NHKの籾井勝人(もみいかつと)新会長が就任会見(25日)で、日本軍「慰安婦」問題について、「戦争しているどこの国にもあった」と発言。軍の関与を認め謝罪した河野談話など政府の立場とも、歴史的事実とも異なるもので、公共放送の会長としての資格が根本から問われる重大発言です。
籾井氏は、NHK会長としてではない「個人的発言」としたいようですが、とんでもない事です。放送法の1条2項では「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」と明記されています。公共放送の責任者が政権の代弁者であってはなりません。
また、籾井氏は会見で「NHK組織のボルトとナットをもう一回締め直す」、海外むけ放送(国際放送)では明確に日本の立場、政府の立場を主張するのは当然で「政府が右ということを左というわけにはいかない」と言い放っています。
会長の誤った歴史認識や国営放送的な発想で締め直されたら、NHK全体が放送法の趣旨からはずれた組織になってしまいます。
イギリスのBBC(英国放送協会)はイラク戦争の際、その口実となったイラクが大量破壊兵器を保有しているという報告書は怪しいと、戦争に突き進む英国政府の見解を批判的に報道しました。民主主義の発展のために、権力を監視する役割を果してこそ、公共放送、放送ジャーナリズムの信頼と権威を高めることになるのだと思います。