あったか連帯ウェブ---山下よしき
トップページへ メッセージはこちらからどうぞ サイトマップ 記事検索
特集
原点・山下よしき

新しい政治の流れ
演説・論戦・講演
活動
活動記録
いつも現場に
総選挙2003
プロフィール
ごあいさつ
略歴
ご案内
事務所のご案内
リンク集
新聞赤旗 日刊紙 日曜版
見本紙
購読

よしきからあなたへ

広島で指定管理者制度の調査をしてきました

2008年08月01日

 7月31日、8月1日と、広島市へ「指定管理者制度」の調査に行ってきました。2003年に施行されたこの制度は、公共施設の運営に営利企業の参入を促し、市場競争の原理を促せば、施設の維持管理経費の削減、サービスの向上を同時に達成できる、といわれてきましたが、果たして実際はどうか?

 31日夜、広島自治労連(橋本和正委員長)の事務所を訪ね、長年、広島市の各施設の管理委託をしてきた公益法人で働く労働者のみなさんから話を聞きました。

 公園の管理委託をしてきた公益法人の労働者は、「指定を受けるために53%もの経費節減で泣いている。職は守ったけど、生活は大変になり、士気も下がった。(指定期間が過ぎる)4年後、2回目の指定を受けるため、さらに経費削減、労働条件の切り下げがやられたら自分たちはどうなるのか不安だ」といいます。

 障害者福祉施設の管理委託をしてきた公益法人の労働者は、「心身障害者スポーツセンターは20数年間の歴史があり、パラリンピックの選手も出たりしてきた。経費は4年間6.5%カットで提示しているので、定期昇給も、新たな事業展開もできない。発達障害など新しい知識も必要な専門職なのに、募集をかけても低賃金で応募がない。家族をもとうと思ってももてず、別の仕事に付く人もいる」と訴えてくれました。

 公民館の管理委託をしている公益法人の女性労働者は、「公募になった公民館は、市から派遣されていた職員が引き上げ、そのあとは、指定された法人が臨時職員か派遣会社からの派遣で埋めている。ベテラン職員が減り大変。臨時も派遣も時給は800円くらいしかもらっていない」と実態を教えてくれました。

 広島自治労連の川后和幸書記長は、「指定管理者制度になって正規職員を雇うことができなくなった。次の4年間は“切りシロ”がなくなる。こんなことを4年ごとに繰り返したらとんでもないことになる」といいます。なるほど、労働者は、際限なき賃金・労働条件切り下げの泥沼に落とし込まれたことがよくわかりました。これは市民にとっても決してプラスとはならないと思います。保育所の民間委託問題のたたかいなど、夜遅くまでお付き合いいただきありがとうございました。

 1日午前、広島市役所を訪ね、市の担当者の方から、広島市における指定管理者制度の状況を聞き取りました。広島市は、これまで公益法人(25法人)をつくり、施設の管理委託をしてきました。2年前に指定管理者制度に移行し、96単位(584施設)で公募を行った結果、15単位で民間事業者が指定され、残りはすべて従来の公益法人が指定されました。どの施設を「公募」にし、「非公募」(従来の公益法人を指定管理者とする)にするか、議会からもかなり意見が出たといいます。

 指定管理者制度に移行した「効果」をたずねると、68億円の経費削減(4年間の見込み額)と開館時間の延長などサービス向上があったとのことでした。ここでちょっと疑問が湧きました。たしかに、開館時間の延長も市民にとってサービスの向上に違いないでしょうが、サービスの質はどうなるのか?たとえば、公民館の管理運営では、地域住民の様々な文化活動を支援し、地域文化の醸成に貢献することが求められており、そのためには職員の専門性、住民とのつながりや信頼を深める継続性が不可欠です。

 今回は、そうしたノウハウを持つ公益法人(財団法人・広島市ひと・まちネットワーク)が「公募」で公民館の管理者に指定されましたが、4年間の指定期間が終了する切り替え時(2010年)に、いっそうのコスト削減競争が迫られるとなると、その保障はありません。

 市の担当者の方も、その点は懸念しているようで、コスト節約でやっていい施設と、やらないほうがいい施設があるのではないか、施設の性格に応じて、「公募」「非公募」の仕分けは違うのではないか、という問題意識が全国の自治体の流れとしてあるとのことでした。非常に重要な問題意識だと思います。

 もうひとつ。4年間で68億円、年間10数億円の経費削減効果とのことですが、小泉内閣以来の地方交付税削減額はいくらかたずねると、「ぜんぜん比較になりません。100億円単位です」とのことでした。国は、年間100億円単位で広島市の収入を削りながら、指定管理者制度導入で経費を削減せよと迫っているのです。そのために、福祉や文化など住民サービスの質の低下が招かれるとすれば、まさに地方自治、住民自治への攻撃です。

 実際、指定管理者の公募が繰り返されるなら、参入をめざす民間事業者が、正規雇用でなく非正規雇用または期限付き雇用で対応してくることは火を見るよりも明らかです。指名されるには「管理経費の縮減」を提案しなければならないし、たとえ指名されたとしても、期間終了後、再び指名されるかどうかわからないからです。このようなコスト削減競争に巻き込まれるなら、従来の公益法人だって、民間と同じように職員の低賃金・非正規化に走るしかありません。

 住民サービスの質の低下を招き、官製ワーキングプアを拡大する――こんな制度はいまのうちに根本的に見直す必要がある。そう確信することができた広島での調査でした。中森辰一、皆川恵史、村上あつ子、中原ひろみの各広島市議が同行してくれました。

 広島名物お好み焼きをいただき、原爆ドーム、平和記念公園を訪ねることもできました。お世話になったみなさん、ありがとうございました。

 

ぜひ、ご意見・ご感想をお寄せください
 
ひとつ前のページに戻る
特集
Copyright (C) YAMASHITA YOSHIKI All rights reserved.