2010年09月12日
忙中閑あり。先日、新国立劇場で東京二期会のオペラ『魔笛』を観てきました。いや〜、モーツァルトってやっぱりすごいですね。聴くものの心をウキウキさせる軽快な曲があったかと思えば、激しく重厚な音で圧倒する曲、悲しみに打ちひしがれたような気持ちにさせる曲もありました。
オペラは、オーケストラ、指揮、演出、歌手、装置、衣装、照明など大勢の人々によって実演されるまさに総合舞台芸術。今回、オペラグラスを借りたので一人ひとりの細かな表情まで見ることができ、個々の表現力の高さと全体の完成度の高さとの関係がよくわかりました。
コロラトゥーラの技巧を駆使し、娘を奪われた母の怨念を強烈に表現した夜の女王役、明るい歌声と軽快な振り付けで、陽気で憎めない性格まで表現した鳥刺し役には、フィナーレでひときわ大きな拍手が贈られました。
演出がウルトラマンの実相寺昭雄監督とあって、笛の音に聞き惚れて森の中の動物たちがやってくる場面で、ウルトラ怪獣たちが踊りながら登場したのには驚きました。オペラって結構自由なんですね。
何も考えず、たっぷりと芸術に浸る。たまにはいいものです。
(追記) 会場で配られた東京二期会賛助会の「入会お願い」を見ると、「弊会をとりまく昨今の経済情勢はことのほか厳しく、特に本年度は事業仕分けの影響により弊会オペラ公演への助成金が千万単位で大幅な減額となり、このようなハイレベルの芸術水準維持が危機に晒されております」と書いてありました。政治の貧困が、文化の貧困を招いています。(写真は終演後の新国立劇場)