2009年04月30日
昨日紹介したBPO(放送倫理・番組向上機構)放送倫理検証委員会の意見書の全文を熟読しました。非常に味わい深い内容でした。
本文29ページ、資料20ページからなるものですが、最高裁判決が法律論からNHKの番組改変問題を吟味したのとは違い、放送人の倫理観はどうあるべきか、それが放送の質にどうかかわるか、政治と放送の関係はどうあるべきか、という角度から論じられています。
委員会としてNHK「ETV2001・シリーズ戦争をどう裁くか」の全4回の放送を視聴し、その意欲的な問題提起と企画意図を積極的に評価したうえで、問題の「従軍慰安婦」を扱った第2回『問われる戦時性暴力』だけが、「不自然な編集の仕方」「散漫な番組」になっていることを指摘しています。そして、その背景に、政治家とNHK幹部の接触があったことを重視しています。
放送と民主主義の関係、歴史発展のかかわりをも深く考えさせてくれる優れた意見書です。放送関係者はもちろん、広く国民に読んでほしい、そして社会と放送のあり方、放送のもつ可能性について考えてほしいと思いました。
すばらしい意見書を発表された委員会のみなさまに心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
リンク:NHK教育テレビ『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』第2回「問われる戦時性暴力」に関する意見(PDF)