「名ばかりオーナー」からの脱出を! コンビニ店主ら100人が集会
2009年06月02日
画期的な集会でした。「『公正な取引』実現、『名ばかりオーナー』からの脱出をめざすフランチャイズ加盟店国会内集会」。全国各地から100人を超えるコンビ二店主があつまりました。
セブンイレブンやローソンなどのコンビニチェーンは、本部と加盟店との「フランチャイズ契約」で成り立っています。本部は、加盟店に商標(看板)を貸して経営支援を行う代わりに、加盟店から売り上げの何割かを「ロイヤルティー」として受け取ります。
そう。いまや街中どこにでもあるコンビニの各店舗は、セブンイレブンやローソンの「社員」が運営しているのではなく、「独立した自営業者」であるオーナーが経営しているのです。(まれに本部の「直営店」もありますが)
本部と加盟店は本来「共存共栄」の関係でなければならないのですが、実際は、本部が圧倒的に「優越的な地位」にあり、加盟店側にさまざまな犠牲と不利益を押し付けています。
最近話題になったのが、売れ残った弁当の「見切り(値引き)販売の禁止」です。“陳列棚にいつも多種類の弁当を並べておかなければ客の購買チャンスを逃す”などとして、必要以上の「仕入れ」を強要しながら、売れ残った弁当の「廃棄ロス」はすべて加盟店側の負担となります。
これだけでも不当なのに、「廃棄」するならせめて「見切り販売」で少しでも損を減らしたい、という加盟店側の当然の行為まで、“商標イメージを傷つける”などとして禁止しているのです。ひどい話です。
本部側の「優越的地位の乱用」の最たるものが、「ドミナント方式」と呼ばれる「多店舗出店」です。自分の店のすぐ目と鼻の先に、何の相談もなく同じチェーンの店ができるのですから、既存店のオーナーはたまったものではありません。
本部は、“出店しなければ他のチェーンが出店して客を取られる”というのですが、これほど自分勝手な言い分はありません。本部側は、出店数が増えれば増えるほど、チェーン全体の売り上げは確実に増え、本部の取り分である「ロイヤルティー」も増えることになります。
しかし、加盟店側は、出店数が増えれば増えるほど、1店舗当たりの売り上げは確実に減ります。
本部と加盟店の利害は真っ向から対立するのですが、圧倒的に立場の弱い加盟店側はほとんど泣き寝入りするしかありません。早くから「飽和状態」といわれながら、コンビニの店舗数が増え続けてきた背景にはこうした“事情”があるのです。
必要以上の「仕入れ」の強要と「見切り販売」の禁止も、人の少ない地域での「24時間営業」の押し付けも、すべて“本部の利益を確実に増やす”やり方なのです。
そのために、加盟店オーナーがどれほど苦しんでいるか。売り上げが落ちて利益が出ず、アルバイトを雇うこともできなくなって、店主とその家族が店で寝泊りしながら「24時間営業」を続けたために、健康を壊したり、離婚したりしたケースも少なくありません。脱サラで退職金をはたいてオーナーとなったのに、先が見えずに自殺した人までいます。
すでに10年以上前に、私は国会でこうした“コンビニ店主の地獄”を何度も取り上げました。あまりの実態に、堀内光雄通産大臣(当時)も「想像を絶する」と語り、その後、公正取引委員会は「フランチャイズ契約におけるガイドライン」を策定しました。
残念ながら、10年たってもフランチャイズ契約の実態はほとんどかわっていません。
ただ、ひとつ大きな変化があります。10年前、フランチャイズ契約の不公正を訴えるコンビニ店主はごく少人数でしかありませんでした。しかし、きょうの集会はどうでしょう。セブンイレブンなどのユニフォームを着た店主らが大きな会議室を埋め尽くしました。勇気を出して「見切り販売」に踏み切る店主も次々と生まれ、裁判でも勝利しています。
たたかいは大きく前進しています。
コンビニにとどまらず、外食、薬店、クリーニング、塾など、フランチャイズ産業はあらゆる業種にひろがっています。
きょうの集会では、▼公正取引委員会は、フランチャイズ本部による違法行為の摘発と排除を、▼経済産業省は、実態把握と公正なルールの確立を、▼フランチャイズ本部は、加盟店の経営の維持・向上を重点とする経営方針に転換を、とともに、
「すべての政党、国会議員のみなさんは、フランチャイズ産業が国民経済のなかで果たしている役割の大きさと、加盟店が直面している苦しみと実態を踏まえ、問題解決とフランチャイズ産業の健全化のために、『フランチャイズ法』を制定するなど、国政上の重要な柱に位置づけてください」とする「集会宣言」が大きな拍手で採択されました。
2000年11月28日、日本共産党フランチャイズ問題プロジェクトチーム(私が責任者でした)は、「フランチャイズ取引適正化法に関する政策提言(外部リンク)」を発表しています。
その後6年間、国会を離れていましたが、きょう再び、みなさんとともにたたかいに臨む決意を固めることができました。超党派の取り組みとしてがんばりたいと思います。(写真は、署名を受け取る民主・姫井由美子議員と私)