あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき



国保・消費税 ダブルパンチ 山下氏 値上げも増税もやめる道を 参院予算委

2019年03月27日


photo 日本共産党の山下芳生議員は25日の参院予算委員会で、今でも高すぎる国民健康保険料・税がさらに値上げされるうえ、消費税10%増税を行うダブルパンチは「国民生活を破綻させる」と批判しました。

 国は国保の「都道府県化」で、市区町村独自の国保料軽減の公費繰り入れや減免措置を全部なくして計算した「標準保険料率」に合わせ、市区町村に国保料を連続・大幅値上げするよう圧力をかけています。

 根本匠厚労相の「実際の保険料率は市町村が決定する」との弁明に対し、山下氏は「繰り入れなどをやめれば上がるに決まっている」と批判。北海道旭川市では、家族人数に応じて増える均等割の軽減措置を2018年度から縮小し、24年度に廃止する計画だと述べました。

 そして、「全国知事会も子どもの均等割の軽減を求めているのに、都道府県化で少子化を促進する事態が起きている」と批判。安倍首相が「地方側と引き続き協議する」と従来答弁を繰り返したのに対し、「協議の前に縮小されているではないか」と厳しくただしました。

 山下氏は、大阪市や東京都新宿区などの例を紹介し、全国で負担増が強いられると告発(表)。大企業・富裕層に応分の負担を求める消費税に頼らない「別の道」で、国保料の大幅値下げと増税中止が実現できると強調しました。

特別支援学校の教室不足 告発

 山下氏は、特別支援学校に通う児童・生徒の急増に学校新設が追いつかず、音楽室が無いため音を出せない音楽の授業や、一つの教室をカーテンで二つに間仕切りした教室など、障害のない子どもが通う学校ではあり得ない異常事態が全国でまん延していることを告発。「一刻も放置できない問題だ」とただすと、安倍首相は「政府として現状を把握しているし、現状を放置する考え方は全くない」と答えました。

 山下氏は、特別支援学校にだけ設置基準がないことが問題の根本にあると主張。安倍首相は基準策定に背を向ける答弁をしました。

【議事録】
○予算委員長(金子原二郎君) 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下芳生君。

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 今、全国で国民健康保険の保険料が高過ぎることが大問題になっております。国民健康保険の加入者は、職を持たない高齢者、非正規で働く若者など、所得の低い方が多く加入しています。にもかかわらず、保険料は他の健康保険と比べて飛び抜けて高いと。国保の構造問題と言われております。
 安倍政権は、昨年四月から国民健康保険の都道府県単位化を進めています。国保の都道府県単位化でどう変わるのか。厚生労働省の資料によりますと、ポイントは二点です。パネルにしました。(資料提示)
 これまで市区町村ごとに行っていた国保の財政運営を都道府県単位化すること、二つ目に、都道府県が市区町村ごとの標準保険料率を算定、公表すること。厚労大臣、間違いありませんね。

○厚生労働大臣(根本匠君) その点においては間違いありません。

○山下芳生君 お認めになりました。その下で何が起こっているのか。全国の市区町村で、今でも高い国保料が更に値上げされようとしております。
 都道府県が公表した二〇一九年度の標準保険料率に合わせた場合、国保料がどうなるかを試算いたしました。パネルにしました。大阪市の場合、年収四百万円、四人世帯では、二〇一八年度四十二万円だった国保料が四十六万円へ四万円上がります。年収二百四十万円の単身者では、二十万二千円が二十一万二千円へと一万円上がります。年金二百八十万円の高齢者夫婦では、十六万七千円が十八万二千円へと一万六千円上がります。
 さらに、新宿区の場合も試算をいたしました。年収四百万、四人世帯では、四十二万六千円が五十二万五千円に九万九千円上がる。年収二百四十万の単身者では、十六万三千円が二十万一千円に三万八千円上がる。年金二百八十万円の高齢者夫婦では、十五万五千円が十九万一千円に三万六千円上がると。極めて高い国保料が更に上がるということになるんですね。
 何でこんなことになるのかといいますと、この都道府県が行う標準保険料率の算定は、これまで市町村が独自に保険料を抑えるためにやっていた例えば一般会計から国保会計への繰入れも、あるいは子育て世代、一人親世帯などへの減免も全部なしにして計算することになるからであります。そういう算定の仕方を都道府県にさせているのは国なんですね。
 総理に伺います。
 安倍政権が導入した国保の都道府県単位化で、今でも高い国保料が更に値上げされようとしております。これでは国保加入者の生活は成り立たないのではないか、国保料を払えずに滞納する人がますます増えて、お医者さんに行けない方、命を落とす方も増えるのではないかと思いますが、総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳しくは根本大臣からお答えをさせていただきますが、今回の国保改革では、国保の財政運営を都道府県単位化することにより財政の安定化を図ったことに加えまして、年約三千四百億円の財政支援の拡充を行います。財政基盤を大幅に強化をしたところであります。その中で、低所得者、低所得の方への支援や子供の被保険者の多い自治体への支援を拡充するとともに、保険料水準の激変緩和措置を講じています。また、差押えの対応についても、個別の状況に応じたきめ細やかな対応を講じているところでございます。

