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上川町から赤平市へ 北海道で実り多い調査ができました

2008年01月21日

 北海道調査2日目。朝、上川町の鈴木文雄町長と懇談。午後、赤平(あかびら)市へ移動し住民懇談会、高尾弘明市長との懇談、病院訪問と分刻みで行動。とても充実した調査ができました。

photo 北海道の案では診療所に格下げされようとしている上川町立病院。鈴木文雄町長は病院の現状と国・道への要望を語ってくれました。

 「医師不足で小児科、産科がなく町民は旭川へいく。外科も麻酔医、看護師がおらず手術ができない。いま町立病院に医師を派遣してくれている旭川医大、北大の医局も医師不足で『次からは送れない』と言われている」

 「病院には町の一般財源から年1億5千万円繰り入れしている。国からは交付税が8千万から1億円くる。それでも収支不足でここ1、2年で不良債務が出る。かつて1億3千万円あった交付税がどんどん減っている。診療報酬も2年前の改定で7〜8%マイナスになった」

 「病院を診療所にするのかどうか。診療所にすると、もう上川には住んでおれなくなる。旭川まで車で1時間、列車なら1時間20分かかる。現実に医療の問題で旭川に出たり、部屋を借りたりした人がいる。民間の医院も1軒あるが86歳の先生だけでいつ閉めるかわからない。町立病院をなくしたら町長はリコールされる」

 「国、道はまず医師を確保してほしい。人件費の支援もしてもらいたい。赤字、赤字で病院をなくすなんてさびしい」

 鈴木町長の苦悩は、病院を持つ全国の自治体の首長に共通する苦悩でしょう。昨夜の住民集会は、行政を批判するだけでなく自分たちに何ができるか考えようというすばらしいものだったと伝えると、町長は顔を上げて「ほう」。国政、道政での病院つぶし政策を転換させるとともに、住民と行政が力を合わせることが大切と、上川で学ぶことができました。

photo 上川からJR特急列車で滝川へ。滝川から車で最後の訪問地、赤平市に向かいました。列車内で上川町の沢田町議からいただいたよもぎもちを食べました。夫人のご実家でつくられたそうで、よもぎの香りに北の大地の恵みを感じました。

 

photo 列車から見えた石狩川。川面のところどころは凍っていました。

photo こういう風景をみると北海道の冬の生活の厳しさが想像されます。

photo 赤平市に到着。昼食をとったおそば屋さんの軒下に大きなツララがぶら下がっていました。

 赤平市は、昨年制定された「地方財政健全化法」の基準で評価すると「財政破たん」に陥る可能性があるとされています(H18年度決算で「連結実質赤字比率」を推計すると79.4%となる。40%を超えると「財政再生団体」とされる)。

 その一番大きな要因とされているのが赤平市立病院の経営です。現在、ベッド数220床、常勤10名、非常勤6名の医師で、内科、外科、小児科など9つの診療科を開設しています。しかし、医師の減少(かつては常勤医だけで18名いた)により、入院患者の受け入れを制限せざるをえず、手術件数や外来診療日数も減少し赤字が膨らみました。北海道の案では「規模の適正化」(ベッド数、診療科などの縮小)が提起されています。

photo 赤平でも住民の皆さんに集まってもらい懇談会をもちました。「一人暮らしで車もない。砂川の病院までバスで片道50分、往復1600円かかる。市立病院がなくなったら大変。絶対残してほしい」「病院の赤字問題が急にぱっと出てきた。住民がどういう行動を起こせばいいのか?」「市立病院で整形もピタッと治った。先生もいい。なるだけよそへ行かず、友達にも声をかけて行ってもらっている」など、ここでも病院をまもる住民運動の芽生えを感じました。宍戸忠・赤平市議が市政報告。(写真は右から宮内さとし衆院比例予定候補、私、紙智子参院議員、真下紀子道義)

photo 続いて、高尾弘明・赤尾市長、鎌田恒彰・赤尾市議会議長と懇談。高尾市長は開口一番、「『第二の夕張』と言われることに違和感、抵抗感がある」と語られました。(写真の右から2人目が市長、3人目が議長)

