午後3時から欧州評議会議員会議・本会議に参加。昨日の拡大経済開発委員会で採択された「OECDと2007年世界経済」に関する決議案が討議されます。本会議場は半円形で木をふんだんに使った明るい設計。約500席ありますが着席している議員は半分程度。私たちオブザーバーの座席はいちばん前に設けられてありました。

　着席し同時通訳のイヤホンをつけると、ちょうど「ヨーロッパの地域化（リージョナライゼーション）について」討論がされているところでした。持ち時間は１人4分。電光掲示板に残りの分秒が表示されカウントダウンされていきます。

　「報告者は欧州連邦をつくろうとしているのか？私は英国人としてのアイデンティティーのほうが強い」「EUの補助金目的の地域化では困る」「少数民族をどうするかが問題だ」などの意見が続き、報告者も「質問者は私のレポートをちゃんと読んでくれたのか？」と反論するなど、簡潔かつ熱い討論でした。欧州の統合もそう簡単ではないようですが、本音の議論が交わされていることころに意味があるなと感じました。

　討論のあと、押しボタン方式で採決に付され、電光掲示板に結果が発表されていました。採択された報告の作成者に議員があつまり握手する姿は日本の国会と同じです。

　さていよいよ「OECDと2007年世界経済」の決議案の討論です。配布されたペーパーを見ると、私の修正提案が、独立したパラグラフとして記載されていてうれしくなりました（写真の7．の部分）。すごいことです。（リンク)

　議長席には昨日表敬訪問したリンデン議長が着席。OECDのグリア事務総長もオブザーバー席に着きました。

　決議案作成者のパパドプーロスさんが報告に立ち主旨を説明。演説の最後に、「グローバル化がすべての人々に平等な機会と恩恵を与えるものでなければなりません」としめくくりました。昨日の私のスピーチとまったく同じ考えで思わず拍手。パパドプーロフさんに目で賞賛のサインを送ると、彼女も右手の親指を立てて笑顔を返してくれました。昨年の中国訪問でも感じたことですが、よりよい社会を求める人間同士の交流は気持ちがいいものです。

　グリアOECD事務総長がゲストとしてスピーチ。「よいレポートを作ってくれました。OECDの活動の説明に使いたいと思います」と述べ、世界経済の分析、教育、環境、移民についてのOECDのレポートを紹介しました。グリア事務総長は、メキシコで財務、外務大臣も務めた国際的な政治家。大きな身振り手振りを交えた演説は聞くものをひきつけます。

　このあと、日本国会代表団・村田団長による日本経済の動向に関する演説があったのですが、参議院代表団は明日の日程（OECDハイレベル議員セミナー：パリ）に向う飛行機が前倒しに変更となったため途中退席。団長演説が聞けず残念でしたが、あとで聞くととても評判がよかったとのことでした。決議案も本会議で採択されました。

　それにしても、私の提案した修正案が、欧州評議会・本会議で採択された決議に、独立したパラグラフとして書き込まれ（この際「山下よしきパラグラフ」と呼ばせていただきましょう）、ＯＥＣＤ事務総長が「よいレポート」「使いたい」と述べたことは、とてもとても大きな成果です。はるばるフランスまでやってきた甲斐がありました。

　準備にあたりご協力いただいた国会図書館、参議院調査室、同僚議員、国会秘書、党本部国際局の皆さん、そして私の英語力の不足を補っていただいた村田団長、川田総領事に感謝です。

　午前中、精力的に懇談と視察をこなしました。朝8時、デイヴィス欧州評議会事務総長主催の朝食会。欧州評議会が、異文化・異宗教間の対話に力を注いでいることがよくわかりました。「テロとのたたかいで重要なのは、テロにリクルートする人が増えるのを助けないこと」とは名言です。

　次いで、欧州評議会本部の近くにある欧州議会会議場を視察。

　各国ごとに直接選挙された850人の議員によって構成される欧州議会。本会議場の座席は国別ではなく、右翼から左翼まで政治グループ別に配置されると聞いて、ガーンと頭に衝撃が走りました。

　各国の利益に関する議論ではなく、ヨーロッパ全体の問題を議論するとは、なんと次元の高いはなしでしょうか。現在、ヨーロッパにおける立法の6割は欧州議会で作られているとのことでした。ヨーロッパ統合へのダイナミックな模索を具体的に感じることができたのは収穫です。

　11時、グリアOECD事務総長を表敬訪問。日本の若年層の所得が低下していることを懸念され対処を求められました。「質の悪い職をつくってはならない」とも。

　11時30分、ウィルシャー政治委員会委員との懇談。

　夜、遅めの夕食。エッフェル塔のライトアップはとてもきれい。