あったか連帯ウェブ---山下よしき
トップページへ メッセージはこちらからどうぞ サイトマップ 記事検索
特集
原点・山下よしき

新しい政治の流れ
演説・論戦・講演
活動
活動記録
いつも現場に
総選挙2003
プロフィール
ごあいさつ
略歴
ご案内
事務所のご案内
リンク集
新聞赤旗 日刊紙 日曜版
見本紙
購読

よしきからあなたへ

OECD議員セミナーでスピーチ

2007年10月04日

 フランスでの活動も最終日。午前中、参議院代表団のみで「イノベーション、成長及び公平」に関するOECDハイレベル議員セミナーに参加。テーマの設定自体にヨーロッパを感じます。イノベーション(技術革新)と経済成長の光の部分だけでなく影の部分をも正面から議論しようという姿勢が伝わってきますもの。

photo パリにあるOECD(経済協力開発機構)本部は、「宮殿」と呼ばれるほどに立派な建物。改装中で外観はよくわかりませんでしたが、内部は豪華なシャンデリアが吊るされまさに宮殿のよう。セミナーが開催される部屋はこじんまりしたところで、参加者は20人程度らしい。日本での打ち合わせでは、セミナーでは無理に発言しなくてよいという確認だったのですが、この人数ではそうはいきません。大江康弘、水落敏栄両参院議員と相談し、積極的に発言することにしました。

 セミナーは、OECD事務局と議会代表が意見交換し、両者がいかにより緊密に協力できるかを見出すために行われます。決議案などの審議・採択はありません。議題ごとに、15分から30分程度で事務局から問題意識が示され、それを受けて1時間前後議論するという進行でした。
 
 「イノベーションと成長に関する概観」「イノベーション・パフォーマンスの強化」「グローバリゼーション:OECD加盟国の労働者と社会にどのような影響を与えるのか?」「よりグローバル化された世界における所得分配――不公平の拡大?」「グローバリゼーション:どのような社会雇用政策が必要なのか?」という議題を見るだけで興味が湧いてきます。できれば午前中だけでなく最後まで参加したかった。

 討論は活発でした。フィンランド、メキシコ、スロベニア、ベルギー、マルタ、スペイン、ルーマニア、ポルトガル、エストニア、フランス、オーストラリアと、OECD加盟国あるいは加盟を希望する国の議員が次々と名札を立て、議長の指名を受けて発言します。ここでも女性議員の発言が目立ちました。研究開発を促進するための大学との連携、中小企業の役割、若者の教育機会の問題から、人権、環境、雇用問題まで、自由闊達に意見が表明され、事務局とのやりとり、議員間のやりとりもありました。

photo 日本国会参議院代表団も全員が発言。大江議員は知的財産権の問題についてトヨタの最高級車レクサスを例にわかりやすい話を、水落議員は文部科学副大臣の経験をふまえて政府の科学技術振興策の紹介をされました。どちらも急な発言にもかかわらずたいしたものです。

 私の発言は以下のとおりです。

 「ありがとうございます。イノベーション(技術革新)は人間の進歩であり歓迎されるべきものと確信します。しかしながら、イノベーションが自動的に、社会のすべての構成員を幸福にすることはありません。適切な社会的ルールが必要であると考えます。

 私の考えを裏付けるわかりやすい例を紹介します。日本ではこの1年以内に、ひとつの新しい言葉が生まれました。それは『インターネットカフェ難民』です。24時間オープンしているインターネットカフェで、何ヵ月も、場合によっては1年以上も寝泊りする若者たちが増えています。
 
 原因は、労働法制の規制緩和によって雇用のあり方が変化し、正規雇用が減り、不安定で立場の弱い非正規雇用が急速に増えたことにあります。いまや日本の労働者の3人に1人が非正規雇用であり、女性と青年に限れば2人に1人が非正規雇用です。働いているのに年収200万円以下の人が1000万人を超えました。

 そのなかで、自分の住宅を持つことも借りることもできず、インターネットカフェ、さらにはマクドナルドで1個100円のハンバーガーを買って一夜を過ごす若者がつくられているのです。彼らは目の前のPCで、あるいは自分の持つ携帯電話で、明日の仕事場所を伝えてくる派遣会社からの指示を待っています。最近の初めての政府の調査では、全国で5000人を超える若者がネットカフェ難民として存在することがあきらかとなりました。

photo 携帯電話というイノベーションの最先端の道具を持つ若者がホームレスになる――こんなことを許す社会であってはなりません。イノベーションが、社会のすべての構成員、とりわけ若者の幸福に直結するルールをつくることは政治家の責任です。

 その点で、OECD多国籍企業行動指針は非常に重要な内容を含んでいると思います。ただ、その内容があまり知られていないという問題があります。大いに知らせ、社会に生かされるよう、日本でがんばりたいと思います。ありがとうございました」

photo 思わず熱のこもったスピーチになってしまいました。各国の議員も真剣に、そして驚いた、あるいはあきれた様子で聞いてくれました。労働者の人権を守るルールの弱さは、日本社会が急いで克服すべき課題です。(写真:発言を終えOECD本部玄関前で記念撮影)

photo 午後、在フランス日本国大使館に飯村豊大使を訪ね、フランス滞在中にお世話になった館員の皆さんへのお礼と、フランスの政治情勢のブリーフィング。フランスでもサルコジ政権になって政治が変化しているとのこと。日本の政治情勢について、5日間いっしょに旅をしてフランクになった代表団メンバーから、いろいろと興味深い分析を聞くこともでき有意義でした。

 パリの街は、全体が美術館、博物館のよう。その全容を知るにはあまりにも滞在時間が短すぎました。ルーブル美術館、ノートルダム寺院、シャンゼリゼ通り、オペラ座と、誰もが知るスポットの前に数分間立ち寄り記念撮影。雰囲気だけは伝わるでしょうか?くれぐれも中の様子はお聞きにならないでください。

photo セーヌ河の橋の上で。友人と写真を撮るのは日本人の女性か。

photo シャンゼリゼ通りにて凱旋門を背に。通りには名だたるブランドのお店が並んでいました。

photo ルーブル美術館前で。王宮だったルーブルをすべて回るには1週間は必要かも。ミロのヴィーナスにもモナリザにも会わずに帰るとはなんとももったいない…。

photo ノートルダム寺院前にて。ストラスブールの大聖堂と同じくここも入場料は無料。フランスの豊富な文化予算のなせる業でしょうか?











 パリを現地時間4日午後8時に飛び立ち11時間のフライト。成田に着いたのは日本時間5日午後2時すぎでした。そのまま国会に戻り、参議院議長公邸へ。江田五月参院議長主催の招待会に駆け込み、議長に欧州評議会議員会議での参議院代表団の活動と成果を報告させていただきました。

ぜひ、ご意見・ご感想をお寄せください
 
ひとつ前のページに戻る
特集
Copyright (C) YAMASHITA YOSHIKI All rights reserved.