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「松原ショック」にしてはならない!

2008年12月02日

 突然の閉鎖発表に揺れる市立松原病院(大阪府松原市)問題で現地調査をおこないました。全国に約1,000ある公立病院の3/4が赤字ですが、いきなり閉鎖(来年3月末)というのはほとんど例がありません。いったい何があったのか?

photo まず、「市立松原病院の存続・充実を求める会」のみなさんに話を聞かせてもらいました。驚いたのは、市立松原病院が、公立病院ならではの優れた医療を地域住民に提供していることです。大手術を受ける前の患者の「栄養サポート」を大学病院と連携して行う日本で始めての試みや、助産師と医師の協力で「自然分娩」に近い形でお産ができる体制などで、松原市民や近隣住民の信頼を得ています。まさに地域の中核病院です。

photo 「会」の一言ハガキは毎日どっさり返信があるそうです。「夫の入院の時はとてもよくしていただきました。病院が閉鎖されると困ります。なくさないで。病院給食もとても心がこもっていました」など、1枚1枚に病院への市民の思いが書き込まれています。人口13万人の松原市で、存続を求める署名が5万筆にもなろうとしています。

 そんな市立松原病院がどうして閉鎖されなければならないのか。中野孝則市長とあいさつを交わしたあと、以倉正一副市長、長谷川修一病院事務局長に、その理由をうかがいました。事務局長は、2003年度から赤字決算が続いていること、その要因は、医師不足(2001年38人いた常勤医師が現在27人)と診療報酬のマイナス改定であると説明。経営状況の悪化もその原因も全国の公立病院とまったく同じです。

photo 副市長は、閉鎖の決断には「地方公共団体財政健全化法」と「公立病院改革ガイドライン」の影響が大きいと語ります。昨年12月に総務省が示した「公立病院改革ガイドライン」は、医師不足や診療報酬のマイナス改定という病院経営悪化の真の原因(どちらも国に責任がある)は棚上げしたまま、経営効率化、再編・ネットワーク化などの経営改善を求めるもの。副市長は、市立松原病院でも病床数削減などの「改革プラン」を策定したものの、「医師不足でつじつまがあわなくなった」といいます。

 そこに追い討ちをかけたのが、「夕張ショック」を受けて昨年6月に制定された「地方公共団体財政健全化法」です。これまでの一般会計にくわえて、病院などの特別会計もあわせた「連結実質赤字比率」というあらたな指標が設けられ、2007年度決算から各都道府県・市町村に適用されることとなりました。「早期健全化基準」を超えると自主的な財政健全化が、「財政再生基準」を超えると国の関与による財政再生が迫られることになります。

 副市長は、「これまで病院は赤字でも続ける覚悟でやってきたが、財政健全化法で(病院会計が連結されると)数年後には実質赤字比率が基準を超えることになる」「病院は(連結から)はずすべきではないのか」と強い調子で話してくれました。これは、国政がしっかり受け止めねばならない叫びです。松原市は、日本共産党も与党の民主市政が長年続き、夕張のようなハコモノ作りは一切やらずに市民福祉に力を入れてきた市です。その市民の貧困化によって市税収入が減少したところに、国の「三位一体」改革による地方交付税大幅削減で、市財政が悪化しました。

 そんな“まじめな市”まで「財政健全化」の名によって、市民の命と健康のとりでを廃止しなければならなくなるとは、まさに“角を矯めて牛を殺す”ものです。全国の自治体でも同じようなことが起きる危険があります。松原の事態をふまえて国政で緊急に問題提起したい。

 同時に、そうはいっても今回の市立松原病院の閉鎖はあまりにも拙速に過ぎます。なぜいきなり閉鎖なのか?「公立病院改革ガイドライン」では指定管理者制度とか独立行政法人化など他の選択肢(私たちは賛成しませんが)も示されているが、それらは検討したのか?その疑問をぶつけると、副市長は「シミュレーションはしたが市民の負担が大きい」。では数字で試算したのか問うと、「数字の試算はしていない」とのことでした。

 また、閉院したら地域において必要な医療の提供体制は確保されるのか?との問いには、「近隣の病院と連携してなんとか医療の質を落とさないようにしたい」と抽象的な答え。現在通院、入院している患者さんの受け皿も、閉鎖決定まで「考えてなかった」とのことでした。

 市民の命と健康に直結する大問題なのに、市民への説明も、患者や病院スタッフの理解を得ることもなく、市長が一方的に決定して短期間に強行(11月28日に市長会見、12月議会に病院廃止条例案が提出されています)するなどは、住民自治の原則を踏みにじる暴挙です。

 昨年訪ねた北海道赤平市でも、今年訪ねた大阪府阪南市でも、医師不足や経営難から危機的状況になった公立病院を再生しつつある自治体に共通する教訓は、まず情報を開示すること、そして「私たちの病院を守りたい」と願う市民の知恵と力に依拠することです。松原市民にその力が十分あることは一言ハガキや署名にも示されています。いまからでも遅くはありません。行政と住民の共同で、市民の命綱を守るために、あらゆる努力を尽くすべきです。

 調査には、宮本たけし元参院議員・衆院比例候補、中野好博衆院大阪15区候補、党松原市議団が同行してくれました。

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