2010年01月29日
しらけと失笑に始まり、怒りで終わる演説でした。鳩山首相の施政方針演説です。
鳩山首相は、冒頭、「いのちを、守りたい。いのちを守りたいと、願うのです」とまるで詩の朗読のような口調で演説を始めました。ハッキリ言って浮いていました。参院本会議場には与党席も含めてしらけた空気が漂いました。
後期高齢者医療制度廃止の先送り、障害者自立支援法の応益負担の中途半端な継続など、「いのち」にかかわる国民の強い願いに背を向けながら、「いのちを守る予算」などと言ってみたところで虚しさを覚えるだけです。
続いて鳩山首相は、インドのマハトマ・ガンジー師が記した「7つの社会的大罪」を紹介しましたが、そのひとつに「労働なき富」とありました。実母から毎月1500万円、計12億6千万円もの「労働なき富」を提供してもらっていた首相の姿と見事に重なり、場内には失笑が漏れました。
国民の願いにこたえる具体策はほとんど示されないまま、演説はシメの部分に。
ここで鳩山首相は、1月17日、阪神・淡路大震災の追悼式典に参列したことに触れました。そして、地震の直後から、住民が励ましあい、全国から多くのボランティアが駆けつけたことをあげ、「みんなで力をあわせ、人のため、社会のために努力したのです。あの15年前の不幸な震災が、しかし、日本の『新しい公共』の出発点だったのかもしれません」などと述べました。
悔しさで体が震えました。地震の直後、被災住民やボランティアががんばっているときに、がんばらなかったのはいったい誰か?政治ではありませんか!「被災者の生活と住宅の再建に公的支援を」という被災地からの藁をもすがる願いを、「私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則」と冷たく突き放したのはいったい誰か?村山首相率いる自民・社会・さきがけ連立内閣ではありませんか!
そのために、どれだけの被災者が元の生活に戻れず、いまも多額の負債を抱えて苦しんでいることか。当時さきがけの議員だった鳩山首相には重い責任があるはずです。
そのことにまったく心を痛めず、「友愛」「いのち」「新しい公共」など薄っぺらな言葉ばかりを並べるのはやめていただきたい。心の底から怒りを覚えたのでした。