2010年05月17日
先週の、日本軍「慰安婦」問題の集会でのあいさつ、「韓国併合」100年と朝鮮学校の無償化問題での質問は、2人の先輩議員の著作に支えられてのものでした。
1冊は、吉川春子さんの『アジアの花たちへ――「慰安婦」問題と格闘した国会議員の記録』です。吉川さんは参議院議員4期24年間のうち、15年間で48回もの「慰安婦」問題の国会質問をされました。
1992年3月、参議院会館会議室で開かれた「従軍慰安婦問題日韓交流集会」に出席し、訪日した元「慰安婦」の体験を聞いた吉川さん。「初めて聞く悲惨な事実に、私のみならず、100人くらいの参加者で顔を上げて聞いている人は誰もいなかったのではないでしょうか。私はこの女性たちに一体どんな言葉をかければいいのか、このときほど自分が国会議員であることがつらかったことはありません」と書かれています。
日本の植民地時代、「挺身隊」強制連行の恐怖のなかで暮らした体験をお持ちのユン・ジュンオク(尹・貞玉)元梨花大教授との対談は、韓国国民の深い怒り、悲しみを知り、「これを放置しておいて、隣国との真の友好関係を樹立できるのでしょうか」(吉川さん)との思いにさせられます。
もう1冊は、吉岡吉典さんの『「韓国併合」100年と日本』です。吉岡さんは国会議員になる前の党の常任活動家、「赤旗」記者時代から、「竹島問題」(吉岡さんは島根県出身です)、日韓条約締結などを通じて、朝鮮問題に関心をもち研究を重ねてきました。
1995年10月、参議院予算委員会で、当時の村山富市首相、河野洋平外相を相手に、「韓国併合」条約は「対等な立場、自由な意思で結ばれた」というそれまでの政府の公式の立場をあらためさせた論戦は、私も委員会室で傍聴していましたが圧巻でした。本にもそのときの会議録が掲載されています。
吉岡さんは、昨年3月1日、ソウルで開かれた「歴史認識の共有と平和のためのシンポジウムと文化交流会」で講演された直後に急逝されました。「ペンの力で、侵略の美化・正当化は許さない」という信念を最後まで貫かれた方でした。
誇るべき先輩議員の業績に学び、その仕事を引き継ぐことは私たち後輩の使命であると感じています。