先週の関西のTVでは橋下徹大阪府知事の「涙」が放映時間のトップだったそうです。知事直属の「改革プロジェクトチーム」が公表した「府財政再建プログラム試案」を巡る知事と市町村長との協議(17日)。市町村長から住民負担増、市町村補助金半減などに「承諾しかねる」と批判が噴出したのに対し、知事は目を赤くし、声をうわずらせて「協力を」と訴えました。「知事の涙」を大阪府民はどう受け止めるか?
午前、大阪府庁を訪ね、財政担当者から「財政再建プログラム試案」の背景にある大阪府の財政状況について説明を受けました。思ったとおりでした。バブル崩壊後の「景気対策」として、政府は1990年代に10年間で430兆円(後に630兆円に拡大)もの「公共投資基本計画」を策定、国と地方が一体となって推し進めました。大阪府の建設事業費も1991年の4500億円(これもバブル期最後で過去最高額)からピーク時の1995年には7300億円へ、一気に1.6倍に増やされます。
その結果、大阪府の借金(府債)残高は1991年の1兆3416億円から1998年の3兆5878億円と7年間で3倍近くに膨れ上がりました。ちょうど10年経ち、いまその返済がピークに差し掛かっています。その時期に小泉内閣の「三位一体改革」で地方交付税の大幅削減など地方負担の増大が重なり、大阪府の財政を一層苦しいものにしました。
小学校1、2年生の35人学級を40人学級に戻す、高齢者、障害者、乳幼児、ひとり親家庭の医療費助成を削る、博物館や体育館などの文化施設を廃止し売却する――どんなに涙を流しても絶対に容認できない内容ですが、ここまで府財政を悪化させた責任の半分は国にあります。府民と知事の対立を、国が“高みの見物”することは許されません。「知事の涙」に胸を痛め、地方交付税総額の復元など責任ある支援を強めるべきです。説明聴取には、宮原たけし党大阪府議団長が同席してくれました。
夜、NHKスペシャルは「どうする?大返済時代」と題して、総額200兆円にも膨らんだ全国の地方自治体の借金が、サービスカット、負担増として住民生活を圧迫している現状をリアルに紹介しました。障害者医療費の助成制度がなくなった県から隣の県に引っ越した夫婦。しかし引っ越し先の県でも4月から新たな負担が導入され、途方にくれる姿も映し出されていました。地方自治体の財政問題は、どこでも住民生活を直撃する大問題になっています。国政で腰をすえて取り組みたいと思います。