をいたしております。西松建設側からそういう資金を受け取った記憶はありません。

山下よしき 麻生総理に伺います。別の新聞では、自民党有力国会議員側に十年以上にわたり総額六千万円前後の現金を渡していた、原資は裏金、裏献金という報道があります。調査すべきではありませんか。調査すべきではありませんか。

麻生太郎内閣総理大臣 新聞情報に基づいて個別の案件というものについてコメントをするというのは通常しないことにいたしておりますので、今の御質問については、すべきではないかと言われて、私どもとして今その情報の源、不正確と存じますので、それに基づいて調査をするということはございません。

山下よしき 不正確というお話でしたけれども、議員本人と一対一の場で渡したこともあったと西松建設関係者が供述していると生々しく報道されております。私は、自民党の総裁として調査し、国民に明らかにする責任があると思います。いかがですか。

麻生総理大臣 一対一に渡したという本人が生々しくしゃべろうと苦々しくしゃべろうと、我々としてはそれに基づいて直ちにそれが嫌疑になるというようなことを考えることはございません。

山下よしき 私は、これだけ大きな問題になっているときに、総理・総裁がそういう姿勢を取っていることが政治不信を招いているということだけ指摘しておきたいと思います。
 次に、子供の貧困について伺います。
 私は、家庭の経済的な困窮によって子供の発達、成長が阻害されてはならないと考えますけれども、麻生総理の認識を伺いたいと思います。

麻生総理大臣 それは当然のことです。
 いわゆる子供の貧困率というものについての御質問なんだと思いますが、若干の改善というのはこの一年ないわけじゃありませんけど、長期的に見ると子供の貧困率というのは上昇傾向にあるという、数字ではそうなっておるように感じております。
 したがって、子供が生まれた家庭環境の差によって、少なくとも子供の一生に受ける教育とかまた将来というものが大きく左右されるというようなことは、これは甚だよろしくないのであって、そういった意味では、保育のサービスとかいろいろあろうとは思いますけれども、基本的なところは、そういった結果論としてそういった差が出てくるというのはいかがなものかという問題意識というのは常に持っておかなければならないものだと思っております。

山下よしき では、現実がどうなっているか。
 塩谷文部科学大臣に伺いますが、就学援助制度の目的と制度の内容について簡潔に説明してください。

塩谷立文部科学大臣 就学援助制度につきましては、義務教育機会均等を図る目的から設けられておりまして、学校教育法十九条において、経済的理由により、就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して、市町村は必要な援助を与えなければならないということになっております。
 この規定に基づきまして、市町村において、条例や教育委員会規則等に基づき要保護及び準要保護児童生徒を対象に学用品あるいは修学旅行費、学校給食費等の援助を実施しているわけでございます。また、国は、就学困難な児童及び生徒にかかわる就学奨励について、国の援助に関する法律等に基づいて市町村が要保護児童生徒に対して行った援助について、補助を行っているところでございます。

山下よしき 就学援助というのは、憲法上の要請であり、義務教育の命綱だと思います。
 文部科学省に伺いますけれども、一九九七年度と二〇〇六年度の就学援助受給者数、就学援助率、それぞれどうなっていますか。

政府参考人・金森越哉氏(文科省・初等中等教育局長) お答えを申し上げます。
 就学援助の受給対象者数でございますが、要保護、準要保護の児童生徒を合わせて一九九七年、平成七年度は約七十八万人、対象率は六・五七%でございました。二〇〇六年、平成十八年度は約百四十一万人で、対象率は一三・五七%となっているところでございます。

山下よしき 就学援助を受ける子供は十年で実数、率とも二倍になりました。全国でおよそ七人に一人の小中学生が経済的理由によって就学困難と認められていることになります。
 文部科学省に伺いますけれども、援助を受ける子供がこんなに増えた要因、背景について説明してください。

