医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟の第4回会合に参加。きょうは、元日本外科学会会長の門田(もんでん)守人・大阪大学理事・副学長(医学系研究科外科教授)の講演をお聞きしました。自民党から共産党まで超党派の議連の勉強会は、毎回、第一級の講師が招かれ大変有意義です。
門田先生は、減少を続ける外科医の現状と展望について、客観的な数字も示しながら語ってくれました。産科医、小児科医の不足はよく知られてきましたが、外科医不足も深刻です。このままの減少ペースで行くと2018年には日本外科学会の新入会員はゼロになるそうです。その背景に何があるか。門田先生は、医療技術の進歩(乳がん手術、脳死移植、内視鏡手術など)により手術時間は10年で1・6倍に延びているのに、大学では人員が減らされ、当直明けの手術も当たり前になるなど、過酷な勤務実態となっている点を指摘されました。
その上で、日本の医療費は本当に高いのかと問題提起。GDPに占める医療費の割合はG7参加国平均で10.2%、OECD30カ国平均で9%あるのに、日本は8%しかない(2004年)ことも示し、70年代の「1県1医大」=医療費増額・医師増員路線から、80年代の「医療費亡国論」「医学部定員削減」=医療費抑制路線への転換がこうした事態を招いたことを告発されました。いまや1000人あたりの医師数は、OECD平均が3人、日本は2人と大きな差ができています。
門田先生は、「このあたりを国民全体で議論する必要がある」「高齢社会で医療費が増大するから抑制しなければならないとの考えがあるが、憲法25条は、すべての国民に健康で文化的な生活を保障し、国は社会保障、公衆衛生の増進に努めなければならないとしている。ならば医療費をどう捻出するか、国民・患者とともに考える必要がある」と述べられました。
まったく同感です。国民の多くが、道路特定財源の一般財源化を支持するのは、道路よりも医療の方が緊急性は高いとの認識があるからだと思います。国民が納めた税金をどう使うか、国民みんなで議論するチャンスです。
門田先生とともに講師としてご出席くださった慶応大学の池田康夫先生(内科教授)、日本医科大学の八木聰明先生(耳鼻咽喉科教授)。3人のお話からは、患者の命と向き合う医師としてのヒューマニズムとともに、社会と政治のあり方に目を向け、国民とともに医療再生の道を考えたいとの真摯な姿勢が強烈に伝わってきました。医学会のこうした姿勢に、いまこそ政治が応えねばなりません。いいお話をありがとうございました。