○山下芳生君 いやいや、総理ね、三千四百億円の財政基盤強化とおっしゃいましたけど、その三千四百億円投入した後で試算したらこうなっている、上がるんですよ。物すごい上がるじゃないですか。認めないんですか。

○厚生労働大臣(根本匠君) 三千四百億円の、財政基盤強化のために投入しました。そして、この保険料率と自治体の、今委員がお示しになりましたけど、その点について申し上げますと、標準保険料率、これは市町村ごとの所得水準や医療費水準を勘案して都道府県が算定する、これは理論上の保険料率であります。そして、実際の保険料率は、各市町村において保険料の算定方式や積立金の状況、一般会計繰入れ等を考慮して決定されるものであります。
 このため、二〇一九年度の標準保険料率が算定されても、実際の保険料率は今後決定されることになりますから、二〇一八年度の実際の保険料率を単純に比較することは難しいのではないかなと、こう考えております。
 いずれにしても、国保については三千四百億円の公費の、国の支援を行っておりますので、全体として我々、負担感、負担は緩和していきたいと思って対応しているところであります。

○山下芳生君 じゃ、何でこんな算定やらすんですか、都道府県に。
 さっき根本大臣は、実際の保険料は市町村が決めるんだとおっしゃいました。これまでだったら財政運営が市町村単位ですから自分で決めることができたでしょう、何も縛られることなくね。しかし、こういうものを、都道府県単位化に財政運営がされた下でその都道府県から標準保険料率を示されたら、これはもう単なる参考では済まないんですよ。A市がこんな標準保険料率守りませんと決めたとしたら、それによって、B市、C市、D市にこのしわ寄せが行くんじゃないかという圧力が、これ掛かってくることになりますよね。だって都道府県単位で財政運営することになったんですから。
 実際、現に厚労省が先進例と示している大阪府では、あと五年で全ての市町村を統一保険料にすると決めているんですよ。もう例外なしですよ。全部の市町村一緒に大阪府が決めた保険料率にすると言っている。
 財政制度審議会、平成三十一年度の予算編成に関する建議、どう書いてあるか。国保財政の都道府県化を機に、速やかに法定外一般会計繰入れを解消というふうに書いてあるんですよ。
 繰入れを解消したら上がるに決まっているじゃありませんか。それを、都道府県化を機に繰入れをなくそう、解消させようと国がしているじゃありませんか。上がるじゃありませんか、大臣。

○厚生労働省保険局長(樽見英樹君) 国民健康保険の都道府県単位化ということでございます。
 まさに、その都道府県を財政単位にするということによって財政規模は大きくなりますので、それによって、その市町村ごとの保険料は、したがいまして、上がるところもあれば下がるところもあるという関係になるわけでございます。そういうことも含めて財政的には安定するというような構造になっているということを申し上げたいと思います。
 それと併せて、これまで保険給付に五割の公費負担というのを国民健康保険やってまいりましたが、さらに公費の先ほどの三千四百億円の財政支援の拡充というようなことを行いまして、財政基盤を大幅に強化するということをやっているということでございます。
 標準保険料率は、そういうことで都道府県のレベルで算定する理論上の保険料率ということでございますが、まさに、これまで市町村でいろいろやってきたというところの違い、あるいは財政方式の違い、あるいは収納率の違いといったようなこともありますので、直ちにそれを一本にするということではなくて、まさに都道府県と市町村とよく相談をしていただいて保険料を決めていただくと、そういうことで進めているということでございます。

○山下芳生君 今、政府の方から、直ちに一本化するわけではないと。そのとおりなんですよ。大阪府だって五年掛けてやるんですよ。これにずっと圧力掛かって収れんされていくような仕組みをつくったんですよ。そのためにつくったんですよ、これは。
 実際、標準保険料率に合わせるために、国保料の値上げが起こっております。去年一月三十日の北海道新聞、こうあります。国民健康保険の運営が道に移行されるのに合わせ、旭川市は新年度から市独自の保険料軽減制度を段階的に縮小し、二〇二四年度に廃止する方針を決めた。こういうことが既に起こっているんですね。軽減制度を縮小し、廃止するということは、国保料が上がるということであります。
 旭川市の軽減制度を見ますと、国保料の均等割を十八歳未満については五割軽減する、そういう制度だったんですね。高過ぎる国保料の中でも一番問題なのが、私はこの家族の人数に応じて掛かってくる均等割だと思います。旭川市の場合、子供の均等割は三万八千円なんですよ。だから、赤ちゃんがおぎゃあと一人生まれたら、三万八千円国保料が上がると。これでは心からおめでとうと言えないですよ。まさに少子化を促進する、それが均等割なんです。そこで、旭川市は子供の均等割を軽減することにしたんですね。
 ところが、二〇一六年度に始まった子供の均等割の五割軽減が、二〇一八年度、国保の都道府県単位化に伴って三割軽減に縮小され、二〇二四年度に廃止されることになったと報じられております。
 総理、子供に係る均等割については、全国知事会や全国市長会からも軽減制度をつくってほしいと要望が出ております。総理も、二月一日の参議院本会議の答弁で、地方の意見を聞き、引き続き検討すると答弁されました。
 しかし、国保の都道府県化でそれに逆行する事態が起こっております。少子化を促進する事態が起こっております。総理、問題だと思いませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳しくは厚労大臣から答弁させますが、国保改革においては、交付金制度を見直しをして、子供の被保険者数が多い自治体への財政支援を強化をいたしました。
 子供の均等割保険料の今後の在り方については、財政支援の効果や、そして国の国保財政に与える影響などを考慮しながら、厚生労働省を中心に、国保制度に関する国と地方の協議の場において引き続き議論をしてまいりたいと考えております。

