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投機マネー暴走の解決策は福祉国家の実現

2008年07月10日

 目からウロコでした。雑誌『経済』8月号の特集「金融投機への対抗」の冒頭にある高田太久吉さん(中央大学教授)のインタビューです。昨日終わった洞爺湖サミットは、原油・食料高騰の原因である投機マネーの規制に有効な対策を示すことができませんでしたが、それがどうしてなのか、この問題をどうとらえ、どう対応すればいいのか、深いところからつかむことができました。

 高田さんは、T「経済の金融化」は資本主義をどう変えつつあるか、Uサブプライム問題と「金融の証券化」について、Vファンド資本主義とその規制をめぐって、という順序で話をすすめていきますが、圧巻は最後の部分。国際的な投機マネーの暴走が加速する背景になにがあるか?高田さんは、アメリカはじめ先進工業国では経済の「金融化」が進み、生産や流通の分野だけでは資本を十分に吸収しきれないという根本問題があることを指摘します。

 利殖のチャンスを求める莫大な資本は、80年代後半期以降、株式市場に流入し、各国で株式バブルやITブームをもたらしました。株式バブルとITブームが崩壊すると、こんどは住宅ローンとそうした資産を証券化する市場に流れ込みました。さらに、今回サブプライム問題が発生すると、原油市場をはじめとする天然資源を新しい標的にしています。

 高田さんは、今回のサブプライム問題として顕在化した現代経済の矛盾は、単に金融市場や証券市場だけの問題ではなく、現代資本主義が抱えるもっとも根本的な矛盾、すなわち「資本の過剰」の現れとして考えるべきだと問題提起します。そして、もしそうであるとすれば、現代経済の深刻な病理現象を単に金融問題としてだけ捉え、ファンドや金融機関の投機活動を封じ込めるための対策(これはもちろん必要ですが)を講じようとしても、根本的な限界があるということになる、と強調します。

 では、根本対策はどうあるべきか?高田さんは、現代資本主義は大きな岐路に立っていると言います。岐路の一方は、ルールなき「金融化」がさらに進行し、もっと深刻な経済の混乱と危機がくり返される方向です。もう一方は、それぞれの国民の生存権や環境権を守る拠り所としての国家の役割が強化され、政治に対する国民の信頼が高まり、多国間の協調によって各国の自治権や経済自主権と両立する国際経済の調整ルールが実効性のある形で形成される方向です。

 高田さんは、それは具体的には、それぞれの国にふさわしい形態での福祉国家の実現ということになるのではないかと述べています。投機マネーの暴走に対する根本的な解決策は福祉国家の実現――大胆ですが、「資本の過剰」という問題の根本をふまえた、説得力ある方向性の提示です。こうした構想の中で、ヘッジファンドや投機マネーの跋扈を許さない金融規制のあり方も考えられる必要がある、との指摘も納得できるものです。

 読み終えて、日本共産党綱領に明記された「資本主義の枠内で可能な民主的改革」、さらには「資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革」の内容が、現代資本主義の矛盾から出てくる必然的な社会の発展方向であることにあらためて確信を持つこともできました。大いに語っていきたいと思います。


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