 地方財政健全化法で破たんの恐れありという結果が出ると、赤平市にはマスメディアの取材が殺到します。市立病院の待合室や市役所内で市民にマイクを突きつけインタビューするという光景が増えたそうです。

 市民に不安がひろがるなか、高尾市長のとった行動は住民説明会の開催でした。市の財政状況を示す広報資料を作り、市長自ら出かけて8カ所、約500人の市民に直接説明し、意見を聞いたといいます。市民と情報を共有し、市民とともに困難に立ち向かおうという姿勢は立派です。

 市長は、なぜ市財政が厳しくなったか説明してくれました。@炭鉱のまちで基幹産業がなくなり人口と税収が激減。閉山による労働者の福利厚生も自治体が肩代わりした、A地方交付税がこの10年で10億円減少。一般会計90億円規模で10億円は大きい、Bそこへ地方財政健全化法で連結決算になり、市立病院の不良債務がいきなり重荷となった――とのことで、いずれも国の政策転換によるものです。この事実を国政に携わるものはしっかり自覚しなければなりません。

 赤平市は現在、市立病院の人工透析施設を拡充するなど、前向きな財政の建て直しに取り組んでいます。「第二の夕張」と言われた赤平市で、市民と行政が力をあわせて難局を乗り越えるなら、全国の自治体にとって”希望の星”となるでしょう。ぜひともそうなってほしい。別れ際、高尾市長がおっしゃった「ひとつだけ。交付税はしっかり確保していただけるようにお願いします」とのご要望に応え、私もがんばりたいと思います。

photo 赤平市立病院は、新聞写真の豪華イメージとはずいぶん違っていて驚きました。診療棟は比較的新しいものの、入院棟はかなり老朽化が目立ちます。新聞報道には入院棟は写っていませんでした。報道だけではわからないものです。斉藤事務長が対応してくれ、@経営悪化のいちばん大きい要因は医師、看護士不足、A「規模適正化」でいちばん心配しているのは救急対応、とのことでした。医師確保は国政の緊急課題です。
 
 以上、北海道の調査はすばらしい収穫がありました。私なりにまとめると次の4点になります。

▼「安心して住み続けられるまちに病院はなくてはならない」「公立病院を絶対に残したい」という住民の思いが、政府や道の病院つぶし計画が出されたことで鮮明になり、草の根から反撃と共同がひろがっている!それを発見でき、現地の人々の心意気を感じることができたことがいちばん大きな収穫です。

▼市長、町長、議長がわざわざ懇談に応じてくれたのは、国政、道政に対する不満と要望の強さの表れと見るべきでしょう。「交付税を確保してほしい」「医師を確保してほしい」――この叫びに応える国会論戦と政策提案が必要です。すぐ着手したいと思います。「ガソリン値下げ隊」よりも「地方交付税増やし隊」「公立病院守り隊」のほうが切実かも…

▼こうしたなか、日本共産党地方議員(団)の値打ちが光っていました。1人でも行政や議会に建設的な提案をし町政・市政を動かしています。「この町で生まれ育った人たちだから、このまちを守りたいということで共同できる」(大竹登・由仁町議)は核心をつく言葉です。

▼その思いは住民も同じです。「病院を守るために自分たちになにができるのか」「私はがんばります」――どの懇談会でも次々と思いが出され大きくなり一気にまとまっていきます。これぞ住民自治、民主主義の原点と感じました。この草の根の住民のマグマが、行政、議会のそれと合流し、各地から噴き出せば、地方政治とともに国政を変えるエネルギーになる!!そんな展望もつかめた調査でした。

 やはり現場を歩かなければなりません。お忙しいなか対応してくださった各自治体首長、議長はじめ関係者の皆さん、お集まりいただいた住民の皆さんに心より感謝いたします。また、実り多い調査を準備してくださった党北海道委員会、国会議員団北海道ブロック事務所、各議員の皆さん、ありがとうございました。

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