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奨学金の「ブラックリスト化」は撤回せよ! 塩谷文科相に迫る

2009年06月01日

photo 「大臣、大臣だっ」。思わず声を荒げてしまいました。文部科学大臣の答弁態度があまりにも官僚的で血の通わないものだったからです。

(写真は、答弁に立つ塩谷文科相。後ろの傍聴席には学生がたくさん来てくれました)

 決算委員会で、高すぎる大学の学費と奨学金制度について質問。まず、「学費問題」からただしました。日本の大学の初年度納付金(入学金と授業料)は、国立で80万円以上、私立の平均で130万円以上。国際的にも異常に高い。

 「友達が大学の進学をあきらめた」「入学金の準備ができず、入学できなかった友人がいる」「知人が何人も学校をやめた。学費が払えないって声が多い」――「学費ZEROネット東京」の実態調査にはこうした学生の声がたくさん寄せられました。

 私は、「若者の学ぶ権利を保障するために、政府として、すみやかに学費負担の軽減を図るべきではないか」と質問。塩谷(しおのや)文科相は、「実態をしっかり把握し家計負担を検討する」と答弁しました。

 検討はけっこうですが、事態は緊急を要します。今春、私立大学から公立大学に転換し、授業料が年124万円から50万円台まで安くなった高知工科大学では、志願者が前年の10倍以上に増えました。学生と家庭にとって学費負担がいかに重いか、その軽減がいかに待たれているかを示しています。

 若者にとって、学ぶ機会の保障は“待ったなし”です。対応が1年遅れれば、その年に進学を希望する若者、大学に在学する若者の多くが、学ぶ機会を失ってしまいます。東京大学が、08年度から、年収400万円以下の学生の学費を免除しているように、まずは低所得層の負担軽減から緊急に始めるべきです。政府はイニシアチブを発揮し、財政的支援を強化すべきです。

 ★「今後、検討する」を繰り返すばかりの塩谷文科相の気のない答弁に不満を感じつつ、時間がないので、次の「奨学金制度」についての質問に移りました。

 高い学費のもとで、学生に学ぶ機会を保障しているのが奨学金制度です。ところがいま、日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金の“変質”が進んでいます。大学卒業後、奨学金の返済が3カ月滞ったら、金融機関の「個人信用情報機関」に通報するというのです(「ブラックリスト化」)。そのことの「同意書」を提出しなければ奨学金を借りることができなくなりました。

 09年度の「奨学金案内」パンフレットには、「個人信用情報機関に登録されると、クレジットカードが使えなくなったり、住宅ローンが組めなくなる場合があります」と書かれています。まるで脅し文句です。

 私は、「『ブラックリスト化』は『教育の機会均等』を保障する奨学金制度の趣旨と相容れない。即刻撤回すべきだ」と迫りました。ところが、塩谷文科相の答弁は、「滞納解消や多重債務防止に有意義。被害は出ていない」というものでした。

 この認識はまちがっています。滞納「額」が増えたのは、奨学金利用者が増えたからであり、滞納「率」はむしろ下がっています。卒業生はまじめに返済しているのです。また、「多重債務防止」といいますが、いったん「ブラックリスト」に登録されれば返済しても5年間は消えません。金融機関から必要な融資を受けられず、ヤミ金などに手を出すケースも増えるでしょう。本人と家族の経済生活がより深刻化することになります。

 大臣に反論したうえで、私は、「重大なのは、『ブラックリスト化』を理由に、進学や進級をあきらめた学生たちが生まれていることだ」として、次の2人の声を紹介しました。

 「卒業まで借りる予定だったが、同意書が届き、卒業後の福祉の仕事での収入を考えると不安で奨学金の貸与を断りました。1年休学しアルバイトで学生生活費を蓄える予定です」(ある私立大学で福祉を学んでいる3年生)

 「父が早く亡くなり、母子家庭で6人兄弟の上から2番目です。高校・大学と奨学金とアルバイトで学生を続けてきました。今年の春から大学院を希望していましたが、同意書を書いたことで、大学院まで借りた場合の返済金額を考えると自信を失い、進学を断念しました」(ある国立大学の4年生)

 すでに「被害」は出ているのです。「ブラックリスト化」によって、奨学金制度が、「奨学」ではなく、学問や学術研究を「断念」させる制度に変質してしまったのです。

 このときです。私が“カチン”ときたのは。

 2人の学生の声を紹介しながら、塩谷文科相の様子をうかがうと、私にはとても真剣に聞いている態度には見えませんでした。官僚の作った答弁書を繰りながら、どこを読み上げようか思案しているように映りました。

 (違うやろ、その態度は!進学・進級を断念せざるを得なかった学生の気持ちをしっかり受け止めるのが大臣の仕事やろ!)

 内心そう思いながら、「ブラックリスト化」の撤回を再度迫ると、大臣ではなく文部科学省の官僚が手を挙げて答えようとしました。それで「大臣、大臣だ」と叫んだのです。

 再び「被害は出てない」と答える塩谷文科相。やっぱり真剣に聞いてなかったようです。

 「学生の心境がまったくわかってない。『ブラックリスト化』が学生にどんな影響を与えているか、実態を調査し、再検討すべきではないか」と強く求めると、大臣はようやく「実態は調査します」と答えました。

 さらに、すでに奨学金を利用している在学生にまで「同意書」を提出させていることについて、「在学生が同意書を提出しないからといって、奨学金を打ち切るようなことは絶対にあってはならない」とただすと、大臣は「それはございません」と明確に約束しました。

 ふーっ。なんとか、「調査」と「在学生への対応」で今後につながる答弁を引き出すことができましたが、“政治家たるもの、国民の叫びに真剣に耳をかたむける姿勢を持たないでどうする!”との思いが強く残りました。

photo ★委員会終了後、傍聴に来てくれた10人ほどの学生のみなさんと懇談。「しっかり言ってくれてスッキリした」「でも大臣が『被害は出てない』と発言したのには驚いた」「学費問題でがんばってきたことが政治を動かしていると感じた」などの感想が出されました。

 そうです。みなさんのがんばり、学生と家庭の実態、生の声が、政治をうごかしつつあるのです。経済的理由で学ぶことをあきらめる若者をひとりもつくらないために、これからも一緒にがんばろう!


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