政府参考人・金森越哉氏 私どもでは就学援助に関する調査を平成十八年に行っておりますが、そこでは百二十五の市区町教育委員会に対し、就学援助の受給者数の変化の要因等に関するアンケート調査を行っております。
 その結果によりますと、受給者数の増加の要因として考えられますことは、複数回答でございますが、企業の倒産やリストラなど経済状況の変化によるものが九十五、母子、父子家庭の増加が七十五、就学援助制度が知られるようになったというのが十五、就学援助を受ける保護者の意識が変化してきたというのが八などの回答を得ているところでございます。
 先ほど、それと私の答弁の中で一九九七年、平成九年と申し上げるべきところを間違って申し上げたかと存じます。訂正させていただきます。

山下よしき 今ありましたように、倒産、リストラ、離婚など家庭の経済状況の変化で就学困難となった子供たちの学ぶ権利を就学援助制度が支えていると。とても大事な制度だと思います。
 ところが、いわゆる三位一体改革で二〇〇五年度以降、準要保護者に対する国庫補助が廃止され、一般財源化されました。当時、国庫補助の廃止で就学援助が縮小するのではないかと危惧する声に対し、中山文部科学大臣は国会でどのように答弁しておりましたか。

政府参考人・金森越哉氏 当時の国会での答弁でございますが、平成十七年三月十六日の衆議院文部科学委員会における石井郁子議員の質問に対しまして、当時の中山文部科学大臣は、準要保護の財源については、所得譲与税として税源移譲されるとともに、所要の事業費が地方財政計画に計上されて、地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算定されることになっており、市町村における事業が縮小することはないと考えていると答弁しているところでございます。

山下よしき 実際はどうなったか、調査結果を報告してください。

政府参考人・金森越哉氏 準要保護児童生徒の認定基準の変更の有無等について平成十七年度に調査を行いましたところ、調査を行った二千九十五市区町村等のうち、平成十七年度に準要保護児童生徒認定基準の引下げなどを行った市町村が百五市町村となっているところでございます。

山下よしき 国庫補助廃止の初年度から認定基準が引き下げられたり支給額が減らされるなど、就学援助を縮小する市町村が生まれました。〇六年、七年、八年度はどうなりましたか。

政府参考人・金森越哉氏 この認定基準につきましては平成十七年度に調査を行ったところでございまして、二十年度の認定基準の変更について今調査を行っているところでございます。その間の調査は現在ないところでございます。

山下よしき 私は、三年間調査すらしなかったこと自体が無責任だと思うんですね。大阪市就学援助制度をよくする会は、毎年、大阪府下の自治体の認定基準を調査しております。それによりますと、二〇〇五年度と比較して〇八年度の認定基準が引き下げられた自治体は、把握できた二十市中十七にも上っております。大阪市が所得三百二十八万円から三百九万円に、堺市が所得二百七十四万円から二百五十九万円に下げました。多くの自治体が就学援助を縮小させております。文部科学大臣、約束と違うじゃありませんか。

塩谷文科大臣 就学援助につきましては、三位一体の改革で市町村に自治事務が課せられているということでございまして、私どもとしては、特に準要保護の認定基準は各市町村の地域の実情に応じて定めていると認識しておりまして、準要保護に対する就学援助が適切に行われるよう、都道府県に対してそれを促しているところでございますので、今年度調査をして、またその結果において指導しなければならないと思っているところでございます。

山下よしき 市町村が判断したということですけれども、子供の学ぶ権利が保障されなくなっているときに、文部科学省は関係ないという態度でいいんですか。
塩谷文科大臣 先ほど申し上げましたように、各市町村が地域の実情でということで、三位一体の改革で、その改革に従ってこの事務が行われておりますので、また今年度の調査を進め、しっかりと対応していく予定でございます。

山下よしき 市町村に責任転嫁しちゃ駄目ですよ。子供の実態どうなっているか、大阪の教師の皆さんから話を聞きました。小学校では、百円ショップでリコーダーを買ってくる子がいる、音が狂って合わないと。また、百円ショップでコンパスを買ってくる子がいる、うまく円が描けない。そんな子供たちの気持ち分かりますか。
 私は、経済的な理由でつらい目に遭う、就学困難になる子供が増えているときに、就学援助のネットを縮小する、こんな逆行はないと思いますよ。文部科学大臣、直ちに是正するよう指導すべきじゃありませんか。