○山下芳生君 総理、引き続き協議すると、考えているとおっしゃいますけど、協議する前に均等割の軽減が逆に縮小されちゃっていますよ。総理の答弁と逆行する事態が目の前で今起こっているんですよ。
 北海道新聞は、国保の都道府県化に合わせ、軽減制度を縮小、廃止と報じております。これ、因果関係はっきりしているんですよ。国の、国保の都道府県化によって、せっかくの子育て世代への軽減、負担軽減がなくなっていっている。これはゆゆしき問題だと思いますね。このままでは私はえらいことになると思います。国保料の値上げと消費税一〇%への増税がダブルで国民生活に襲いかかることになります。いいのかと。
 私、消費税一〇%への増税が世帯ごとにどれだけの増税額となるかも総務省の家計調査に基づいて試算をしてみました。パネルにしました。年収四百万円の四人世帯では、消費税が一〇%に上がりますと三万四千円程度の増税額になります。年収二百四十万円の単身者では一万八千円程度の増税額になります。年金暮らしの二百八十万円の高齢者夫婦では三万二千円程度の増税額になるわけですね。消費税一〇%の増税額です。先ほど試算してパネルにしました国保料の値上げを合わせますと、それぞれ赤い矢印のように、大阪市の場合は七万四千円、二万八千円、四万八千円の負担増、新宿区の場合は十三万三千円、五万六千円、六万八千円の負担増です。
 総理、これではもう家計、もたないんじゃないですか。国民生活は破綻するんじゃありませんか、総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 消費税の引上げにつきましては、これはまさに、伸びていく社会保障に対応するためと同時に、国の信認を確保する、そして子供たち、子育て世代に大胆に投資をしていくために引き上げていくものでございますので、我々は、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律にのっとって引上げを行っていきたいと、こう考えているところでございます。

○山下芳生君 いやいや、国民生活が破綻するんじゃないですかと問うたんですよ。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回の消費税の引上げによって、先ほど、子育てに、この保険料について子育てに逆行するのではないかというお話がございましたが、今回の消費税の二%の引上げを行うと同時に、十月から幼児教育、保育の無償化を行うことになるわけでございますし、来年の四月からは真に必要な子供たちに対する高等教育の無償化を行う。言わば、子供の教育費、保育費等の負担を思い切って軽減をしていくことにもつながっていくと、こう考えているところでございます。
 また、低年金者に対する給付、年金の給付も行う予定でございます。

○山下芳生君 子育て世代、低年金者世帯に対してこれだけの負担がかぶってくるようなことをこれから安倍政権がやろうとしているという問題を提起しているんです。
 さっき、自民党席の方から、大阪市、新宿区以外はどうなんだと。全部試算していますよ、都道府県の標準保険料率が発表されたところ。八割の自治体で国保料は上がるということになっているんですよ。これは全国的な趨勢なんですよ。その上に消費税一〇%、まさにダブルパンチじゃありませんか。これで国民生活が破綻するんじゃないかと言っているのに、一言も答えがないと。驚くべき生活実感だと言わなければなりません。
 大体、社会保障のための消費税と言っていたけど、どこが社会保障のためですか。消費税を増税しながら、今でも高い国保料を更に値上げして、医療を受けられない人を増やす。国民をだまし討ちにするようなやり方だと言わなければなりません。
 私は、消費税増税も国保料の値上げもどちらもやめるべきだと思いますし、財源はありますよ、財源はある。大企業にせめて中小企業並みに法人税を払ってもらえば、年間四兆円。そして、富裕層の株のもうけにせめて欧米並みに税金を掛けて、下げ過ぎた所得税、住民税の最高税率を元に戻したら、三兆円。合わせて七兆円ですね。消費税一〇%中止の財源にもなるし、昨年、全国知事会が提言された、公費一兆円投入による国保料大幅値下げの財源もこれで出てくるんですね。日本共産党は、こういう別の道があるということを国民の皆さんに広く知らせて、ダブルパンチを止めて、高過ぎる国保料を引き下げるために頑張ることを表明したいと思います。
 

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