2009年02月18日
18日は大阪で「子どもの貧困」問題の調査。大阪保育運動連絡会、千代田学園高校、大阪教職員組合で、それぞれ子どもと家庭をとりまく状況をリアルに教えていただきました。
この数年で、経済的に困窮する家庭が急増し、それが子どもの発達にも否定的な影響を与えている点が、共通して出されました。
● お正月の後、「おぞうに食べた人」と聞いたらクラスで3人だった。「神社に行った人」1人、「かるたした人」ゼロだった。家庭の団らんがなくなっている。(公立保育所)
● 子どもの足にたばこの焼け跡。「パパがたばこの注射してん」と弟。お姉ちゃんは絶対いわない。父親はリストラに遭い「うつ状態」にある。(公立保育所)
● 母子家庭。母親は非正規雇用で、仕事がないと、お金が入らず、不安が強くなって「うつ」になる。保育料の滞納がかさむと、子どもが保育園に来なくなる。4歳の子どもが一人で団地の公園で遊んでいる。(民間保育園)
● 5歳の子が熱を出したとき、「ママに電話しないで。ママお仕事休んだらクビになるから」といった。お母さんの多くはそんな状態で働かされている。(公立保育所)
▲ 生活保護か就学援助制度を利用している家庭の子が50%。朝ご飯は食パンと水だけでおかずなんてなしの子が増えている。クツ底がすり減って穴があいたままの子も。いまの時代にこんなの見なかったが…。(公立小学校)
▲ 親も子どもに手をかけられない。不潔というか、1週間同じ服の子もいる。しかも土日を挟んで。見かねて学校で洗濯することもしょっちゅう。お風呂に入れてもらって、清潔な下着にかえてもらって、食べるものたべて、というのは当然のことと思っていたが、当然でなくなっている。(公立小学校)
▲ 経済的困窮から夫婦仲が悪くなり、離婚話などになってくると、子どもは常に不安で落ち着かない。勉強どころではなくなる。そんなケースはいくらでもある。(公立小学校)
■ 「おかん、俺、友だちおれへんから、修学旅行いかへんよ」という子に、「お母さんも君を行かせるために一生懸命働いてる。行くのが親孝行やで」と担任が説得する。貧困の問題は、子どもの心にものすごい傷をつける。(公立中学校)
■ 中1の男の子。茶髪でとてもやんちゃな子だが、お母さんがダブルワークしていて、毎日夜になると出かける。彼は作文に「俺はさびしいから、ふとんをかぶって寝ています」と書いた。(公立中学校)
★ 家庭が経済的にしんどくなると、子どもたちは部活動をしなくなる。ユニホーム、遠征代などがかかるから。(公立高校)
★ 食事も満足にしていないのではないかという子もいる。学校の食堂でもご飯だけ注文する子がいる。(公立高校)
★ 授業料10万円滞納。父親がタクシー運転手だったが腰を痛めて仕事ができなくなった。4月に父親から手紙が届いた。「奨学金を生活費に充てています。娘は卒業させてやりたいので除籍はしないでほしい」と。3年生だが短大への進学はあきらめた。(私立高校)
★ 授業料30数万円滞納。両親は自営業だが不景気で大変。中学時代は不登校だったが、高校は休まずにきている。学校推薦で短大に行って栄養士になりたいと希望していたが、2年の時に断念した。(私立高校)
などなど、たくさんの実例を聞きました。規制緩和による安定した雇用の破壊、社会保障制度の改悪、そして世界同時不況などから、経済的困窮に陥る家庭が増えています。そのもとで、子どもの成長、発達が阻まれています。
これらは決して、家庭の問題、父母の問題ではないと思います。たとえ家庭がどんなに経済的に困窮したとしても、それによって、子どもたちの成長、発達が阻害されることがあっていいのか!?それが私たちの社会に問われているのだと思います。
そのために、保育所があり、学校があるのではないでしょうか。高校生活を通じ、学ぶ喜びを知った子どもたちが、人間らしさをぐんぐん取り戻していく姿は、教育の力、学校の力を何よりも雄弁に物語っていると感じました。
そうした機会を奪われる子どもたちを放置して、社会の進歩はありません。未来を創るのは子どもたちなのですから。