あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
よしきブログニュースとお知らせおたより紹介プロフィール論戦・演説・講演事務所案内リンク集
トップページ ご意見・ご要望をお寄せくださいサイト内検索

61回目の憲法記念日にあたっての演説

2008年05月03日

 きょうは5月3日、61回目の憲法記念日です。61年前の1947年、「二度と戦争はしない」「戦争のための軍隊は持たない」と決めた世界に誇る平和憲法ができたのはどうしてか。ごいっしょに考えてみたいと思います。

photo つい先日、私は、旧日本海軍の「特殊潜航艇」の乗組員としてオーストラリアのシドニー湾に沈んだ芦辺守1等兵曹の話を、和歌山市に住む弟の芦辺五男さんからお聞きする機会に恵まれました。

 1942年5月シドニー湾でオーストラリア海軍宿泊船を魚雷で撃沈したのち、芦部さんのお兄さんが乗った特殊潜航艇は行方不明となっていました。その特殊潜航艇が、2年前2006年11月、64年ぶりにシドニー湾沖で発見され、メディアでも大きく報道されます。

 享年24歳。負けん気の強いお兄さんだったそうです。そんな若者たちが、日本からはるか南、シドニー湾まで侵攻しなければならなかったのはなぜか?多少の波浪での航走支障、母艦に帰るだけの距離を出せない動力源の電池性能、換気性ゼロなど、欠陥だらけの不完全兵器に多くの若者たちを乗せたのはどうしてか?

 突き詰めると、日本の起こした戦争が、決して日本を守るための戦争ではなかった、アジア・太平洋地域の領土と資源を奪い、他国を支配するための侵略戦争だった、日本国民の命を紙切れのように粗末に扱う戦争であったことに行き着きます。日本の起こした侵略戦争で犠牲になったアジアの人々は2000万人、日本人は310万人にものぼりました。

 芦部さんの5人の男兄弟はすべて戦争に行き、帰って来たのは五男さんただ1人だったそうです。オーストラリア政府から贈られたというお兄さんが沈む海底の砂を見せていただきながら、私は「二度と戦争を起こす世の中にしてはならない」と心に誓いました。

 みなさん。シドニー湾に沈んでいる芦部さんのお兄さんはじめ数多の戦争犠牲者の無念の思い、生き残った人たちの平和への願いが込められてできたのが日本国憲法ではないでしょうか。

photo 憲法前文には、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民にあることを宣言する」とあります。そうです。いつの時代も、戦争は国民が起こすのではない、政府が起こすのです。だから政府が勝手に戦争をしないよう、国の主人公は国民であることをはっきり宣言したのが私たちの憲法です。

 憲法9条には、「武力による威嚇、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「その目的を達成するために、陸海空軍その他戦力は持たない」とあります。なんとはっきりした、迷いのない平和宣言でしょうか。この9条は、けっして机の上で、頭の中でつくられたものではありません。310万人の日本人、2000万人のアジアの人々の犠牲のうえにつくられたものなのです。

 もちろん私には戦争体験はありません。しかし、この憲法を守り生かすことによって、戦争で亡くなった人たちの思いをいまに生かすことになると、政治の舞台に立っています。そして現に、憲法9条はすばらしい力を発揮していると思います。

 先日、名古屋高裁で、イラクへの自衛隊派兵は「憲法9条に違反する」という画期的な判決が下されました。イラクの実態は「泥沼の戦争状態」であり、航空自衛隊がバグダッドにアメリカ兵を輸送するのは、「他国の武力行使と一体化した行動」となり、政府の憲法解釈、イラク特措法解釈に立ったとしても、違憲、違法な活動であると、裁判所が断定したのです。ならば自衛隊はイラクから撤退せよ――この声をいっそう大きく掲げ、政府に迫ろうではありませんか。

 戦争しないと決めた憲法ができて61年。自衛隊という軍隊がつくられ、イラクやインド洋に派兵されました。けれど、それでも憲法9条は力を発揮しています。戦後60年余り、日本の軍隊は、他国の住民をただの一人も殺していません、また殺されてもいません。こんな国は世界の大きな国の中では日本だけです。とても誇りにできることではないでしょうか。そしていま、イラクから自衛隊は帰って来なさい、このままでは殺し殺されることになる、と憲法は叫んでいるのです。すごい力ではないでしょうか。

 この憲法9条が世界に広がれば、戦争のない世界をつくることができると、世界でたくさんの市民が、法律家が、平和活動家が、運動しています。これも誇りにできることではないでしょうか。

 国会では、自民、公明、民主の議員たちが、与野党の垣根を越えて憲法改悪の議員連盟をつくり、9条改憲の画策を強めています。いちばんのねらいは、アメリカといっしょに、海外で、大手を振って戦争ができる日本にしたいということです。そういう人たちにとって、9条はじゃまでじゃまで仕方がないのです。

 しかし、国民世論は「憲法は変えないほうがいい」「9条は変えてはならない」が多数になっています。4年前、ノーベル賞作家の大江健三郎さん、評論家の加藤周一さん、私も懇意にしていただいた作家の故・小田実さんたちが、「九条の会」を立ち上げ、草の根で9条を守る運動をひろげることをよびかけました。以来、大阪で600、全国で7000を超える「九条の会」が地域や職場でつくられ、活発に活動しています。この運動が、平和を願う国民の気持ちと響きあって、世論が変わりつつあるのだと思います。

 そのことに確信をもち、日本共産党も、草の根の運動とスクラム組んで、憲法を守り生かすために力をつくすことをお誓いし、憲法記念日にあたっての訴えとします。ありがとうございました。

ページ最上部へ   トップページへ    

 ■山下芳生国会事務所  〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館1123号室 TEL:03-6550-1123 FAX:03-6551-1123

 日本共産党国会議員団近畿ブロック事務所〒537-0025 大阪市東成区中道1-10-10ホクシンピース森ノ宮102 TEL:06-6975-9111 FAX:06-6975-9115

本サイトへのリンクや、文書・写真などの複製・転載などにつきましては、事前にご連絡をくださるようお願い致します。
Copyright since 2003, Japanese Communist Party. All right reserved.