2009年06月18日
報告です。奨学金「ブラックリスト化」問題で、昨日(17日)、文部科学省の担当者が再び説明にやってきました。
日本学生支援機構は、今年度から、奨学金の返済が3カ月滞ったら金融機関の「個人信用情報機関」に通報する(「ブラックリスト化」)とし、学生たちにその「同意書」の提出を求め、応じなければ「奨学金の貸与をやめる」としています。
6月1日の決算委員会で、私は、「教育の機会均等」を保障するための奨学金制度の趣旨と「ブラックリスト化」は相容れない、中止・撤回せよと迫りました。
塩谷文科相は、すでに奨学金を借りている「在学生」については「(同意書の提出を)強制してそれだから奨学貸与をやめるということはまったくありません」「それはございません」と繰り返し答弁しました。
15日に文科省の担当者を呼んで大臣答弁の周知徹底について説明を受けたところ、「学生支援機構にはすでに3月から文科省の考えは伝えています」ということだったので、口頭で伝えた内容をペーパーにして報告するよう求めました。きょう、担当者がそのペーパーを持ってきたのです。
そこには次のように記されていました。
・ 日本学生支援機構に対し、対面や電話で複数回にわたり、以下について要請。
・ 「同意書」の提出がないからといって、直ちに奨学金の貸与を廃止することがないよう、同機構に注意を促した。
・ 「同意書」を求めるだけでなく、学生が不安に感じないよう、経済的理由によって奨学金の返済が困難となった場合、返還猶予制度があることについて、情報提供を行うよう、同機構に要請した。
・ さらに、「同意書」の回収状況や「同意書」未提出者の理由等の実態把握を早急に行うよう、同機構に要請した。
やはり、文科省の3月からの要請は「廃止してはならない」というものではなく「直ちに廃止することがないよう」というものでした。
その結果、学生支援機構が、昨年12月17日で各大学奨学金事務担当課長宛に出した「7月31日までに提出されない場合には、9月分以降の振込みを行わない」との通知は撤回されないまま生きていました。
撤回されないまま、3月27日付で「同意をいただけない奨学生について、現在の経済情勢等にかんがみ、廃止等の措置は本年3月末日をもって行うことはしないこととしました」との通知が出されていました。
ようするに、4月以降、奨学金の継続を希望する「在学生」が「同意書」を提出しなくても、「直ちに廃止」はしないが、9月以降は「廃止する」ということです。
明らかに6月1日の大臣答弁と違う対応です。その点を指摘すると、文科省の担当者は「7月31日でなお未提出者がいた場合は、理由も調査して、9月末で機械的に廃止しないでくださいと学生支援機構に要請するつもり」といいます。
これも大臣答弁と違う対応です。
第一に、いくら文科省が「機械的に廃止しないよう要請するつもり」でも、学生はもちろんのこと、各大学にはまったく伝わりません。
第二に、大臣は「(同意書の提出を)強制してそれだから奨学貸与をやめるということはまったくありません」と答弁しています。「未提出者は9月以降奨学金を振り込まない」という通知が生きている限り、学生は「同意書」提出を事実上「強制」されることになります。
「奨学金を振り込まないぞ」と脅しつけて「同意書」提出を迫り、それでも書かなかった者については、「直ちに廃止はしない」というやり方は、「同意書の提出は強制しない」「それによって奨学金貸与をやめることはない」という大臣答弁とはまったく違うものです。
12月17日の通知は撤回し、新たに大臣答弁の内容で通知を出すよう、文科省から学生支援機構に指導すべきです。
国権の最高機関たる国会での大臣答弁を踏まえた行政をおこなうことは、議会制民主主義、議院内閣制の根本原則です。そこをわきまえて対応を検討し再度報告するよう求めました。
文科省担当者は「は、勉強になりました」。
また報告します。
★本日、衆院本会議で臓器移植法「改正」4法案の採決が強行されました。日本共産党は、「審議を尽くさず採決だけを優先することは、国民的理解と合意形成の障害になりかねない」と投票を棄権しました。
採決の結果、「脳死を人の死」とするA案が賛成多数で可決されました。TVで生中継を見ていて驚きました。事前の予想と違ったからです。う〜ん、これはまずい。
もちろん、臓器移植を待つ人の多くがA案を望んでいることは知っています。しかし、一方で、脳死状態で臓器を提供した人の家族の深い悩みもあるのです。
国民の死生観にかかわる問題について拙速なやり方をしたのは非常にまずい。とくに、A案は、一律に「脳死を人の死」とし、本人の承諾がなくても家族の同意で臓器移植を可能にするなど多くの問題があります。
参院では、徹底的に審議を尽くし、審議を通じて、国民の理解と合意(どのような合意内容になるかも含めて)を形成する努力を尽くさなければなりません。