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NHK番組に対する自民党の政治的介入を批判する

2008年05月20日

 とんでもない発言が飛び出しました。きょう(20日)の参院総務委員会で、自民党のI議員がNHKの番組内容に介入する質問を行いました。この日の自民党の持ち時間は40分間しかありませんでした。普通なら質問者は1人のはずですが、わざわざ2人立ててI議員に15分間渡し、そのすべてをNHK番組攻撃だけに使う、原稿も周到に準備して臨むというやり方でした。I議員個人の思いつきではない、自民党としてのNHKに対する政治介入とみなければなりません。

 自民党が攻撃したのは、5月11日放送のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス 日本の社会保障が危ない」という番組。私も視聴しましたが、いい番組でした。雇用の規制緩和、医療、介護、生活保護など社会保障の縮小が、この国に住む人々の社会への信頼を崩壊させつつあることを、数字だけでなく一人一人の生身の人間と家族の実態から描き出しました。仕事を失い、国民健康保険料を払えず保険証を取り上げられ、がん治療を受けられず50代前半でなくなった男性など、リアルな実例の紹介は説得力がありました。

 自民党はそれが気に入らないのです。I議員は、「保険料滞納の背景についてなにも放送されなかった。保険証が取り上げられた問題と患者の死亡との因果関係をきちんと検証したのか。こうした放送のあり方は放送法に定める政治的公平性から大きな問題がある」と食ってかかりました。さらに、「国民健康保険に関する2つの病院の事例はいずれも日本共産党と関係の深い病院だ。偏った取材、偏った内容を放送している」と決めつけ、「NHKの内部の調査をしてみる必要もある」とまで言いました。

 言いがかりもいいところです。番組では、50代前半の男性が国民健康保険料を滞納せざるをえなかった背景に、働いていた鉄鋼関連企業のリストラがあったことを報じていました。また、保険証取り上げと患者死亡との因果関係は、「検証」などしなくてもわかることです。保険証が取り上げられたら、病院では10割の医療費を払わなくてはなりません。必要な医療から遠ざかり、手遅れになる人が出るのは当たり前ではありませんか。

 取材に応じた病院が「日本共産党と関係が深い」(とI議員が認識している)との理由だけで、番組の政治的公平性に問題があるなどという言い分は、政治的公平性のなんたるかを理解しないものです。仮に、番組の中で特定の政党を偏って取り上げたなら政治的公正性に欠けるといえるでしょうが、今回の番組にはそのような内容は一切ありませんでした。ましてや、NHKの内部を調査せよなどと迫ることは、かつて1950年代のハリウッドで吹き荒れた悪名高い「赤狩り」にも通じるもので、憲法に保障された言論表現の自由を侵すものといわねばなりません。

 結局、自民党の立場は、自らの悪政に突き刺さるような都合の悪い番組は作るなというものであり、これこそ政治的公平性を欠いたNHKの番組編集権への介入にほかなりません。国会の委員会の場を使ってそのような行いをすることは許されません。

 I議員の質問に対し、日向NHK放送総局長は、「数十件におよぶ取材の中で、要するに取材に協力をしていただける病院を選んだと思っております」と答弁。また、今井NHK副会長は、「今回のNHKスペシャルでは、スタジオで3人の関係者、識者をお招きして、それぞれの立場から日本の社会保障について発言していただき、番組として十分に公平性を保っていると承知しております」と答弁。

 さらに、福地NHK会長は、「NHKスペシャルのような非常に影響力のある番組につきましては、どのくらいシーズがあるんだと。このぐらいの厚さを持ってまいりました。そのなかからやっぱり公平に選んでいる。そういったことを積み重ねて、公平公正、不偏不党が貫いていけるよう努力しておるつもりでございます」と答弁しました。いずれも、当然とはいえ、NHKに対する政治介入に迎合することのない立派な答弁だったと思います。

 ところで、I議員の質問が終わったのが12:00。私の質問が始まるのが14:00。自民党のNHK番組攻撃・介入をどう批判するか、考えながら昼食のお弁当をかきこみました。質問の冒頭、NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」を見た私の感想を当日のHPから引用紹介。

 「すべての国民、とりわけ政治家、官僚、経済人に見てもらいたい、そして、私たちの社会が進むべき方向を真剣に議論したい、そう思える番組でした。番組制作者の力戦奮闘に政治の場で答えたいと思いますと、私は(HPに)書きました。こうした番組から政治の責任と役割を重く受け止めるならともかく、あたかも取材先に問題があるかのような発言で、番組制作を萎縮させるような行いこそ、公正性を欠き、政治的介入になる」と厳しく指摘しておきました。

 本題の電波法ついては、和歌山や東京での調査をふまえて、2011年7月の完全地上デジタル放送化に伴う様々な問題点をただしました。

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