塩谷文科大臣 先ほども申し上げましたように、二十年度調査を今実行しておりますので、その実態に踏まえて援助に対して適切に行われるよう、これから努力をしてまいりたいと思います。

山下よしき 適切というのは、縮小をやめさせて元に戻すというふうに指導するということでいいですか。
塩谷文科大臣 子供たちが就学できるような形に努力をしていきたいと思っております。

山下よしき 今それが排除されているんですけれども、それを許さない、戻すんだという決意に立って文部行政をやりますか。

塩谷文科大臣 今調査して、それに対応して、しっかりと子供たちが就学できるように対応してまいります。
山下よしき 大阪で調査したら縮小されているんです。これ、正すという立場で調査しますね。

塩谷文科大臣 何度も申し上げますように、就学できるようにしっかりと対応していきます。

山下よしき 私は、これだけ子供の叫びが広がっているときにしっかりと正すということが言えない、これでは文部行政を担う資格がないと私は感じました。
 次に、自立の問題で、子供の貧困の問題で特に深刻なのが母子世帯であります。
 母子世帯の年間平均収入、幾らですか。

政府参考人・村木厚子氏(厚労省・雇用均等・児童家庭局長) お答え申し上げます。
 平成十八年度全国母子世帯等調査によりますと、母子家庭の平均年間収入については約二百十三万円となっております。また、母子世帯も含めました全世帯の平均年間収入で申し上げますと、平成十八年国民生活基礎調査によれば約五百六十四万円となっております。

山下よしき 要するに、一般の世帯の三割台なんですね。めちゃめちゃ低いです。そして、もう既に八割の母子世帯は就労して頑張っております。しかしなかなか仕事が見付からないと。
 厚労省、新規求職者数、母子世帯の、〇四年度から順に報告してください。

政府参考人・太田俊明氏 お答え申し上げます。
 ハローワークにおける母子家庭の母の就職支援の状況でございますけれども、今の新規求職申込件数でございますけれども、平成十九年度が十八万六千五百六十九件となっているところでございまして、平成十六年度が十三万四千七百十四件でございますので、比較いたしますと約三八・五%の増加でございます。

山下よしき 急増しております。
 では、就職件数、今の順で報告してください。

政府参考人・太田俊明氏 就職件数でございますけれども、平成十九年度、二〇〇七年度が七万三千七百十六件でございまして、平成十六年度、二〇〇四年度が六万四千六百三十八件でございますので、比較いたしますと約一四%の増加でございます。

山下よしき 求職者数に比べて就職数は少ないんですね、増え方が。結果、就職できた率は〇四年度四八%から〇八年度三五%へ急降下しております。こんなに最悪な状況になっているんです。何でこんなに最悪なんですか、舛添大臣。

舛添要一厚生労働大臣 これは、全体的な経済危機、雇用危機、そういうものが効いているというふうに思いますが、生活の支援と自立の支援、これをどういうふうに組み合わせて、どういう政策パッケージでやるかということが最大の問題なので、これは御質問があれば、どういうふうにやっているかということはお答えをいたします。

山下よしき 残念ながら質問に答えていただいておりませんけれども、こういう最悪の状況のときに母子加算を廃止していいのかと、四月から、これが問われていると思います。
 保育所で五歳の子供が熱を出したときに、ママに電話しないでと、ママお仕事休んだら首になるからと、こう言ったそうです。母子世帯の母親の多くは非正規で低賃金で働いております。ある高校生は、おかん、おれ友達おらへんから修学旅行行かへんよと母親に言ったそうです。経済的な困窮で成長がなかなかできなくなっている、保障されなくなっている、そういう子供たちが増えているときに、就学援助を縮小し母子加算をやめるなんという逆行は撤回すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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